次はIE9の機能について見ていこう。1つずつ解説してもよいが、IE9の新機能を体験したり、パフォーマンスを測定したりできるサイトが用意されているので、これを紹介しておく。HTML5やSVGなどが駆使されており、IE9の新機能が体験できる。
3つ目のサイトは、IE9の次にリリースされる予定のInternet Explorer 10(現在Platform Previewというベータ版が公開中)向けのサイトであるが、いろいろなテストなどが可能なので、IE9でも利用するとよい。
今回はIE9で特徴的な、「ワンボックス」とタスク・バーへの「ピン止め」について簡単に解説しておく。
IE9では画面の表示要素が整理され、デフォルトでは非常にシンプルになっている。これはネットブックなどの画面の狭いデバイスでも十分な表示領域を確保できるようにするためだろう。以下の画面は、IE9のインストール直後の起動画面である。
IE9ではこのように、ほとんどの表示項目を1行に押し込んでいるので、その分、コンテンツの表示領域は広くなっている。だが分かりづらければ従来のように、すべての項目を表示させることも可能である。
IE9で特徴的なのは、従来のアドレス・バーと、右端にあった検索窓を1つにした、「ワンボックス」と呼ばれる入力欄である。WebサイトのURLを入力することもできるし、単なる検索エンジンへの入力としても利用できる。1文字ずつ入力すれば、過去のURLの履歴からマッチするものが表示されるだけでなく、検索エンジンを使ったインタラクティブ検索も可能である(デフォルトではインタラクティブ検索は無効)。つまり履歴だけでなく、検索結果もまとめて表示されるということである。
ワンボックスは通常は次のように表示されている。これは単にURLが表示されているモードである。
ちなみにキーボードを使う場合は、[Ctrl]+[E]を押すとこのワンボックスへカーソルが移動する(従来は検索窓への移動用キーボード・ショートカット)ので、そのまま続けて入力すればよいだろう。ここでは、「face」と]入れてみた。
なおこの入力履歴のドロップダウン・リストは、ワンボックスの右側にある下向きの三角形をマウスでクリックするか、ワンボックスの部分をマウスで左クリックし、そのまま下へドラッグすると表示される。どこをドラッグしても表示されるので、IE8よりも操作しやすくなっている(IE8では右側の三角形の部分を正確にクリックする必要があった)。
検索を便利にする手段として、IE9には「コピーしたテキストを使用して検索」という機能も用意されている。クリップ・ボードに何らかのテキストをコピーした後、Webブラウザの画面上のどこでもよいのでマウスを右クリックすると、ポップアップ・メニューに[コピーしたテキストを使用して検索]という項目が表示される。これを選択すると([Ctrl]+[Shift]+[L]キーを押してもよい)、クリップ・ボードの文字列が現在のWebブラウザの検索窓、つまりワンボックスに入力され、それが検索エンジンを使って検索される。検索窓への切り替え、テキストの貼り付け、検索の実行、という3つの手順を1クリックで実行できる機能である。
IE9では、Webサイトへのショートカットをデスクトップやタスク・バー、メニュー、フォルダなどに置くことを「ピン止め」するという。以前のIEでも使えるURLのショートカットと似ているが(*1)、IE9では複数のホームページを設定できるし、タスク・バーの場合は後述のジャンプリストが使えるなど、少し異なる。アプリケーションをピン止めして登録しておけば、1クリックで簡単にアプリケーションを起動できる。IE9はWindow 7のタスク・バーと連携する機能を持っており、表示中のWebサイトのアイコンなどをタスク・バーへドラッグ&ドロップすれば、それがタスク・バーに登録される。
*1 IE8やそれ以前のIEで作成したショートカットの情報は「〜.url」というファイルに保存されているが、IE9で作成したショートカットは「〜..website」という、新しい形式のファイルに保存されている。.website ファイルの方が保存できる情報が多くなっている。IE9ではいずれのショートカットでも開くことができるが、IE8やそれ以前のIEでは .url というショートカット・ファイルしか開くことができないので、ショートカットを共有したり、ほかのユーザーに送ったりする場合は、注意する必要がある。
