面接に通る「職務経歴書」の書き方【システムエンジニア編】IT業界職種別・職務経歴書の書き方(2)(1/2 ページ)

職種別に、職務経歴書・自己PRのサンプルを紹介。それぞれのポイントを、キャリアコンサルタントが解説します。

» 2012年02月21日 00時00分 公開
[横山泉DODA ]

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システムエンジニアの採用傾向と対策

 システムエンジニア(SE)の場合、転職活動時に「他者との差別化が難しい」と悩む人が多いのではと思います。以下、企業の採用担当者が見ているポイントを紹介します。

1.“システムの全体像”を意識してプロジェクト内容を書く

 採用担当者がSEを採用する際、「プロジェクトの全体像やシステム導入の目的を理解して仕事をしていたのか、それとも割り振られた領域の設計を行っていたのか」で評価は変わってきます。「自分はプロジェクトの全体像や目的を理解していた」ことをアピールするため、「プロジェクト概要」と自身が担当していた役割=「業務内容」は特にしっかり記載しましょう。システム全体を理解するために努力してきたこと、心掛けてきたことなどがあれば、それもアピールしましょう。

2.どのような設計・開発を経験してきたのか、整理して書く

 「設計・開発」といっても中身はさまざまです。どのようなシステムでの設計・開発経験があるのか、読み手に分かりやすく伝えましょう。「分かりやすく伝える」ためには、下記のように整理するのがおすすめです。

  • クライアントサーバシステムなのか、Webシステムなのか?
  • パッケージシステムなのか、スクラッチ開発なのか?
  • 新規開発なのか、既存システムの改修なのか?(既存システムの追加開発の場合は、どのような機能を何件担当したのか)

 その他にも設計方法(ウォーターフォールモデル、アジャイルソフトウェア開発)やフレームワークの利用の有無などを中心に詳細を記載しましょう。

3.応募先企業と職種に合わせて、強みを意識して書く

 応募する企業や職種によって、求められるスキルや要件は異なります。そのため当然、アピールする切り口も変える必要があります。

 経験してきた業務知識を伸ばしていきたい場合、自己PRではすでに持っている業務知識をメインに書き、「どのように業務知識を習得したか」「業務知識を生かして顧客やプロジェにクト内で貢献できたエピソード」で掘り下げていきます。

 Web系や製品開発など、技術志向の職種を希望する場合、開発環境の詳細、プライベートを含めた技術習得への取組内容をメインに書きましょう(参考:「職歴書の書き方:プログラマ編」)。

 マネジメント志向の場合、これまでの経験でマネジメント的な役割を担ってきた具体例をメインに持ってきます。サブリーダーといっても、企業によって役割は異なります。 「具体的にどのような役割を担ったのか」「「マネジメント業務の中で特にこだわったことは何か」という視点から記述しましょう。

 顧客との折衝などに挑戦したい場合、特に経験がない場合は「ユーザーのニーズや生の声を聞くために努力してきたこと、その成果」をメインに書きましょう。 顧客と話すポジションでは、コミュニケーション能力が強く求められます。そのため、チーム内での具体的なエピソードを書きましょう。

 ただし、「私はコミュニケーション能力が高いです」という表現はNGです。 コミュニケーション能力は、面接の中で面接官が判断する能力だからです。「コミュニケーション」という抽象的な表現は避けます。あなたが周りと協力しながら仕事を進める時に大切だと考えていること、工夫してきたことの中で 「今後の仕事に生かせる」と思う事例について、具体例を交えて書きましょう。

