「企業LAN+SDN」で管理者の負担減を、ストラトスフィアダイナミックVLANを真に「ダイナミック」なものに

ストラトスフィアは2013年9月11日に記者説明会を開催。SDNの適用領域がデータセンターを超えて今後ますます広がるという見通しを示した。

» 2013年09月13日 20時00分 公開
[高橋睦美,@IT]

 「ふんわりしていた『SDN』というものが、データセンターの分野で実績を持ち始め、キャリアやWANといった領域にも広がりを見せようとしている。そして次は、ワイヤレスやオフィスといった分野へも広がっていくだろう」――ストラトスフィアの取締役副社長、石黒邦宏氏は2013年9月11日に開催した記者説明会においてこのように述べ、SDNの適用領域が今後ますます広がるという見通しを示した。

 SDN(Software Defined Network)が注目を集めるようになって久しいが、その主な活躍領域と目されてきたのがデータセンターやクラウドの分野だ。VLANの制限にとらわれたくない、仮想マシンの移動にともなってネットワーク設定も柔軟に追随させたい……そういったニーズを実現する手段として、SDNの活用が広がりつつある。また、従来ネットワーキングの世界をリードしてきたベンダ製のハードウェアに代わり、Open DaylightやIndigo、OpenStack、CloudStackといったオープンソースソフトウェア群が重要な役割を果たしている点も特徴だと石黒氏は述べる。

 そして、このSDNの適用領域は、データセンターの外にも広がっていくだろうというのがストラトスフィアの見立てだ。現に、OpenFlow 1.3でサポートされたVLANとMPLSのマッピングやトンネリングを用いて、複数のデータセンターをにレイヤ2で仮想的につなごうという取り組みが進んでいる。また、もっと低いレイヤである光伝送装置をSDNコントローラと連動できないか、という動きもあるそうだ。

ストラトスフィア 代表取締役社長 浅羽登志也氏

 もう1つ、有望な領域としてストラトスフィアが力を入れているのが、企業LAN、特に無線LANとSDNの連携だ。「オフィスで席や部署の移動があるたびに、担当者はあっちのスイッチを変更し、こっちの設定を変え……という作業に追われている。こうしたオフィスネットワークが抱える課題を解決したい」(ストラトスフィア 代表取締役社長 浅羽登志也氏)。

 そのために同社が開発を進めてきたのが「OmniSphere」だ。OmniSphereは、オフィスLAN内の情報を一元的に管理するコントローラ「OmniSphere Engine」と、対応するスイッチ/無線LANアクセスポイントなどで構成される。端末が接続されるポートに固定的にVLANを割り当てるのではなく、MACアドレスやID/パスワードを用いた認証の結果を見て、動的にVLANなどの情報をスイッチ側に流し込み、自動的にL2/L3トンネルでつないでいく。有線、無線LAN双方にまたがって統合的に制御できること、IPオーバーレイ方式を採用しておりどこにでも接続できることなどもメリットだ。

 「今のダイナミックVLANは、名前は『ダイナミック』でも、実際には設定は『スタティック』。OmniSphereは、ダイナミックVLANで割り振られるVLANを、文字通りダイナミックなものにする」(石黒氏)。こうして割り振ったVLANとVXLANとを変換する「Omni Switch Node」も活用することで、「レイヤ2ネットワークをSDNを用いてダイナミックに構成し、仮想化のレベルをさらに1つ上げていく」(浅羽氏)という。

 6月に開催されたInterop Tokyo 2013のSDN ShowCaseで同社は、OmniSphereのβ版を紹介していたが、9月13日にとうとう「OmniSphere ver1.0.0」として正式リリースした。また、これまで共同技術検討を進めてきた日立電線(現 日立金属)に加え、新たにアライドテレシスとも技術協力することを発表し、OmniSphere対応のオフィス向けスイッチや無線LANアクセスポイントを開発していく。アライドテレシスのOmniSphere対応スイッチ/無線LANアクセスポイントの試作品は、9月18日から開催される「SDN Japan」において参考出品される予定だ。

 ストラトスフィアは将来的に、クラウド/データセンター向けのSDNソリューション「Stratosphere」とOmniSphereを連動させていく構想だ。また、親会社であるインターネットイニシアティブ(IIJ)は、SEIL開発チームによるサービスアダプタを用いた商用サービスを検討していくという。

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