【@ITスマートフォンアプリ選手権レポート】 学生からプロまで入り乱れてのアプリ合戦頂上対決!D89クリップ(35)(1/4 ページ)

スマートフォンアプリ選手権の決勝大会がお台場で開催され、予選を勝ち抜いたアプリとその作者が集合。面白プレゼンで盛り上がったイベントをレポート

» 2012年01月13日 00時00分 公開
[仲里淳@IT]

Windows Phoneの成功を左右する? イベント開催

 10月29日、@IT編集部主催、日本マイクロソフト協賛によるアプリコンテスト「スマートフォンアプリ選手権」の決勝大会が開催された(速報は「後発のWindows Phoneアプリ市場は、開発のしやすさで追い付くか」でお伝えした)。場所は「おばかアプリ選手権」でおなじみのお台場カルチャーカルチャー。予選を勝ち抜いたアプリとその作者が、全国から集結した。

 コンテストは、9月12日から10月24日までの期間に応募されたWindows Phoneアプリ作品を、編集部と日本マイクロソフトのエバンジェリストが審査。そこで選出された10作品が決勝大会でプレゼンを行い、受賞作品を決定するという流れになっている。

デザインハックミーティングのホームグラウンド「カルカル」で開催 デザインハックミーティングのホームグラウンド「カルカル」で開催

 今回は、Windows Phoneアプリの「面白さ」や「役立ち度」などが審査対象で、いつもの「おばか」とはちょっと違うのでご注意。

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 本レポートでは、エントリー数269アプリという激戦の中から選ばれた10作品を、作者のメッセージや開発裏話とともに紹介する。

司会も審査員もスタッフも個性派ぞろいの面々が集合

 司会を務めたのは、元インターネットマガジン編集長で、現在は独自の視点でスマートフォンやITサービスの使いこなしライフハックを実践する倉園佳三氏(@zonostyle)、そしてもう1人は、ミンティアガールズ香川県代表の小泉みゆきちゃん(@koizumimiyuki)のお2人。

司会の倉園佳三氏と小泉みゆきちゃん 司会の倉園佳三氏と小泉みゆきちゃん

 イベント開始に先立ち、倉園氏は「スマートフォンが普及するポイントは2つあると思っています。使いやすさやかわいさといった端末自体の魅力。そしてもう1つがアプリ。アプリがどれだけ充実しているかが重要」とアプリの重要性を強調。これからWindows Phoneが盛り上がるためには、アプリと開発者の存在が鍵となる。

 今回の審査員は、日本マイクロソフトの大場章弘氏をはじめ、ソラミミストの安齋肇氏、慶應義塾大学の中村伊知哉教授、もはや説明不要の高橋名人など、エンジニアイベントとは思えない豪華かつバラエティに富んだ面々。

【審査員】

  • 安齋肇氏(ソラミミスト)
  • 中村伊知哉氏(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)
  • 高橋名人(ゲッチャ・コミュニケーションズ)
  • 大場章弘氏(日本マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部執行役 本部長)
 
 
 

審査員一同。左から中村氏、安齋氏、大場氏、高橋名人

 審査員を代表して開会のあいさつを行った大場氏からは、「今日は、年に一度お酒を飲みながら仕事ができるということで、とても楽しみにしていました。最終審査に残ったアプリ開発者の皆さんは緊張感いっぱいですが、会場は逆にリラックスモード。今日の勝利の秘訣は、会場のリラックス感にどれだけ打ち勝てるか。Windows Phoneの成功は、アプリとその開発者の皆さんにかかっています。今日はぜひ頑張ってください」と、出場者へのアドバイスが贈られた。

世界初? WP用2ちゃんねるまとめ読みアプリだお!

アプリ名:2chまとめ読み
作者:山下拓也
価格:無料


 「2chまとめ読み」は、主要な「2ちゃんねるまとめサイト」をまとめ読みできるアプリだ。Windows PhoneのピボットUIを生かし、「横スクロールでサイトの切り替え」「縦スクロールで記事タイトル探し」ができる。

大好きな赤いきつねTシャツで登場した山下拓也氏(@yamashitatakuya) 大好きな赤いきつねTシャツで登場した山下拓也氏(@yamashitatakuya

 山下氏は、開発のきっかけを「Windows Phoneで使えるニュースアプリが欲しかった。まとめ読みなら2chのまとめサイトで十分だなと思ってアプリを探したところ、Windows Phone用ではなかった。だったら自分で作るしかないと思った」と説明した。

2chまとめ読み。ピボットUIでの操作が快適 2chまとめ読み。ピボットUIでの操作が快適

 アプリ自体は単純な機能であるものの、「ないなら自分で作ってしまえ」の精神が素晴らしい。今後の予定として「読みたい2chまとめサイトをだけを表示する」「2chまとめサイトごとにスタート画面へ固定する」といった機能追加を予定しているとのこと。

2ちゃんねるまとめ読みアプリらしく、プレゼンには2ちゃん発の人気キャラ「やる夫」が登場! 2ちゃんねるまとめ読みアプリらしく、プレゼンには2ちゃん発の人気キャラ「やる夫」が登場!