まずはこれだけ! ワンポイント・アドバイス

● 職務経歴

 技術職以外の経歴に関しても、部署名まで必ず記載しましょう。

● 生かせる経験・知識・技術

 生かせる経験や知識、技術は、ポイントを記載の上、補足説明をつけてアピールしていましょう。経験が長い場合は、直近のアピールできる経験から記載するのも効果的です。

● 開発経歴

<プロジェクト内容>

  プロジェクトごとに【プロジェクト概要】【担当フェイズ】【業務内容】【実績・取り組みなど】を必ず記載しましょう。

<開発環境>

  言語については、フレームワークや種類について【OS】【言語】【フレームワーク】【DB】の順に記載しましょう。

<役割/担当/規模>

 【役割】には該当期間を明記しましょう。【担当】には自身が管理した項目を、【プロジェクト規模】には、中心となって携わった案件の要員数を記載し、全体要員数も記載しましょう。プロジェクトに途中でアサインされた場合は、アサインされた時期からが該当期間となります。

● テクニカルスキル

 テクニカルスキルは、どれくらいの経験内容であるのかを、具体的な年数とコメントで記載しましょう。



■ 職務経歴書(システムエンジニア)のサンプル

※上で紹介した用語にカーソルを当てると「ワンポイント・アドバイス」を確認できます。

20××年×月×日現在

氏名:椎茸 木野子

■ 職務経歴

2004年4月 株式会社○○○○ 入社 新人研修を受講
2004年6月 自社プロダクト開発部に配属
2006年12月 外販ソリューション部に異動
2012年2月 現在に至る

■ 職務要約

 入社当時は、自社の会計PKGの開発に2年従事し、外販ソリューション部に異動後は、Javaでのシステム開発を8年経験。主に大手SIerに常駐し、要件定義から基本設計・詳細設計・実装・総合テスト・運用保守までの全工程を担当してきました。最近ではこれまで培った技術力を基に、アーキテクチャの設計を担っています。また、少数ではありますが、リーダーとしてメンバー10名程度のチーム管理を担当してきました。

■ 生かせる経験・知識・技術

  • 開発経験・業務知識
    Javaでの業務アプリケーションの設計、開発において8年の経験があります。流通の分野に関しては業務アプリケーションの開発において2年半の経験があり、金融機関向けのミッションクリティカルなフレームワークの開発を3年経験しています。

  • プロジェクトマネジメント経験
    5名規模のチームでリーダーとして工程管理・進捗管理・品質管理を経験しています。開発プロセスの効率化と品質管理に力を入れたプロジェクト運営を行うことで、チームの生産性の最大化の実現を常に意識して業務を遂行しています。

  • 顧客折衝の経験
    エンドユーザーとの仕様決め打ち合わせに参加し、顧客要件の整理、および顧客との調整を円滑に行うため、理解しやすく要点がつかみやすい提案・検討資料を作成しながら、折衝を行ってきました。その結果、ユーザーの要望を的確に把握することに成功し、リリース後のシステムにも定評をいただいております。

■ 開発経歴

株式会社○○○○(2004年6月〜現在)

期間

プロジェクト内容

開発環境
役割/担当/規模

2011年
10月

現在

不動産会社向け情報一元化を実現するためのシステム開発

【プロジェクト概要】
オートメーションシステムを納入する企業にて、建物に納入されたシステムの情報をWebで一元管理し、営業支援として活用するシステムの開発を担当。

【担当フェイズ】
要件定義、基本設計、詳細設計、プログラミング、テスト

【業務内容】

  • エンドユーザー(営業推進室)との要件定義、仕様調整
  • 仕様調整後の設計、開発、テスト
  • フレームワーク、アーキテクチャの決定・導入
  • 開発ツールの作成

【実績・取り組みなど】

  • 要件を実現するため画面イメージをもとに、都度ユーザーに対してヒアリングの場を設け、具体的なイメージを共有することで開発を進めることを心掛けた。

  • アジャイル開発を導入し、動くものを早い段階で確認していただくことで、 要件のぶれがないように取り組んだ。

  • データ切り出しのタイミングを揃える必要があったため、各システムの最良のタイミングと、業務を止めることができる許容日数を調整し、全システムで最良となるタイミングを調整できた。

【OS】
UNIX

【言語】
Java

【フレームワーク】
Click Framework
Seasar2 S2JDBC

【DB】
Oracle Databese 10g

【その他ミドルウェア、サーバなど】
Tomcat
Ajax

【役割】
プロジェクトリーダー

【規模】
担当10名
(うち協力会社2名)
(プロジェクト全体20名)

