10分で理解するBusiness Analytics、その全体像(2/3 ページ)

» 2013年01月29日 18時00分 公開
[中川帝人日本GMAP]
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Business Analyticsを支えるシステムの全体像

 業務を遂行することを目的とした「業務系システム」に対して、情報を分析するためのシステムは「情報系システム」と呼ばれます。類語が複数あってややこしいですが、後者の情報系システムが「Business Analytics」のためのシステムといえます。

 図1は筆者の考える「情報系システム」の全体像です。個人でこれら全体のアーキテクチャを把握することは、小規模な人数で行われるBusiness Analyticsの分野において非常に重要です。図1は代表的なソフトウェア名を記載して、イメージしやすいようにしています。ここで挙げているソフトウェアは全てオープンソースの廉価版や無償版が存在します。

 オープンソース製品を図に入れているのには以下の2つの理由があります。

  • 廉価版が存在するので、読者が簡単に試せること
  • 一般に費用に対しての効果が見えにくく、業務的な必然性の低い情報系システムは予算が獲得し難く、ライセンス費用を抑える必要があること

 もちろんこれらの製品を用いる必要はなく、他のシステムとの兼ね合いで商用サポートの付く製品が必要であれば、必要に応じて切り替えることは問題ありません。しかしながら「情報系システム」では、先のような制約により、無料や低価格で使用可能なオープンソースが主要な役割を担うと予想されます。本連載では、これらの製品に1つずつ着目して、これらの技術についての入門的な解説を行っていく予定です。

情報系システムの全体像

column:「ビッグデータ」について〜多くの企業ではビッグデータはまだ早熟?

 これまでの話で「ビッグデータ」や「Hadoop」などのキーワードが登場していないので気になっていた方がいらっしゃるかもしれません。実際にデータ解析といえば非構造化データやソーシャルメディアなどを対象とするイメージがあるように思います。特にITエンジニアやITベンダの立場からはこれらの技術に着目したいという気持ちはよく理解できます。しかし、筆者は以下のような理由から、多くの企業において必要とされるものではないと同時に、多くのITエンジニアにとっても重要なスキルではないと考えています。

  • TwitterやFacebookのデータを解析して、自社の売上増や利益増につなげる方法論が確立されていない
  • KPIが存在しないなど非構造化データを取り扱う目的が不明確であることが多い
  • 企業が分析するべきデータは既存のPOSデータなどの構造化データである
  • そのようなデータの多くは数百〜数千万件程度であり、既存のデータベース技術の延長で処理可能である

 筆者は、企業におけるデータ活用では構造化データの活用が基本にあり、その延長として非構造化データや大規模データの活用があると考えています。本稿で紹介した技術は基本に相当するものです。Business Analyticsでは多くの場合、基本の実装がうまくできていないので、延長の段階に踏み入るのは時期尚早であると考えています。


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