次はセキュリティ関連の機能についてみていこう。
「追跡防止」とは、Webサイトに含まれるサードパーティ・コンテンツへのアクセスをブロックし、ユーザーのサイト訪問情報が、ほかのサイト(ドメイン)へ漏えいするのを防ぐ機能である。IE8では「InPrivateフィルタ」と呼ばれていた機能であるが(「InPrivateブラウズ」とは関係ない)、IE9ではフィルタするサイトのデータをサードパーティなどからダウンロードしてIE9に組み込めるようになっている。
追跡防止機能が有効になっていると、CookieやWebビーコンなどを使った複数のWebサイト間での訪問履歴が追跡されにくくなる。詳細についてはIE8解説記事の「InPrivateフィルタとSmartScreenフィルタ機能」を参照していただきたい。
追跡防止機能は[ツール]メニューの[セーフティ]−[追跡防止]で設定できる。デフォルトでは個人用の設定項目しか存在しないが、これがIE8のInPrivateフィルタ機能に相当する。
デフォルトでは「個人用リスト」という項目しかないが(最初は「無効」になっている)、上の例では2つのサイトからの情報も使うように設定している。追跡防止機能のためのリストを提供している組織はいくつかあるが、IE9では以下のサイトからの情報を簡単に取り込めるようになっている(上の画面で左側の[追跡防止]という部分をクリックすると[追跡防止リストをオンラインで取得]というリンクが表示されるので、それをクリックする)。
追跡防止機能を有効にしてWebサイトをアクセスすると、次のように青いマークがURLの右側に表示される。
これはActiveXをすべてまとめて一時的に無効にする機能である。主に開発段階などで利用する機能であるが、特別に高いセキュリティが要求される場面でも利用できるだろう。
ActiveXフィルタが有効になっていると、サイトには安全にアクセスできるが、ActiveX機能が利用できなくなる。
このダイアログでActiveXフィルタを無効にしても、システム全体ではまだActiveXフィルタは有効になったままである(最初の画面におけるメニューの[ActiveXフィルタ]という項目にはチェック・ボックスが付いたまま)。このサイトに対してもう一度フィルタを有効にするには、上の丸いマークをもう一度クリックする。するとボタンの表示が[ActiveX フィルタを有効にする]に変わっているので、それをクリックする。
IE9では、ダウンロードするファイルやデータをまとめて管理するダウンロード・マネージャが新たに導入された。ファイルのダウンロードの進捗状況を表示するだけでなく、ダウンロード後も履歴が残っているので、ファイルをどこへダウンロードしたかを忘れて困った、という事態が発生しにくくなっている。
以下はIE9でファイルのダウンロードを開始したところである。ポップアップ・ダイアログが表示されるのではなく、IE9の画面の下部にこのような通知ダイアログが表示される。なおこのダイアログを「通知バー」といい、IE9ではすべてのメッセージはこのように画面の下部に表示されるようになっている。
ダウンロードが始まるとダウンロード・マネージャが起動する。一番上に、最後にダウンロードを開始した項目が表示される。
ダウンロード・マネージャを利用すれば、同時に進行する複数のダウンロードも簡単にその状況を確認できるし、過去にダウンロードしたファイルもすぐに見つけることができる。
ダウンロードする場所は、上の画面にある[オプション]で設定する。このリンクをクリックすると次のように表示されるので、ダウンロード先やダウンロード完了時の通知をするかどうかを設定する。
今回はGPUによるアクセラレーションやタブ操作機能、セキュリティ、ダウンロード・マネージャなどについて解説した。次回は最終回として、管理者や開発者向けの機能について解説する。
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