財形貯蓄は退職と同時に解約しなければならないのか? 所属が変わることで生じる手続きを解説する
※この連載は「退職・転職・失業生活 裏表 実践マニュアル」(北村庄吾著)の第5章を、著者と出版社の許可の下、一部修正して転載するものです。データなどは、書籍出版(改定)時のものです。実際に使われる場合は、最新の情報をご確認ください。
個人名義のクレジットカードは、退職で勤務先が変更になるため、所定の変更手続きが必要になる。次の就職先が決まるまでは手続きをしない人もいるが、失業イコールカードの解約ということにはならないので、取りあえずは手続きをしておきたい。法人名義のカードは会社に返却する。
財形貯蓄とは、働く人の財産の形成を援助するために、一定額まで非課税にするなどの特典を与えた法律上の制度である。財形制度には、一般財形・住宅財形・年金財形の3種類がある。
退職により財形貯蓄は解約となるのが原則であるが、転職先の会社に財形貯蓄制度が導入されている場合には、継続が可能だ。特に財形年金貯蓄や財形住宅貯蓄は、退職によって解約すると目的外の払い出しとなり、最長5年にさかのぼり課税されることになるので、できれば継続したいところだ。継続するには、退職日から2年以内に「勤務先異動申告書」を作成して、契約している金融機関に提出すればよい。
「退職したら社宅を立ち退くこと」といった条件が付いている場合に、すぐに立ち退かなければならないのかは、契約の種類によって異なってくる。
「使用貸借」の場合(無料で借りているか非常に安い賃料の場合)だとすぐに立ち退く必要があるが、「賃貸借」の場合(普通の賃料を支払っている)は一定期間の猶予が与えられるケースが多いといえる。裁判例でも具体的な事情を考慮して判断されているようだ。
立ち退くか立ち退かないでもめることは、非常に大きな労力を消耗する。ここは会社側との話し合いによって解決するのが1番であろう。
北村庄吾著
日本実業出版社 1365円(税込み)
会社を辞めるときに誰もが直面する、保険や年金、税金の問題。退職という人生の節目に際して、在職中から退職後に知っておかなければならない知識や手続きのポイントを紹介する。
北村庄吾
中央大学卒業 社会保険労務士 ファイナンシャルプランナー
総合事務所Brain、ブレインコンサルティングオフィス代表。「やさしくわかる給与計算と社会保険事務のしごと」「社会保険労務士最短最速合格法」など著書多数。
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