最初にメールメッセージについて、データを取り出す方法を解説する。Outlook Expressにはメッセージのエクスポート機能があるが、これは同じコンピューターにセットアップされているOutlookか、あるいはExchange Serverしか対象にしていない。そのため、Windows Liveメールに移行するには、データを手作業で取り出す必要がある。
Outlook Expressがメッセージデータを保存するデフォルトの場所は、[マイ ドキュメント]フォルダー以下ではないために分かりにくいが、以下の方法で確認できる。
デフォルトの保存場所は「%SystemDrive%\Documents and Settings\<ユーザー名>\Local Settings\Application Data\Identities\{GUID}\Microsoft\Outlook Express」となっている。<ユーザー名>にはユーザーの名前が、{GUID}にはそのユーザーを識別するグローバル一意識別子(GUID:Globally Unique Identifier)が入る。
このフォルダーの内容を丸ごと、ファイルサーバーやUSBメモリにコピーすればよい。ただし、[Local Settings]フォルダーには隠し属性が設定されているため、エクスプローラーの設定を変更して、隠し属性が設定されているファイル/フォルダーを表示させる必要がある(エクスプローラーの[ツール]メニューから[オプション]を選び、[表示]タブの[すべてのファイルとフォルダを表示する]ラジオボタンを選択する)。
次にアドレス帳だが、デフォルトの保存場所は「 %SystemDrive%\Documents and Settings\<ユーザー名>\Application Data\Microsoft\Address Book」で、ここに拡張子「*.wab」を持つファイルとして存在している。そこで、この「*.wab」ファイルをファイルサーバーやUSBメモリにコピーすればよい。ただし、[Application Data]フォルダーにも隠し属性が設定されているため、前述のようにエクスプローラーの設定変更が必要になる。
最後にアカウント設定だが、これは以下の手順でエクスポートできる。メッセージやアドレス帳と同じ場所に書き出しておくと間違いがないだろう。出力するファイルの拡張子は「*.iaf」となる。
こうして、メッセージ、アドレス帳、アカウント設定のデータがそろったら、移行先のWindows 7/8/8.1での作業となる。
まずはWindows Liveメール2012に必要な.NET Framework 3.0をインストールしておく。それには、コントロールパネルの[プログラムと機能]アプレットを開き、左側メニューから[Windows の機能の有効化または無効化]をクリックする。「Windows の機能」ダイアログが表示されたら、次のチェックボックスをオンにして.NET Framework 3.5.x(Ver. 3.0を内包している)をインストールする。
すでにオンであればインストール済みなので[キャンセル]ボタンをクリックする。インストールが済んだらWindows Updateで未適用のセキュリティ更新プログラムがないか確認する。
次にWindows Liveメールのインストーラーを入手する。前述したようにWindows 7/8/8.1には、デフォルトでWindows Liveメールがインストールされていないので、以下のWebサイトにアクセスしてWindows Liveメールを入手する必要がある(ベンダー製PCの場合は、Windows Liveメールがプレインストールされていることもある)。
このWebページの画面左側にある[今すぐダウンロード]をクリックすると、インストーラーがダウンロードできる。このとき、インストール先すなわち移行先のコンピューター(あるいは同じWindows OSをインストールしたコンピューター)上でダウンロードを実行すること。ダウンロードするコンピューターのOSに応じて自動的に適切なインストーラーが選択されるからだ。例えばWindows Vistaでこの作業をすると、1つ古いWindows Liveメール2011用のインストーラーがダウンロードされてしまう(Windows Liveメール2012はWindows Vistaをサポートしていないため)。
こうしてダウンロードされるのは、実はWindows Liveメールそのものではなく、「Windows Essentials」と呼ばれる旧Windows Liveシリーズのソフトウェア集の共通インストーラーだ。これは、OneDriveやムービーメーカーといった他のWindows Essentialsソフトウェアもまとめてセットアップ可能で、セットアップ作業を行う際にインストールするソフトウェアが選択可能になっている。その選択肢の1つとしてWindows Liveメールが存在する。
もしWindows Liveメールだけをインストールするなら、まずインストーラー起動後の最初の画面で[インストールする製品の選択]をクリックする。次の画面では[メール]だけチェックを入れてオンにしたまま、他の項目のチェックを外してオフにして、[インストール]ボタンをクリックする。
その後は、画面の指示に従ってセットアップを行えばよい。必要なファイルをダウンロードしてからセットアップするため、選択した項目の数、あるいはインターネット接続回線の速度によっては、いくらか時間がかかることもある。
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