次はアプリの切り替え方法について見てみよう。
従来のWindows OSでは、アプリの切り替えはウィンドウを直接クリックしたりタスク・バーの一覧から選ぶほか、[Alt]+[Tab]キーや[Windows]+[Tab]キーなどを使って切り替えていた。だがWindows 8ではMetroアプリの画面とデスクトップ画面は明確に分離しているため、実行中のMetroアプリをタスク・バーから選ぶといった方法は利用できない。代わりに画面左端に表示させたアイコンを使って切り替える方法が用意されている(キーボード・ショートカットも利用可能)。
アプリを切り替える一番簡単な方法は、マウス・カーソルを画面左上隅へ移動させる方法である。マウス・カーソルを画面左上隅へ移動させると切り替え候補のアプリのアイコン(縮小ウィンドウ)が表示されるので、そのアイコンをクリックすると、画面がすぐにそのアプリに切り替わる。連続してクリックするとどんどんアプリが切り替わるので、希望するアプリになったところでマウスのクリックをやめればよい。
なおマウス・カーソルを画面左下に移動させるとスタート画面のアイコンが出てくるが、ここをクリックしてもアプリ画面が順次切り替わるわけではなく、スタート画面とその直前に表示していた画面が交互に切り替わるだけである。
もう1つの切り替え方法は、実行中のアプリの一覧(縮小アイコン画面)を表示させて、その中から選ぶ方法である。先の方法と同じように、まずはマウス・カーソルを左上隅へ移動させた後、今度はマウスを上下方向に移動させる。すると画面の左端現在実行中のアプリの一覧画面が表示されるので、起動したいものを選択してクリックすればよい。単にクリックするのではなく、画面の右端や左端までアイコンをドラッグすれば、Metroアプリを「スナップ(画面の右端か左端にウィンドウが寄せられた状態。後述)」させた状態にもできる。
アプリの「スナップ」とは、画面全体ではなく、画面の左端か右端に縦長の状態で配置することである(第2回 参照)。画面解像度が1366×768ピクセル以上の場合にのみ利用できる機能だ。Windows VistaやWindows 7のガジェットのように、情報を画面脇にずっと表示させておくために利用する。
スナップされたアプリは幅が320ピクセルとなり(画面サイズによらず常に320ピクセルとなる。ただし縦は可変)、メインのアプリはそのために通常よりも画面幅が342ピクセル(区切りのバーの幅20ピクセルが加算されている)狭くなっている。この狭くなったメインのアプリは「フィル」という。スナップは画面の左端と右端のどちらにでも配置できるが、中間位置に置いたり、横長にしたり(画面の上や下に配置すること)はできない。スナップとフィルは必ずペアになり、スナップを2つ並べたり、画面の真ん中で分けたりすることはできない。
アプリを画面左側にスナップした例
アプリを画面右側にスナップした例
Metroアプリは必ずスナップ機能に対応することが求められているが、スナップ状態でもアプリとして利用できるかどうかはアプリの作り方次第である。画面が多少狭くなっても、表示する情報を削減して対応しているものもあるが、スナップ状態になると単に静的なアイコンや図形を表示するだけで、何ら有用な情報を表示しないものも少なくない(特に現状では、ゲーム類はスナップ状態では動かないものがほとんどのようだ)。
なおMetroアプリが動作するためには、最低でも1024×768ピクセルの画面解像度が必要なようである。これより1ピクセルでも狭い画面だと、Metroアプリの起動に失敗し、次のようなメッセージが表示される。
Metroアプリ(およびデスクトップ画面)をスナップさせるには、アプリの最上部をドラッグして行う。マウス・カーソルをアプリの上端へ移動させるとマウス・カーソルが手の形(次の画面の(1))になるので、そこでドラッグする。
ドラッグしたまま、例えば画面の左の方(次の画面の(2))まで移動させれば、区切りのバー((3))が表示されるので、それを超えた位置へドロップすると、画面左側にスナップできる。同様に右側の方へドラッグしてから放せば((4))、画面右にスナップできる。なお、画面の下端までドラッグしてから放せば((5))、Metroアプリを明示的に終了させることができる([Alt]+[F4]でも同じだが、通常はユーザーが終了させる必要はない。しばらく使わなかったり、メモリが不足してきたりすると、Metroアプリは自動的に終了するようになっている)。
いったんスナップさせたMetroアプリを画面の反対側へスナップさせるには、アプリ画面の上端をドラッグして、スナップさせたい位置で放せばよい(次の画面の(7)→(8)、もしくは(5)→(6))。またスナップとフィルのアプリを入れ替えて、スナップ→フィル(もしくはその逆)にしたい場合は、仕切りのバー((1))を左右へ移動させればよい。バーを画面端まで移動させるとスナップ&フィルの状態は終了し、通常の全画面のMetroアプリ1つだけが動作している状態になる。
Windows 8をマルチモニタ構成で利用する場合、デスクトップとMetroアプリ(およびスタート画面)で1画面ずつ利用することが可能である。この場合は1366×768ピクセルではなく、例えば1024×768ピクセルの画面が2つであっても構わない。ただしMetroが利用するのは1画面に限られ、2画面に渡ってMetroアプリを実行することはできない(デスクトップは2画面以上にまたいで利用できる)。
モニタが1台の場合は、画面の端や隅へマウス・カーソルを移動させるとチャームやメニューなどを表示できるが、マルチモニタの場合は、それぞれのモニタで同じように操作してチャームやメニューを表示させることができる。例えばチャームは、モニタ1の右端にも表示されるし、モニタ2の右端にも表示される。
Metroの画面を移動させるには、先の方法と同じように、Metroアプリのウィンドウの上端をドラッグして、任意のモニタ上へ移動させればよい。キーボード・ショートカットを使う場合は、[Windows]+[PageUp]キーや[Windows]+[PageDown]キーを押すとMetroアプリ(やスタート画面)で使用するモニタを切り替えることができる。
今回はMetroアプリを切り替えたり、スナップさせる方法について解説した。次回はユーザー・アカウントの管理について見ていく。
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