開発環境として「オープン性」を意識したWindows Azure環境と、オンプレミスもクラウドもIaaSもDBaaSも包括的に管理できる環境を用意したマイクロソフト。米国で開催された開発者向けイベントでは、Windows Azure開発チームのトップがその有効性を強くアピールした。
2013年4月9〜10日の2日間、開発者向けのイベントである「DevIntersection, SQLIntersection & Anglebrackets Expo」が開催され、Webアプリケーション開発、データベース技術に関するテクニカルなセッションやデモが繰り広げられた。会期2日目のキーノートにWindows Azure開発チームのバイスプレジデントであるJason Zander氏が登壇、Azureのオープン性、開発容易性などを、聴衆に訴えた。
Windows Azureについては、マイクロソフト提供サービスということもあって、あまりなじみのない開発者には、Windows Azureがマイクロソフトテクノロジ以外にも対応していることは、さほど知られていないかもしれない。しかし、実際には、C#やVisual Basicといったマイクロソフトテクノロジだけでなく、PHPやPythonなどの実行環境も用意されており、またOSやデータベースの選択肢にもLinuxやMySQLなどが用意されている。
加えて、マルチデバイス対応や、統合的なID管理、各種ソーシャルサービスへの接続、HTTPをベースとしたデータアクセス(RESTやODATAのAPI提供)、Azure Service BusではJSON形式への対応などを含むデータ連携方法など、現代的なWebアプリケーション開発で要求される環境がひととおり用意されている。キーノートは会場に集まったWeb開発者たちに向けてWindows Azureで「何ができるか」「どうできるか」を改めて示す機会となった。
特に、システムアーキテクチャの明確さ、オンプレミスからクラウド、他サービス連携を含め、業務アプリ開発、運用向けに統一した環境が用意されている点は、他のクラウドサービスと比較した場合に大きな利点となるのではないだろうか。
同イベントのSQLIntersectionでは、SQL Server関連のテクノロジセッションが設けられた。中でもSQL Serverのパフォーマンスチューニングに関するセッションでは、データベースインデックスの構造から高速化の指針、SQL Serverの内部構造やハードウェア特性を考慮したチューニング、仮想環境でのデータベースチューニングなど、濃厚なテーマが多く用意されており、Q&Aセッション以外でも参加者が積極的に質疑応答が各所で見られた。
SQL Serverのチューニングや仮想環境のトレーニングを行っており、トレーニング動画の配信なども手掛けるBrent Ozar氏のセッションでは、仮想環境下でのSQL Server高速化について解説した。
仮想環境下でのSQL Serverチューニングのポイントは、「まず、物理環境下でのチューニングのセオリーを理解すること」。その上で、VMならではの挙動に合わせたチューニングをすべきとし、「SQL Server高速化を考える上では、メモリI/O性能高速化のためにNUMAを理解することもポイント。少なくとも8コア以上の設定でVMを構築すべき」との経験則を示した。
これに付随して、メモリI/O高速化を考慮する場合、「Hyper-Vは現段階ではダイナミックメモリアクセスに対応していないので、いまの段階でSQL Serverを仮想化してメモリアクセス部分までチューニングを施すならば、VMware環境も検討したい」(Ozar氏)という率直な見解も。マシンスペックが十分な現代の環境において、仮想環境に配置したデータベースのチューニングをどこまで突き詰めるかにもよるが、究極的なチューニングをあえて仮想環境下で実行するならば、現段階ではこうした判断も必要になるだろう。
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