【2011/08/12追記】 なお、[Shift]キーを押しながらドラッグ&ドロップすると、従来と同じ.url形式のショートカット・ファイルを作成できる(この場合はピン止めサイトとはならない)。 詳細はTIPS「IE9で従来と同じインターネット・ショートカットを作成する」参照。
タスク・バーへ登録するには、まずIE9で目的のサイトを表示させる。そして、ワンボックスの先頭にあるサイトのアイコン(「favicon」という)か、表示中のタブをドラッグする。これ以外にも、新しいタブ(タブ列の一番右端にある、空のタブ)をクリックして、そのページに表示されているアイコンをドラッグしてもよい。
■faviconをドラッグして、……
■タスク・バーへドロップする
faviconをドラッグしてデスクトップやフォルダ、メニューなどへ置けばショートカット(ピン止め)となるが、それをドラッグしてタスク・バーへドロップしてもよい。「タスク バーに表示する」となっていれば、以後はそれをタスク・バーからの起動用アイコンとして利用できる。
以上の方法でピン止めされたアイコンからWebサイトが(IE9を使って)起動できるようになるが、これはIE9を起動してからワンボックスや履歴、お気に入りリンクなどを使ってサイトを開くのとは少し異なる。ピン止めされたアイコンをクリックして直接Webサイトを開くと、ワンボックスの周りの表示が少し異なるのだ。
次の画面を見ていただきたい。これはHotmailのWebサイトをIE9を起動してから開いた場合と、ピン止めしたアイコンから直接起動した場合のそれぞれの表示である。アイコンの並びなどが少し異なっていることが分かるだろう。
■IE9起動後にサイトを表示させた場合
■タスク・バーのアイコンで直接サイトを表示させた場合
これを見ると分かるように、ピン止めされたアイコンから起動すると本来のホーム・アイコンは表示されない。そのアイコンに登録されているアドレス(URL)がこのIE9のウィンドウのホームになる。そしてそのホーム・アイコンは、IE9の一番左端に表示されており、これをクリックすればすぐに戻れるようになっている。また、元は青だった「戻る」や「進む」アイコンの色も、サイトのfaviconの色に応じて変更される。つまり、このサイト専用のブラウザのようになっている。
なお、Webサイト側である情報を設定しておくと、タスク・バーのアイコンであればジャンプ・リストを表示させることも可能である。ジャンプ・リストはWindows 7の機能であり、アイコンごとに固有のタスクを実行するためのものである。例えばHotmailサイトをタスク・バーにピン止めした場合は、次のようなメニューが表示される。
IE9対応のサイトでは、このような独自のタスクを定義して、ユーザーの便宜を図るようにするとよいだろう。すでにこのような対応をしているサイトは日本でも多数存在する。なお、この機能に対する技術的な解説は、以下の記事を参照していただきたい。
■ピン止めされたサイトへのホームページの追加
ピン止めされたアイコンをクリックしてWebサイトを表示させ、そのIE9で別のサイトを表示後、ホーム・アイコン(左端のアイコン)を右クリックしてポップアップ・メニューから[ホームページとして追加]をクリックする。するとそのピン止めされたアイコンにはホームページが追加で登録される。以後、そのアイコンをクリックすると、もともとのホームページのほかに、追加されたホームページも同時に表示されるようになる。起動時に複数のWebサイトを(複数のタブで)開きたい)場合に有用な機能である。
追加したホームページを削除したい場合は、[ツール]メニューにある[インターネット オプション]を表示させ、[全般]タブにある「ホーム ページ」グループで不要なサイトを削除する。
今回は、IE9の概要とインストール方法などについて解説した。次回は、GPUアクセラレーションやタブ機能、セキュリティ関連の話題について取り上げる。
【2011/05/07】複数のホームページの設定方法の画面を追加しました。
【2011/04/28】当初公開した記事では、ピン止めはタスク・バーにしかできないと記述しておりましたが、正しくはピン止めはどこにでも可能です。そのため、該当する部分の記述を修正しました。お詫びして訂正させていただきます。
「[製品レビュー] 進化したInternet Explorer 9 ―― HTML5準拠、性能向上、新ユーザー・インターフェイス ―― 」
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