統一アーキテクチャによるオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドの連携や、運用・管理の優位性を示したMMS2013。キーノートでは、Cloud OSのビジョンと呼応する同社製品群のアップデートが披露された。
2013年4月8日(米国時間)、米マイクロソフトは「The Microsoft Management Summit 2013」(MMS2013)を開催、「Microsoft System Center SP1」を中心に、システム運用・管理面でのアップデート情報を披露した。
キーノートセッションでは、米国マイクロソフトでWindows ServerおよびMicrosoft System Centerの製品マネジメント担当副社長を務めるブラッド・アンダーソン氏が登壇、直近のWindows ServerおよびSystem Center SP1に関連するアップデートをまとめて紹介した。いずれも同社の推進する「Cloud OS」のビジョンをトレースするものでもある。
本稿ではまず、System Center SP1のアップデート情報を中心に紹介する。
アンダーソン氏はプレゼンテーションで「Windows Server、Hyper-V環境はエンタープライズレベルでの要求に応えられるスケーラビリティを実現しており、データセンターの管理・運用を革新する」「ユーザー中心主義の視点でCloud OSビジョンを推進する」とコメント。単一のアーキテクチャで、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミス環境間をシームレスに接続できる同社製品群の強みを生かした「Cloud OS」ビジョンの優位性を強調した。
この日、「System Center Management Pack for Windows Azure」がパブリックプレビューとして公開された。この機能の追加により、オンプレミス環境とAzure環境の双方を、System Center上で一元的に管理できるようになる。
また、設定管理を通じてダウンタイムの削減を支援する「System Center Advisor Connector for Operations Manager」もパブリックプレビューになった(2013年3月6日発表済み)。System Center 2012 SP1のユーザーは無償で利用できる。このコネクタを利用すれば、System Center Operations Managerのコンソール上で、System Center Advisorがベストプラクティスと照らし合わせて生成した設定に関するアラートを受け取り、管理できるようになる。
なおSystem Center Advisorは新たに、Windows Server 2012とMicrosoft Hyper-V Server 2012のワークロードに対応した。
System Center Data Protection Manager 2012 SP1向けに、Windows Azureへのオフサイト バックアップを可能にするサポートを追加している。こちらの機能はプレビュー段階であるが、Windows Server 2008 R2 SP1、Windows Server 2012、Windows Server 2012 Essentials、System Center Data Protection Manager 2012 SP1のオフサイトバックアップをWindows Azure上に作成できるようになっている。読み書き頻度を基に、Azure上のバックアップデータを圧縮することも可能だ。
このバックアップサービスは、マイクロソフトがいう「StorageSimple」による、「比較的廉価なストレージ群をSANのように扱う」という考え方に即したもの。データセンターとAzureとで同じように利用できるという。
Windows Azureに関しては別記事で紹介したように、Azure Active Directoryがリリースされ、既存のオンプレミス環境に構築したActive Directory環境と同期・連携が可能になった。オンプレミス環境にディレクトリサーバを持たず、Windows Azure環境単体でのディレクトリ管理も可能になっている。OAuth 2.0、SAML 2.0といった仕様をサポートしており、シングルサインオンにも対応する。
また、RESTを使ってアプリケーションからディレクトリサービスへのアクセスを可能にする「Active Directory Graph」にも対応する(参考サイト)。
ネットワーク仮想化による、データセンター間でのサーバインスタンス移動の簡易化についても言及があった。物理的に異なるネットワーク環境にあるデータセンター間でのサーバインスタンスを移動させる際、通常であればアクセス先のネットワークアドレスが変更になるが、System Center上でサーバインスタンスを移動させることでアプリケーション側からは同一のIPアドレスとして見なせるため、継続してサービス利用が可能になる。
マイクロソフトは合わせて、「OpenDaylightプロジェクト」への参加も表明した。こちらは、各ベンダ間でSDNサービスの標準化を推進するものだ(関連記事)。
このほかキーノートセッションでは、Visual StudioとSystem Centerを活用したDevOps開発の事例や、Intuneの採用事例、動的なドキュメントへのアクセスコントロールを実現するSecure Data Protectionのデモなどが披露された。これらについてはあらためて紹介する。
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