連載
» 2012年09月28日 00時00分 公開

ライトニング・トークの成功率を上げる7つの技術達人ライトニングトーカーへの道(4)(2/2 ページ)

[嵩原將志,@IT]
前のページへ 1|2       

時間がなさすぎた、デブサミでの失敗談

 ここで、私の失敗談を共有します。Developers Summit 2010で発表をしたときのことです。

 当時は、大勢の聞き手の前で、50分間のプレゼンをすることに不慣れで(今でも不慣れですが)、かつ「初めてのデブサミ!」ということで入れ込みすぎました。プレゼンの準備に四苦八苦しており、当日の朝、ギリギリまで資料作成をしていたのです。

 「情報収集のために来ている人であれば、それほど詳しくない」と考え、丁寧な説明を心掛けたところ、スライドの30%くらいまできたところで「残り時間30分」の知らせがありました。あせってペースを上げたものの、スライドが半分まできたところで「残り10分」の知らせがありました。

 この「残り10分」表示を見た私は、しどろもどろな発表をした上、時間オーバーになってしまいました。今でも頭を抱えて反省するぐらいの出来事です。

失敗から学んだこと

 私の失敗からの学びはこれです。

 「リハーサルは超重要」

 1つのプレゼンテーションでも、トピック数は膨大です。トピックごとに、「スピードを上げる/落とす」や「内容を増やす/削る」といった判断(上で説明したオプションです)が必要になります。

 50分間のプレゼンテーションなら、切り替えは難しくありません。切り替えに失敗しても挽回できるチャンスはあります。しかし、LTは5分です。短い時間枠の中でオプションの切り替えをうまく制御するには、入念なリハーサルが必要です。

 話す内容をしっかり頭に叩き込こんでおけば、オプションを直感的に制御することが可能です。

 それでは話す内容をしっかり頭に叩き込むにはどうするか? それはひたすらリハーサルを重ねるのが確実です。

リハーサル超重要――ぼっち法のすすめ

 話す内容を深く理解することと、1対多の状況で話慣れていることが必要条件です。

 内容に対する理解度は、一朝一夕で飛躍的に深まるものではありません。日々の研さんの中で培うもので、発表前の数日間ぐらいでどうにかなるものではないのです。

 リハーサルをするといっても、本番同様のリハーサルは当然無理です。友人や同僚が付き合ってくれることもありますが、何回も付き合ってもらうのは難しいでしょう。

 そこで「ぼっち法」です。

  ぼっち法はその名のとおり、1人で行います。

 なるべく早い段階で行うと良いでしょう(スライドの完成度は低いままで問題ありません)。ただし、なるべく本番に近いテンションでやりましょう。

 私はよく、会社の会議室で、プロジェクタも使って練習します。

ぼっち法のメリット

  • 内容をしっかり頭に叩き込める

  • 説明のおかしいところ、前後のつながりが不自然なところに気が付く

 特に「つながりが不自然なところがあることに気が付く」が重要です。「プレゼンでの想定外」は多くの場合、話のつながりが唐突な場合に起きます。話している自分自身でも、納得感がないのです。

 この場合、対応としては

  • 「さて、話は変わりまして」といったつなぎを入れる

  • トピックの順番を入れ替える

 といったものが考えられます。「つなぎを入れる」は本番でもできますが、唐突であるという問題が解決されたわけではありません。

 やはり、ベターなのは「順番を入れ替える」方でしょう。しかし、順番の入れ替えは本番ではできません。そのため、不自然なところには、なるべく早い段階で気付く必要があるのです。

 プロジェクト同様、早期の失敗から学習することが、成功への近道です。

筆者のぼっち法

 私の場合、スライドにテキストをざっと書きこんだら、さっさとぼっち法でリハーサルを始めます。

 リハーサルをしながら、「おかしいな」と思うところを直したり、トピックを足したり引いたりしています。他の人に見られると相当恥ずかしいですが、本番で失敗してしまうことよって得られる、お客さんからの冷たい視線によるダメージに比べたら楽なものです。

