レッドハットは、既存のPCサーバにインストールすることでストレージ装置を構築するソフトウェア「Red Hat Storage Server」をバージョンアップした。企業のストレージシステムに求められる機能と性能を、低価格で構築可能にするという。
レッドハットは2013年9月19日、既存のPCサーバにインストールすることでスケールアウト型ストレージ装置を構築するソフトウェア「Red Hat Storage Server」をバージョン2.1にバージョンアップしたと発表した。
同社では、ストレージ装置の利用方法の幅が広がってきており、中でも大容量化や災害対策などへのニーズが大きくなっているという。特にブログサイトやストリーミング配信サイトのストレージでは、コストが重視される傾向にあるという。Red Hat Storage Server 2.1は、こうした用途に向けて、企業のストレージシステムに求められる機能と性能を、低価格で構築可能にするという。価格はストレージ容量によらず、1ノード当たり65万円である。
バージョン2.1での新機能は以下の通り。OpenStackに対応し、OpenStack 2013.1(開発コード名「Grizzly」)のストレージAPI(Swift)を利用可能とした。耐障害性では、遠隔地へレプリケーションするときの性能を向上させた。同社が実施したテストでは、既存のバージョンと比べて3倍の性能向上が見られたという。Windowsのファイル共有に用いられるプロトコルのSMB(Server Message Block) 2.0との完全な互換性も備え、Active Directoryへの対応機能の性能を向上させたとしている。
Red Hat Storage Serverでは、複数のノードをまとめて1つのストレージ装置として利用する、スケールアウト型の構成を採る。ノード内のディスク構成はRAID6構成を推奨し、ファイルシステムにはXFSを採用した。ノードをまたいだファイルアクセスの負荷分散やファイルのレプリカ作成などは、GlusterFSが担う。4ノード以上による構成を推奨する。2ノードでも稼働可能だが、その場合はレプリカのみで分散ファイルシステムは働かない。
さらにレッドハットは、ストレージ管理者やシステム管理者を対象としたトレーニングコース「Storage Server Administration」を提供する。このコースは、Red Hat Storage Serverのインストールや設定、保守の方法のほか、SMBとNFSによる高可用性、遠隔地へのレプリケーションに重点を置くとしている。これらの分野に関する「Red Hat Certificate of Expertise in Hybrid Cloud Storage」の実技試験も実施する。
なお同社は、Red Hat Storage Serverの機能をAmazon Web Services上で無償で試せる「Red Hat Storage Test Drives on Amazon Web Services」を、2013年9月下旬に始める予定だ。
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