【担当】
進捗管理
品質管理

2009年
11 月

2011年
9 月
(1年11カ月)

大手ベンダ向け自社製品開発プロジェクト

【プロジェクト概要】
「○○○○(製品名)」を活用したミッションクリティカルな金融機関の基幹系システム向けJavaフレームワークの開発を担当。

【担当フェイズ】
要件定義、基本設計、詳細設計、プログラミング、テスト、保守

【業務内容】

■ 新規フレームワークの開発

  • オンライン処理、バッチ処理について独自フレームワークの プロトタイプを作成してのアーキテクチャの検討・設計作業を担当
  • DIコンテナ機能についてリーダーとして開発作業に従事
  • 作成したフレームワークを金融機関へ適用し、金融機関のエンドユーザーとの、決済システムのバッチ方式設計(要件定義)を担当

■ 既存フレームワークの開発・保守

  • 既存フレームワークの改善・提案(生産性向上や開発者の負荷軽減など)
  • 改善案を元にリーダーとして改修作業に従事
  • 回帰試験ツールの設計・開発
  • 銀行向け開発案件にてVBからJava、Ajaxへのマイグレーションの提案作業を担当

【実績・取り組みなど】

  • リーダーとして情報共有を徹底し、毎朝、進捗状況とその日の作業、残タスクをチーム全員で確認することで、作業の漏れ・重複を無くし、結果として作業効率を向上させることに成功。

  • オープンソースを使わない独自のフレームワークの開発にて、既存のオープンソースを徹底的に解析し、必要な機能をシンプルな形で実現できた。

  • テスト工程では不具合収束状況をグラフなどで定量化し、視覚的にも把握しやすい状態で管理をすることで、品質向上に貢献。

【OS】
Linux(RedHat)

【言語】
Java

【フレームワーク】
Spring
Struts

【DB】
Oracle Databese 10g
IBM Database2

【その他ミドルウェア、サーバなど】
IBM WebSphere
Interstage
WMQ
WMB
TWS
HULFT
SVF(帳票)
Selenium
Trac

【役割】
リーダー(2010年8月〜)
※担当6名(うち協力会社4名)

サブリーダー(2009年 11月〜×月)

【規模】
担当:4名
(プロジェクト全体:100名)

【担当】
進捗管理
品質管理

2007年
5 月

2009年
10 月
(2年6カ月)

大手流通系企業向け会計、生産管理システム開発

【プロジェクト概要】
独自で開発された基幹システムの機能の追加開発、保守運用を担当

  • Web画面のインターフェイス変更
  • データ一元管理機能を追加

【担当フェイズ】
基本設計、詳細設計、プログラミング、テスト

【業務内容】

  • 業務アプリケーションのプロトタイプ作成、設計標準化を担当
  • アーキテクチャの検討・選定
  • Struts、Springをベースとした独自フレームワークの開発
  • 設定ファイルの自動化やORマッピングの自動化を実現
  • リリース後の運用マニュアル作成、及びユーザーからの問い合わせ対応

【実績・取り組みなど】

  • 開発の生産性、品質を向上するため、DI設定ファイルの自動生成やORマッピングファイルの自動生成を実現した。

  • オフショア開発で品質を管理するため、レビューチェック表を作成し、工程毎にレビューを行うことで問題の早期発見、品質と納期の確保を行った。

  • 運用も担当したことで、運用を見越したうえでの設計や開発フェイズにおける改善点を洗い出し、次のプロジェクト内で品質を向上させることができた。

【OS】
UNIX
Windows Server2008

【言語】
Java

【フレームワーク】
Struts
Spring
IBatis

【DB】
IBM Database2

【その他ミドルウェア、サーバなど】
Websphere
Acegi
AXIS
WMQ
Maven
iText(PDF)
Mantis

【役割】
メンバー

【規模】
プロジェクト 全体:20名

【担当】
新人の教育担当

2006年
12 月

2007年
7 月
(8カ月)