【審査員のコメント】

高橋名人 「アプリはおそらく普通の出来とは思いますが、プレゼンが面白くてアプリ40点、プレゼン60点といったところ。トップバッターとして会場を盛り上げてくれて、楽しいプレゼンでした」

大場氏 「私もプレゼンの方に引き込まれて、アプリ画面の方は見てなかったのですが(笑)、素晴らしいプレゼンでした。1本目のこの作品が、今日のベンチマークとしてイベント全体のクオリティを決めるので、その意味でも素晴らしいプレゼンをされたと思います」

ハァ〜っとしてグゥ〜! バーでキメたいモテアプリ

アプリ名:SteamMessage
作者:池田道弘(ドリームオンライン)
価格:無料


 SteamMessageは、曇った窓ガラスに指で文字や絵を書くことを再現したアプリ。しばらくするとメッセージは消えるが、もう一度息を吹きかけると、書いたメッセージが浮かび上がる。アプリのアイデアを練っていたころ、お風呂の曇った鏡を見ていて思い付いたという。

ご本人もモテ系な池田道弘氏(@ikeda_shogouki) ご本人もモテ系な池田道弘氏(@ikeda_shogouki

 プレゼンでは、バーのシチュエーションを想定して、男性が女性にメッセージを伝えるといったシーンが紹介された。池田氏によれば、当初そういう使われ方を想定していたわけではなかったものの、マーケットプレイスでのコメントなどでユーザーがそういった使い方をしていると知ったという。

SteamMessage。こんなこともさらっと伝えられる SteamMessage。こんなこともさらっと伝えられる

 シンプルな分、他の人が使い方を考えてくれた好例だろう。非常にロマンチックなアプリである。

再びガラスが曇るとメッセージが浮かび上がる 再びガラスが曇るとメッセージが浮かび上がる

【審査員のコメント】

中村氏 「いやー、実におしゃれでいやらしいですねぇ?。一瞬の言葉のプレゼントという“はかなさ”がいいですね。あちこちのバーでスマホをフーフー吹くオヤジの姿が見られるようになるかもしれません。どういうシチュエーションかは申し上げませんが、僕も取りあえず暗い所で使おうと思います」

安齋氏 「相当使い勝手があっていいですよ。僕は絵を描くので、チ○チ○の絵なんか描いて女の子に出してもらうとかね……(※これ以上コメントは編集部の判断で自重しました)」

消せぬなら、加えてしまえ、モザイクを

アプリ名:モザイクフォト
作者:太原充啓(東京理科大)
価格:90円


 モザイクフォトは、撮影した写真画像やスマートフォン内にある画像にモザイク処理を施すアプリだ。撮影したものの、ネットにアップするときは顔出しNGな人が含まれていたり、人に見せてはマズイものをぼかしたりするときに便利だ。

開発した太原充啓氏(左)とその友人でプレゼンの助っ人として参加した峯島達幸氏(右) 開発した太原充啓氏(左)とその友人でプレゼンの助っ人として参加した峯島達幸氏(右)

 もともと「モザイクが大嫌いだった」という太田氏は、いろいろモザイク処理を研究していてこのアプリを思い付いたという(今回はモザイクを取り去るのではなく、追加するアプリだったのは誠に残念?)。

モザイクフォト。好きな部分にモザイクを掛けられる モザイクフォト。好きな部分にモザイクを掛けられる

 たまたま通りかかったケータイショップで出会ったWindows Phoneにみせられて衝動買い。アプリが少ないと感じ、自ら開発することにした。プログラミングの経験はあったものの、Windows Phoneは手にしたばかり。にもかかわらず、1日で作り上げることができたという。たった1日を費やしただけで決勝まで進出とは、コストパフォーマンスが高い、高過ぎる!

