エンジニアが市場価値を上げるには、営業力が必要だ。元SEで営業経験もある著者が、「エンジニアが身に付けておきたい営業力」を語る。
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前回の記事「『このエンジニアはすごい!』顧客もうなる『質問力』とは」で、顧客に認められるためのマインドについて考え、以下の3つを心掛けるだけでも顧客の反応が大きく違ってくると書きました。
これはコミュニケーションにおける基本方針であり、対顧客だけでなく、あらゆる場面で重要な考え方です。便宜上、「三大発信方針」と名前をつけます。
「当たり前のことじゃないか」という印象を持った人も多いと思います。
確かに、当たり前のことのように思えるかもしれません。なのに、なぜ私はこれを強調するのか? 多くの人と接していても、「この人は三大発信方針を心掛けているな」と感じることがほとんどないからです。
「できている」かどうかではありません。「心掛けている」かどうかです。
三大発信方針は、当たり前のことのように見えますが、実際にできるようになるのは難しいものです。身に付けるためには、日々心掛けて実践していくしかありません。
だから身に付いていないのは仕方がない。でも、「身に付けようと心掛けてもいないのでは?」と感じることがとても多いのです。
従って、「この人は三大発信方針を心掛けているな」と周囲に感じさせるだけでも、大きく差別化ができ、あなたの市場価値は向上するのです。
では、どうすれば「この人は三大発信方針を心掛けているな」と周囲に思わせることができるでしょうか。
「話の流れにふさわしい質問」をすればいいのです。
三大“発信”方針――つまり聞くというより話すための方針なのに、なぜ質問なの? と疑問に思うかもしれません。ここが最も重要なところであり、コミュニケーションの面白いところでもあります。
「相手の意向を無視して自分の話したいことだけ話す」のは、円滑なコミュニケーションを目指す上では論外ですね。これにはすぐに賛同してもらえると思います。そしてほとんどの人は、「自分は相手の意向を尊重して話をしている」と言うでしょう。
しかし、本当にそうでしょうか。あなたはどの段階で相手の意向が分かったのでしょうか。逆の立場のとき、先方が自分の意向を分かっていると感じることがどれだけあったでしょうか。相手の意向とは、そんなに簡単に分かってしまうものなのでしょうか。
相手の意向を、一言でまとめることはできます。「結局あなたの求めていることは、かくかくしかじかのことですよね?」と確認することは、コミュニケーションの基本スキルの一つです。しかし、一言にまとめるまでには相当の数の質疑応答のやりとりが必要なはずです。
何も話さないうちに、相手の意向をまとめることはできません。「結局」という言葉の裏には、たくさんのことを聞いたという前提があります。
質問しないと、相手の意向は分からない。意向が分からなければ、相手の役に立つこと、知らないこと、好奇心を満たすことを言うことはできません。だから、質問することが重要なのです。
質問のテクニックやスキルに関することは、それだけで何冊も本が書けるぐらい幅広く、奥深い領域です。実際にたくさんの本がある中から、2冊だけお薦めしておきましょう。
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