会社都合で退職したのに失業保険がすぐにもらえない! そんな事態に陥らないために離職票のチェックポイントを伝授しよう
※この連載は「退職・転職・失業生活 裏表 実践マニュアル」(北村庄吾著)の第5章を、著者と出版社の許可の下、一部修正して転載するものです。データなどは、書籍出版(改定)時のものです。実際に使われる場合は、最新の情報をご確認ください。
離職票と給与所得の源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票は、退職後しばらくたって送られてくることになっている。
離職票は、失業保険を受けるときに必ず必要になるものだ。離職票は法律では退職後10日以内に会社が送付しなければならないことになっている。送られてきたら、内容を確認しておこう。確認のポイントは次の3点だ。
まず、離職票左半分の右上にある離職年月日、右側の離職理由を確認する。離職理由は確認事項の中でも最も重要なもので、リストラで辞めさせられたのに自己都合になっていた場合などは明日の生活にかかわる重大事だ。これは失業保険がすぐに受け取れるか、一定期間待たされるか(給付制限という)に関わってくるからだ。
もし、会社の事情で辞めたのに自己都合になっており、会社が要領を得なければ、すぐにハローワークに相談することだ。また、会社に連絡して、書き換えてもらおう。
なぜ、会社都合ではなく自己都合にしたがるのかというと理由がある。雇用保険制度にはいろいろな助成金の制度があり、例えばハローワークを通じて高齢者や障害者などを雇い入れたような場合に、一定額が支給される助成金がある。こういった助成金を利用している会社は、会社都合で退職者が出ると助成金が受けられなくなってしまう。また解雇があまりに多いと、会社に問題がないか調査が入ることもある。会社は、こういったことを恐れているのだ。
もし手続きをしてくれないような場合は、紛争解決機関に相談するとよい。
最後の確認事項が賃金額だ。賃金額は失業保険の額に影響してくるので、ここもしっかり確認しておこう。また会社が倒産し、その後、失業の手続きについて何の音沙汰もない場合はハローワークに相談しよう。この場合も、一定の手続きを取れば失業保険がもらえる。この場合に威力を発揮することになるのが、在職中の給与明細などの各種資料だ。
この2つの書類のうち、給与所得の源泉徴収票は特に重要だ。再就職する場合には、次の会社に提出しなければならないからである。また、年の途中で会社を辞め、(年末調整を受けずに)その年いっぱい再就職しない場合には、確定申告することで納めた税金が戻ってくる。
離職票が届いたら、離職年月日と退職理由、賃金額を確認せよ
北村庄吾著
日本実業出版社 1365円(税込み)
会社を辞めるときに誰もが直面する、保険や年金、税金の問題。退職という人生の節目に際して、在職中から退職後に知っておかなければならない知識や手続きのポイントを紹介する。
北村庄吾
中央大学卒業 社会保険労務士 ファイナンシャルプランナー
総合事務所Brain、ブレインコンサルティングオフィス代表。「やさしくわかる給与計算と社会保険事務のしごと」「社会保険労務士最短最速合格法」など著書多数。
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