 今後はモザイクの強弱を調整できたり、ソーシャルメディアへ投稿できたりする機能を追加していきたいという。

【審査員のコメント】

高橋名人 「僕もブログを書くので、こういうアプリは欲しいです。今後は、モザイクのバリエーションを増やしたらさらに便利なアプリになるのではないでしょうか。他の画像処理アプリが必要なくなるくらい進化させてほしいです。この機能なら、450円くらいまでなら僕はお金出して買いますよ」

大場氏 「実用性が高くて、Windows Phoneの持つソーシャル連携との親和性が高い素晴らしいアプリだと思います。今後の改良点としては、Windows Phoneの顔認識を使って、嫌いな人の顔が写っていたら自動的に処理してしまうようなことができるといいかもしれませんね」

Wikipediaの英知をつないで市販辞書のクオリティを超越

アプリ名:WikiTrans
作者:松村哲郎(横浜国立大学)
価格:無料


 WikiTransは、Wikipediaのデータを応用した専門用語に強い翻訳アプリだ。Wikipediaの「他の言語」へのリンクを利用して、1つの単語が他の言語でどう書かれているか表示する。現在、30言語以上に対応している。いわゆる文章などを翻訳するわけでなく、Wikipediaの見出し語のみが対象となるが、逆に専門性の高い言葉の場合、市販の辞書よりも役立つという。

趣味でゲーム制作などをしているという松村哲郎氏(@rdmmtd) 趣味でゲーム制作などをしているという松村哲郎氏(@rdmmtd

 Wikipediaにない語は翻訳できないという弱点があるが、そこはマイクロソフトが提供する翻訳APIを併用することで補っている。

WikiTrans。「多項式時間」なんていう難しい専門用語も各言語へ一発翻訳 WikiTrans。「多項式時間」なんていう難しい専門用語も各言語へ一発翻訳

 アプリ開発に要した時間はわずか十数時間。「10時間で最初のバージョンは開発できましたが、エラー処理をしていなかったためマーケットからリジェクト。さらに数時間かけて修正して、公開できました」(松村氏)。

 前に登場した太原氏もそうだが、このスピード感は開発環境が整っているWindows Phoneならではだろう。

【審査員のコメント】

大場氏 「1日かからず開発したという話にはビックリです。決勝大会の出場者には、ソフトウェア開発のプロの方もいらっしゃいますが、そのうち3組は学生です。大学の勉強もしながら、短期間でこれだけのものを実装できるのは素晴らしいです。日本だけでなく、世界でも通用する可能性を秘めていると思います」

中村氏 「まさに天才現わるですね。ビックリしました。自分で翻訳するのではなく、世界の情報をつないでいるということですよね。ボクもこれからの時代はこういうアイデアが重要だと思っています。もしかすると特許も取れるのではないでしょうか?」

恥ずかしくないオトナになるためのマナー学習アプリ

アプリ名:大人のマナー初級編
作者:椎野磨美
価格:無料


 椎野氏は、いつもは都内某所で働く会社員で、アプリ開発は趣味。「日常を便利にする仕組み」を考えることが仕事という椎野氏のアプリが、クイズ形式でマナーが学べる「大人のマナー初級編」だ。新社会人や就職活動中の学生はもちろん、「あらためていわれると自信がない」というベテラン社会人にも役立つだろう。

出場者の紅一点となる椎野磨美氏(@m_shiino) 出場者の紅一点となる椎野磨美氏(@m_shiino

 「電車の中で、ケータイ片手に肉まんを頬張る女性を見掛けて、さすがにそれはマナー的にどうだろうと思った」ことが、アプリを開発するきっかけだった。

大人のマナー初級編 大人のマナー初級編

 基本は問題と回答を表示するシンプルなアプリだが、重要だと思った部分にマーキングしたり、途中で止めても続きから始められたりと、通勤などの空き時間に使いやすい機能が備わっている。「女子力アップやカワイイ系をイメージした」というデザインは、確かにかわいらしい仕上がりで、今後はスキン変更も追加する予定だという。この辺りは女性ならではの感性といえるが、案外こういった「基本機能とは別の、ちょっとしたプラスアルファ」がアプリの人気を左右するのかもしれない。

 ちなみに、マナーに関する問題自体は、別のプラットフォームで同種のアプリを開発しているゼーラの提供によるもの。「Windows Phoneアプリでも出したい」と相談したところ、無償で提供してもらえたという。「いいアイデアはあるけどコンテンツがなくて……」という開発者は、椎野氏のように思い切って行動してみると道が開けるかもしれない。

【審査員のコメント】

安齋氏 「僕はマナーに関しては厳しいですよ。時間を守らないようなヤツには特に厳しいですよ。僕がやったらおそらく0点でしょうけどね(苦笑)。マナーというのは人に聞きにくいものですが、取り返しがつかなくなることもありますから大切です」

高橋名人 「50歳を超えると、今さら聞けないよなというマナーも結構あります。そういうものを、こういったアプリで覚えることは必要です。ここから、結婚編とか葬儀編とか細かくしていくとよいと思います。あとは、問題を誰でも作れるような仕組みがあるとよいですね。クイズアプリとしての応用もできますし、学生なら英単語を覚えるためにも使えそうです」

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