実際のユーザーに使ってもらう「ユーザビリティテスト」を通じて、想定通りの使い方や狙ったユーザー体験が本当に実現しているか確認します。
この連載では、「優れたUX」はどのように実現すれば良いのか、ソフトウェア開発現場のシーンを切り出し、4コマ漫画形式(漫画作成ソフト「コミPO!(コミポ)」を使用)で紹介しています。
第7回の今回は、実現案をユーザーに使ってもらい評価する「5. ユーザビリティテスト」についてお話しします。
まずは次の4コマ漫画をご覧ください。
前回まで、理想的なユーザー体験を想定した実現案を考えてきました。しかし、本当に思い描いたような使い方をして、狙った体験をしてもらえるでしょうか。それを知るため、実際のユーザー(想定したペルソナに近い人)に使ってもらう「ユーザビリティテスト」を実施します。
ユーザビリティテストを行うことで、うまくいかないことが分かったり、不足している機能・情報などが分かったりしてきます。天気deコーデの開発では、インタビューをしたときに協力してもらった舞さんの友人に使ってもらったところ「画像を反転したい」という要望が得られています(2コマ目)。この時、実現案で意図したことを最初から説明しないよう注意が必要です。テストの目的は、使い方を分かってもらうことではなく、説明無しでも分かるかどうかを確かめることにあるからです。そうやって分かりやすさ・使いやすさが改善され、製品・サービスが洗練されていきます。
天気deコーデの例では、スケッチで企画案のプロトタイプを作成していたので、すぐに修正した改善案を作成できました(3コマ目)。製品・サービスの企画・開発においても、早い段階でアイデアや試作品をユーザビリティテストなどで確かめることで、手戻りのコストを少なくできます。このようなサイクルを早く回して、ユーザーにとって価値のある製品・サービスとして磨き上げられる迅速さ・スピードを向上することが、今日の企画・開発に求められるようになってきています。
今回は「5. ユーザビリティテスト」についてお話ししました。これで、UXデザインプロセスを一通り説明したことになります。UXデザインの基本的な手法についてはここまでになります。
今後、もし機会があれば、ソフトウェア開発現場でのUXデザイン事例をご紹介できればと思います。
著者プロフィール
金山豊浩(かなやま とよひろ)
ミツエーリンクス UXエバンジェリスト [2011年〜]
UXを啓蒙するため、執筆・講演・研究などの活動に従事。
最近特にUXデザインワークショップ開催の実施に注力している。
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