リフレッシュされたPCでも登録されたユーザー・アカウントはそのまま残っているので、そのままユーザーを選んで(ドメイン・アカウントの場合は、ドメイン・ユーザー名を指定する)、パスワードを入力すればサインインできる。だがユーザー・プロファイルはすべて削除されているので、最初にサインインする場合にはユーザー・プロファイルの作成などの作業が行われる。
リフレッシュされたPCでは、ユーザーが追加したアプリケーションやWindowsストア・アプリ、「Windowsの機能」などはすべて削除されているので、すべて再インストールや再設定する必要がある。Windows 8に最初からインストールされているWindowsストア・アプリ(スタート画面に登録されているアプリ)だけは残っているように見えるが、これは実際にはサインイン時に(オリジナルのWindows 8のインストール・イメージから)自動インストールされたものである。そのためWindowsストア・アプリを起動すると、最新版に更新するように促すメッセージが表示される。
削除されたファイルは、いくつかはC:\Windows.oldフォルダに移動しているので、必要なら、ここからデータを取り出せばよい。ただし最初に述べたように、いくつかのファイルはタスク・スケジューラによって自動的にクリーンアップされてしまう。「C:\Windows.old\Users」はずっと残っているが、それ以外のフォルダ(「C:\Windows.old\Program Files」や「C:\Windows.old\Program Files (x86)」など)はすぐに(手元のシステムでは、リフレッシュ後数時間で)削除されてしまった。これはディスク領域を無駄に使用しないようにするためだろう。必要なら速やかに別のフォルダへ移動させておく。
ユーザーがインストールしたデスクトップ・アプリケーションもすべて削除されるが、削除されたアプリケーションの一覧は、デスクトップ上に「削除されたアプリケーション.html」という名前で保存されている。
次はPCのリセットについてみていこう。これを実行すると、システムをほぼ新規インストールした直後の状態に戻すことができる。PCのリセットを行うと、途中でPC名や最初のユーザー・アカウントを入力する画面などが表示されるが、これはWindows 8を新規インストールする場合の手順そのものである(連載 第1回の「簡単かつ高速になったWindows 8のインストール」参照)。異なるのは、最初に言語やインストール先のディスク・パーティションを選択する必要がないことぐらいだ。
PCのリセットを起動する手順は、先ほどのPCのリフレッシュと同じである。([Windows]+[I]キーで起動できる)設定チャームで[PC設定の変更]を選び、「PC設定」画面の「全般」から[すべてを削除してWindows再インストールする]を実行する。
「メディアを入れてください」という表示が現れたら、Windows 8のインストールDVD(もしくはインストール用USBメモリ)を挿入して先へ進めればよい。設定チャームからではなく、ブート・メニューから起動する場合は、「トラブルシューティング」画面にある[PCを初期状態に戻す]を実行する。
メディアを挿入すると次のような消去方法の確認画面が表示されるが、これはディスク(パーティション)を完全にゼロデータで消去するか、ファイルを削除するだけにするかを問い合わせる画面である。フォーマット・オプションにおける、クイック・フォーマットするかどうかと同じだ。
どちらかを選ぶと次のような確認画面が表示されるので、内容を確認後、[初期状態に戻す]をクリックしてリセット作業を開始させる。リフレッシュの場合と同様に、この操作を行うと現在のシステムがすべて初期化され、復元ポイントを使った復元もできなくなるので、十分注意して実行していただきたい。
システムにもよるが、10〜20分程度で次のようなライセンス条項への同意画面が表示されるはずである(ファイルの削除のみの場合)。
これはWindows 8の新規インストールの場合と同じである。次はPC名の入力、アカウントの作成を行ってしばらくするとサインイン画面が表示されるはずである。
こうやって初期化されたPCは、PCのリフレッシュの場合と違って、スタンドアロンのWindows 8として完全に新規インストールされた状態になっている。ローカル・アカウントも最初に作成したもの以外は存在しないし、ドメインにも参加せず、ワークグループ構成のままになっている。アプリケーションやデータもすべて消えているので、再インストールや再設定作業を行う必要がある。PCのリフレッシュの場合のように、古いデータはどこにも保存されていないし、削除されたアプリケーションの一覧リストもない。復元ポイントなどもすべて削除されているので、それらもすべて再設定する必要がある。
Windows 8ではリフレッシュやリセットのほかに、「自動修復」という機能も用意されている。これは以前のWindows OSで「スタートアップ修復」と呼ばれていたものに相当する。Windows 8(およびWindows Server 2012)では、ブート・メニューのトラブルシューティング画面から簡単に呼び出せるようになっている。
何らかの原因でWindows OSが起動しなくなった場合、自動的にWindows回復環境が起動するが、そこで利用できるオプションの1つがこの自動修復である。ブート設定が壊れていたり、ディスク・エラーやファイル・システム・エラーなどの問題が発生している場合、それらを自動的に検出して(可能なら)修復する。
自動修復を使えば何でも直せるというわけではないようだが、システムが不調になってブートしなくなった場合は、とりあえず1回くらいは実行してもいいだろう。自動修復でも問題が解決しない場合は(問題を検出できなかったと表示されることも少なくない)、あらためてセーフ・モードや回復コンソールなどを使って問題解決を試みるか、バックアップや復元、リフレッシュ、リセットなどを活用する。
自動修復を起動するには、システム起動時のブート・メニューで[トラブルシューティング]画面にある[詳細オプション]を選ぶ(このメニューの表示方法は、前述したPCのリフレッシュの場合と同じなので省略)。そして「詳細オプション」画面にある[自動修復]を選べばよい。システムが起動しない場合は、インストールDVD(もしくはインストール用USBメモリ)でシステムを起動し、[コンピュータを修復する]メニューから起動する)。
再起動後、修復対象のOSやアカウントの選択画面が表示されるので、それらを指定する。あとは自動的に問題点の検出と修復が行われるが、問題が見つからない場合は次のように表示されるので、ほかの方法で対処する。
今回はPCのリフレッシュやリセットによるシステム状態の回復について解説した。今までは、システムの復元のためにさまざまな方法が使われていたが、この手順が標準化されたのは管理者にとってありがたいところだ。
次回はWindowsストア・アプリについて解説する予定である。
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