失敗を繰り返せ

 ぼっち法を繰り返して多くの手直しを入れるとはつまり、「失敗を繰り返す」ことです。

 不自然な個所(失敗)を、その場その場で修正していくわけです。最初にたくさん失敗しておけば、本番でもし何かがあったとしても、すぐに対応できるようになります。

台本を作成しよう

 いやいや、そもそも、どんな風に話せばいいか分からない――。

 そんな人のためには、「台本を作ってしまう」ことをおすすめします。

 3年ほど前、社内でPMBOKの勉強会をした時は台本をきっちり作って臨みました。その時のテキストを、ブログにそのままアップしてあります。

 最近はここまで準備することはありませんが、慣れるまではこういったやり方を行うのも悪くありません。

格好いいスライドは情報収集から生まれる

Slideshareなどで、格好いいスライドをいっぱい見よう

 これまで「プレゼンで大切なことは、スライドではなく、発表者が話す内容である」と散々書いてきましたが、だからといってスライドを手抜きしてはいけません。

 時間が許す限り、スライドをブラッシュアップさせましょう。良いスライドを作るには良いスライドを知るところから。というわけで、以下のスライド共有サービスをチェックしてみることをおすすめします。

 筆者はSlideshareをメインに使っています。Slideshareを情報収集ツールの一種としても使っています。任意のユーザーをフォローすると彼らがfavoritedしたスライドが自分の Newsfeed に表示されるようになります。

 Web系の開発や企画に携わられている人は 「スマソ@IT」さんと「teiichi ota」さんをフォローしておくと良いでしょう。

 スマソ@ITさんは国内のイベントや勉強会で発表されたスライドを中心にチェックしていて、teiichiota さんは海外のスライドも含めてチェックされています。

 両アカウントフォローしておくと、旬でかつしっかりまとまった情報を収集することができて、とても参考になります。もちろん、自分がスライドを作るときの参考にもなります。

君の熱意を見せてくれ

 この記事ではひたすらプレゼンテーションの“技術”について解説をしてきました。

 しかし、そういった小手先の技術よりも、最終的には「伝えよう」とする熱意が重要です。

 たとえつたなくても、一所懸命その場に集中し、気持ちを込めてを正々堂々と話す人のプレゼンテーションに人は好感を抱きます。そしてこれまで解説してきたプレゼンテーションの技術は熱意があってはじめて効果を発揮するのです。

 ……と、ここまで言い切ると熱意があればなんとかなるようにも思えますが、適切な技術もなく熱意だけで事を推し進めてみても空回りすることもあります。

 DevLOVE Pub のコンテンツは熱意と技術の双方が書かれています。機会があれば、ぜひ、読んでみてください。

  1. 電書集団DevLOVE Pub
    過去のコンテンツはこちらで紹介されています。

  2. DevLOVE Pub
    最新情報はこちらで紹介しています(※ 要 Facebook アカウント)

LTで生まれた「ちょっといいこと」

 幸いなことに、「闇アジャイラー」は予想以上に面白がられ、懇親会でも多くの人から話しかけてもらえました。

 またSlideshareでは非常に多くの「これはwww」、「ガクガク(((( ;゜Д゜))))ブルブル」といったリアクションをいただきました。この後、仕事でもコミュニティでも、人前で話す機会が増えました。

 もし、こんなにウケなかったとしても、少なくとも「人前で話せる人だと認識される」という結果は得られたはずです。

 当時の私は、外部のイベントやセミナーで話すなんてことは考えられませんでした。しかし、「LTをやった」ことがそれを覆しました。

 「いままで踏み込んだことのない領域で、仕事ができるようになった!」

 LTをしたからこそ得られた、十分な成果だったと思います。

残された課題

 さて、きれいにまとめた……といきたいとことですが、実はまだ課題が残っています。

 今回の記事執筆に当たり、闇アジャイラーのスライドを見返してみて思ったこと。

 「フォントの色が殺風景……」

 色の使い方に関してセンスがないことだけはいかんともしがたく、カラフルなテキストで、もっとインパクトのあるスライドを作りたいと思いつつ、それができなくて困っています。

 そこでこのリレーコラムの続きを、私以上のLT職人でいらっしゃる@kwappaさんにお願いしたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございます。

 @kwappaさん、無茶振りで申し訳ありませんが、続きをよろしくお願いします!

筆者プロフィール

嵩原將志(たけはらまさし)

クラスメソッド株式会社 技術部所属。認定スクラムプロダクトオーナー。プロジェクトマネジメント、アジャイル(スクラム)、UXデザイン、RIA、ビジネスアナリシスに強い関心を持つマーケター。Flex User Group、DevLOVEといったコミュニティ運営の支援も行っている。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。