商標に関して最も誤解が多いポイントの1つが「商標的使用」の概念です。
言葉やマークが製品やサービスの出所を示す機能を提供していなければ、それは商標ではありません。そのような使用に対しては商標権の効力は及びません。
例えば、ポルシェ(PORSCHE)という言葉やロゴは独ポルシェ社が商標権を持つ登録商標です。車体にPORSCHEという言葉が付いた車を製造・販売などできるのは独ポルシェ社、あるいは、同社からライセンスを受けた企業だけです。同じことは、ポルシェという看板を使った自動車の販売にも当てはまります。
しかし、例えば、自動車雑誌でポルシェという言葉を使って記事を書くために独ポルシェ社の商標権の使用許諾を得る必要はありません。この場合、ポルシェという言葉を商標的に(製品やサービスの販売とともに)に使っているわけではないからです。書籍タイトルや歌詞にポルシェという言葉が出てくる場合も同様です(もちろん、業界の礼儀として一言断りを入れておくべきという話は別です)。
商標権とは言葉やロゴの使用そのものを独占できる権利ではありません。その言葉やロゴを、製品やサービスを提供する際に出所を表示するために使用する(つまり、商標的に使用する)ことを独占できる権利です。
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