PCサーバにインストールすることで、スケールアウト型のストレージ装置を構築する「Red Hat Storage」。レッドハットは、オープンソースとオープンアーキテクチャの組み合わせで、ストレージ装置のコスト低下をもくろむ。
「ストレージ市場を破壊的に変革する」(米レッドハットでバイスプレジデント兼ストレージビジネスユニットのジェネラルマネージャを務めるランガ・ランガチャリ氏)との旗印を掲げて、ストレージ分野に打って出たレッドハット。同社では、多くのユーザーがストレージ装置のコストに対する不満を持っていると分析しており、これまでオープンソース(Linux)とオープンアーキテクチャ(PCサーバ)を組み合わせることでシェアを拡大してきたOS分野と同じ手法をストレージ市場に持ち込もうとしている。
その鍵を握るのが「Red Hat Storage」だ。既存のPCサーバにインストールすることでスケールアウト型ストレージ装置を構築するソフトウェアで、これを導入することでストレージ装置のコストを52%、管理コストを20%削減できると主張する。しかもサーバ2台からのミニマムスタートが可能で、ストレージ容量やアクセス性能の要求に応じてスケールアウト可能。1ノードから8ノードまでサーバノードを拡張して実施した米レッドハットのテストによると、1ノード時のアクセス速度(データ転送速度)が約100Mバイト/秒だったのに対して、2ノードでは約200Mバイト/秒、4ノードでは約450Mバイト/秒、8ノードでは約800Mバイト/秒へと、性能がリニアに向上したという(1ギガビットイーサネットで接続した8台のクライアントを利用して、IOzoneテストを実施した)。
Red Hat Storageは、Glusterコミュニティによって開発が進められているスケールアウト型の分散ファイルシステム「GlusterFS」を基にした商用ソフトウェアである。Linuxディストリビューションで例えると、FedoraとRed Hat Enterprise Linuxの関係に当たる。2013年9月にバージョンアップした「Red Hat Storage 2.1」では、「Windowsクライアントからのファイルアクセス性能を3倍に高めたほか、重複排除技術を導入するなどアーキテクチャを改善することで遠隔地へのレプリケーションにかかる時間を38分の1に短縮した」(Rangachari氏)。
Glusterコミュニティでは今後、ARMアーキテクチャへの移植のほか、スナップショット機能やブロックデバイストランスレータの実装を予定している。それらの機能は、今後のRed Hat Storageにも載ってくる予定だ。ブロックデバイストランスレータが実装されると、1つのRed Hat Storage装置を、従来のNAS(Network Attached Storage)としての利用に加えて、SAN(Storage Area Network)としても使えるようになる。
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