ネット銀行向けWebバンキングシステム開発

【プロジェクト概要】
大手都銀のWebバンキングのシステム統合プロジェクトを担当。

  • 業務のSTP化(自動処理)
  • MVCモデルによる機能分離と業務部品の再利用

【担当フェイズ】
基本設計、詳細設計、プログラミング、テスト

【業務内容】

  • StrutsによるJava、JSP、EJB連携を使用したシステムの開発
  • 決済システム(ネットデビット、ネット振込)の基本設計から システムテストまで実施
  • サブリーダーとして進捗管理、作業割振り、品質管理を担当

【実績・取り組みなど】

  • ユーザビリティ向上のため、設計書に基づくのみならず、都度ベンダに対してヒアリングの場を設け、開発を進めることを心掛けた。

  • 品質管理において、作業漏れやミスを防ぐため、日次の進捗・品質チェックを行うことでメンバーとのコミュニケーションを密にし、生産性を最大化できるように工夫した。

【OS】
Windows Server 2003

【言語】
Java

【DB】
Oracle

【フレームワーク】
Struts

【その他ミドルウェア、サーバなど】
Cosminexus

【役割】
サブリーダー

【規模】
要員数:4名
(プロジェクト全体:80名)

【役割】
進捗管理
品質管理

2004年
6 月

2006年
11 月
(2年6カ月)

自社生産管理PKGのバージョンアップ

【プロジェクト概要】
社内で管理しているPKG(生産管理システム)の機能アップ及び不具合改修対応。

  • ・PDM(部品管理システム) パッケージソフト○○を使用して、設計情報や製品の構成部品などを一元的に管理する生産管理システムを開発。

  • Web画面のユーザビリティ向上を目的とした、ユーザーインターフェイス設計

【担当フェイズ】
基本設計、詳細設計、プログラミング、テスト

【業務内容】

  • C#でのスクラッチ開発にて実施
  • メンバーとして、基本設計以降を担当
  • マルチスレッドの通信ライブラリの作成
  • ファイルの圧縮、解凍処理の作成
  • パッケージソフトの機能を拡張したライブラリの作成を担当

【実績・取り組みなど】

  • SQLServerでのデータ操作を習得

  • 長期的な成長を視野に入れ、PKG製品としての機能(インターフェイス、操作性、ファイルIO、セキュリティ、ロギング、異常処理制御)を理解した。

  • 問題に直面した際の課題解決方法をメモすることを心がけ、履歴をEXCELシートで管理し、同じ質問・ミスをなくすよう注力した。

【OS】
Windows

【言語】
C#.net

【DB】
SQL Server

【メンバー】
プロジェクト 全体:8人

■ 取得資格など

2005年12月 基本情報処理技術者
2007年5月 ORACLE MASTER Bronze
2009年6月 応用情報技術者
2010年5月 ORACLE MASTER Silver

■ テクニカルスキル

OS Windows

UNIX(Solaris)
Linux(RedHat)
10年

2年
3年
インストールから環境構築、開発が可能
設計書を元に環境構築が可能
要件に応じた環境設計・構築が可能
言語 Java

C#
Javascript
Shell
VBA
8年

2年
5年
5年
1年
状況に応じて最適なコードが書け、指導が可能
簡単なプログラミングが可能
簡単なプログラミングが可能
処理の自動化が可能
簡単なプログラミングが可能
フレームワーク Struts
Spring
Seasar2
S2JDBC
8年
4年
1カ月
1カ月
 
DB Oracle
DB2
SQL Server
MySQL
6年
4年
2年
1年
インストールからテーブル作成が可能
インストールからテーブル作成が可能
インストールからテーブル作成が可能
インストールからテーブル作成が可能
その他ミドルウェア、サーバなど Apache
Tomcat
Websphere

Cosminexus
Interstage
2年
4年
5年

1年
1年
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