――今までの話をまとめます(図5)。フルスクラッチが今でも有効な選択肢になる得る理由は、大きく5つあったと思います。
1つは、フルスクラッチでないとできない案件がいまだに存在するが、それをやれる会社が少なくなっていること。
2つ目は、パッケージのカスタマイズよりはリスクが少ないと、プラムザが考えていること。
3つ目は、ベーシックな技術を使うため、つぶしが効くこと。
4つめは、コミュニケーションスキルがあれば、要件定義は難しくないということ。
最後は、徹底したドキュメンテーションの合理化があれば、いわゆる“仕様変更”にも柔軟に対応できること。以上でした。
――先ほど「フルスクラッチのほうが結果的に楽」という話がありました。以上5つを総合すれば、間違いではないように思います。
島田氏 これはあくまで私たちの考えで、OSツールやパッケージに特化する会社を否定するものではありません。彼らも逆に言えば、私たちがリスクだと思っていることにあえて挑戦しているという見方もできます。フルスクラッチが今でも1つの十分にあり得る選択肢だと、業界の人たちにもお客さんにも思ってもらえればそれでいいのです。
――今回の締めくくりに、メッセージをいただければと思います。
島田氏 人類がプログラミングをやめるその日まで、プラムザには仕事があり続けるだろうという確信があります。技術力を武器に、「本当にお客さんのことを考えたシステムを作りたい」というITエンジニアがもっと集まってくれればと思っています。
2回に分けて、人類がプログラミングをやめるまで、フルスクラッチの仕事を続けるもあり得るということを検証してきた。徹底した合理化精神があれば、それも可能ということだった。
「そうは言っても、フルスクラッチでの開発なんて、エンジニアにとっては苦痛なのでは?」
次回は、エンジニア側から見たフルスクラッチについて突っ込んでいきたい。
森川 滋之
1963年生まれ。1987年、東洋情報システム(現TIS)に入社。TISに17年半勤務した後、システム営業 を経験。2005年独立し、ユーザー企業側のITコンサルタントを歴任。現在はIT企業を中心にプロモー ションのための文章を執筆。
著書は『SEのための価値ある「仕事の設計」学』、『奇跡の営業所』など。日経SYSTEMSなどIT系雑誌への寄稿多数。誠Biz.IDに「奇跡の無名人」シリーズを連載中。
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