6月27日、SAPジャパンはSAP HANA SP6の提供を開始しました。SAP HANAは2010年の出荷開始以来、アプリケーションの拡充を目指して進んできました。その進化は1つ前のSP5で完成形となり、先日発表されたSAP Business Suite powered by SAP HANAはその集大成と言えるのかもしれません。
HANAはSP5でアプリケーションの拡充としては完成形に到達しています。その次に見すえたのはビッグデータなのでしょう。今回のSP6ではビッグデータのデータ処理基盤としての機能拡充が目立ちます。SAPではHANAをビッグデータ処理基盤の中核として位置づけています。
SAPジャパン ビジネスソリューション統括本部 リアルタイムプラットフォーム部 シニアマネージャーの大本修嗣氏がSP6における新機能について説明しました。ポイントは4つあります。
扱えるデータソースの幅が広がっています。ここがSP6で最も特徴的な部分と言えます。SAP HANAが持つデータだけではなく、SAP Sybase ASE、SAP Sybase IQ、さらにHadoop(Hive)、Teradataといったリモートデータも仮想的にローカルデータとして扱えるようになっています。これは「スマートデータアクセス機能」と呼ばれる仮想的なデータアクセス機能です。
一方、それ以外の外部データにはデータ連携機能が用意されています。IBM DB2、Oracle Database、Microsoft SQL ServerにはSAP Sybase Replication ServerでSAP HANAへリアルタイムでデータをロードすることも可能です。
データ処理プラットフォームとしての機能も強化されています。特にSP6では新しく地理空間情報に対応しており、地理空間情報を用いたアプリケーションやデータ分析に有効です。地理空間情報もHANAの中で処理できるようになり、非構造テキストデータの分析や予測解析などと同じプラットフォームで分析が可能になっています。
分析機能そのものも強化されています。いくつかの分析アルゴリズム追加と機能拡張が実装されています。またテキスト分析の対象言語が拡張されており、言語の自動認識を行う辞書やルールも同様に拡張されています。
開発者にうれしいSAP HANA Studioの機能強化も行われています。HANA Modelerを使ったモデルフロー全体の俯瞰、チーム連携機能への対応、ビジネスルール定義機能の効率性改善など、開発者の生産性や効率性に寄与する機能拡張がなされています。またSP6と合わせてHANAで稼働するネイティブ開発・デプロイ環境となるSAP Extended Application Service(XS)も一般出荷されます。
教材も充実してきています。
SAP HANAを動画で学べるSAP HANA Academy(リンク)がopenSAPコースと連携します。現時点では動画は英語版ばかりですが、今後は徐々に日本語化も進むそうです。HANAのスキルを磨くのには良い手掛かりとなるかもしれません。
データセンターでの運用を強化する機能もあります。災害復旧時向けには遠隔地データセンター間の非同期システムレプリケーション機能があり、パッチ適用時向けにはダウンタイムを最小限に抑えて可用性を向上する機能などがあります。
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