また、[セキュリティ]タブの「データの暗号化」は、デフォルトでは「暗号化が必要(サーバーが拒否する場合は切断します)」となっている。VPN接続が確立できない場合、「暗号化は省略可能(暗号化なしでも接続します)」にすることで接続できるようになることもある。ただし、暗号化が省略され、平文による通信が行われる可能性もあり、セキュリティ上好ましくないことから、「暗号化が必要」で接続できるようにVPNゲートウェイ側の設定を変更してもらうなどした方がよい。
[D]
これでもVPN接続が確立できない場合、[<接続先の名前>のプロパティ]ダイアログ−[セキュリティ]タブの「認証」のチェックをいろいろと試してみるとよい。また、ホスト名が正しいIPアドレスに解決されていることや、VPNクライアントの資格情報(ユーザー名やパスワード、ドメイン名)が正しいことなども、再度、確認してみるとよいだろう。
VPN接続後、VPN経由でインターネット(外部のWebサイト)が見えなくなるなどの不具合が発生することがある。このような場合は、[<接続先の名前>のプロパティ]ダイアログの[ネットワーク]タブを開き、「インターネット プロトコル バージョン 4(TCP/IPv4)」を選択し、[プロパティ]ボタンをクリックする。[インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)のプロパティ]ダイアログが開くので、ここで[詳細設定]ボタンをクリック、開いた[TCP/IP詳細設定]ダイアログの「リモート ネットワークでデフォルト ゲートウェイを使う」のチェックを外すとよい。ここにチェックが入っていると、VPNで接続しているネットワークのゲートウェイ経由でインターネットに接続しようとするため、上述のような不具合が発生することがある。ここのチェックを外すと、VPN接続前のゲートウェイ経由でインターネットに接続するため、この不具合が解消される。
このようにWindows 7/8では、トンネリング・プロトコルなどについて意識することなく、VPNクライアントの設定が行えるようになっている。一方、VPN接続が確立できない場合、なかなか原因がつかみにくいというデメリットもある。
ここではVPN接続に失敗する具体的な例を取り上げて、その対処方法を紹介しよう。
PPTPで標準的に使われてきた認証プロトコル「MS-CHAPv2」には脆弱性があることが知られている。そのためVPNゲートウェイによっては、管理者がその脆弱性を回避するために設定を変更していることがある(簡単にいえば「Protected Extensible Authentication Protocol: PEAP」というプロトコルでMS-CHAPv2が保護されるように設定する)。その場合、WindowsのVPNクライアントはデフォルトで接続できない。次のように、VPN接続のプロパティの[セキュリティ]タブで明示的に認証の設定を変更する必要がある。
上の画面で[プロパティ]ボタンをクリックしたら、以下のように設定を変更する。
ところでMS-CHAPv2の脆弱性については、以下のマイクロソフト公式ブログの投稿が大変参考になる。VPNサーバ/クライアントの設定変更方法についても、参考ページへのリンクが記載されている。
なお、後述するiOSやAndroidの標準VPNクライアントでは、どう設定を変えてもPEAPの設定をしたPPTP VPNゲートウェイには接続できなかった。どうやらPPTP VPNにおけるPEAPとMS-CHAPv2の組み合わせがサポートされていないようだ。
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.