2014年7月8日、日本マイクロソフトは「2015年7月15日」にサポートが終了するWindows Server 2003からの移行に関する説明会を開催。新たに2つの移行支援策を提供する。
2014年7月8日、日本マイクロソフトは「2015年7月15日」(日本時間)」に延長サポートが終了するサーバーOS「Windows Server 2003/Windows Server 2003 R2」に関する記者説明会を開催した。
Windows Server 2003/2003 R2のサポート終了まで、ちょうど1年となったタイミングで現在の移行状況、移行促進策、今後の支援体制などが説明されるとともに、新たな移行支援策を用意して、あらためて早期の移行計画立案、移行実施を呼び掛けるかたちになった。
最初に登壇した日本マイクロソフトの平野拓也氏(執行役 専務 マーケティング&オペレーションズ担当)は、今あらためてWindows Server 2003から早々に移行してほしい理由として、「セキュリティリスクの増大」「コンプライアンス準拠」「周辺機器サポートの終了」の3つを挙げた。この3つの理由の中でも、企業にとって最も懸念すべき事項がセキュリティリスクの増大になる。
2003年5月の正式リリース後、10年以上経過したWindows Server 2003はメインストリームサポートがすでに終了し、現在は延長サポートフェーズとなっている。だが、1年後の「7月15日」にはこの延長サポートも終了し、以後、セキュリティ更新プログラムを含めた全てのアップデートが提供されなくなる。これにより、セキュリティリスクが増加することが懸念されている。
実際、先にサポートが終了したWindows XPでは、4月のサポート終了直後に新たな脆弱(ぜいじゃく)性が発見されて、ちょっとした騒動になったことは記憶に新しい。Windows XPには“特例”としてセキュリティパッチが提供されたが、今後マイクロソフトがWindows Server 2003/2003 R2にもこのような対応をするかどうかは不明だ。だからこそ、セキュリティリスクを回避するためにも、早期の移行をマイクロソフトでは推進しているのである。
さらに平野氏は移行の進行に関して、Windows XPとOffice 2003サポート終了からの経験として「情報を早く伝えること、お客様に認知していただくことが大事」とし、早期告知と認知向上、パートナーを通じた移行支援策の強化に努めた結果、2013年末には36万台が稼働していたWindows Server 2003が2014年6月には約30万台までに減ったと述べた。
特にパートナーとの支援策に関して平野氏は「100社以上の移行パートナーによって、180回以上の移行セミナーを実施、1万3000名がトレーニングを実施済みである」と万全の支援体制であることを強調し、今後も移行を強力に進めていく姿勢を示した。
日本マイクロソフトの佐藤久氏(サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長)は、新しいWindows Server 2003移行支援策を説明。現在、Windows Server 2003が約30万台稼働している状況に対して、「約14%の企業が移行方針を持っていない」とマイクロソフトでは認識しており、こうした企業の移行を後押しするために新たな移行支援策を用意したという。
新しい移行支援策として佐藤氏は、「Windows Server 2003移行促進キャンペーン」と「サーバー購入支援キャンペーン」を紹介。Windows Server 2003移行促進キャンペーンは、中堅中小規模の企業向けにWindows Server 2012 R2のDatacenterエディション、Standardエディション、ユーザーCAL(クライアントアクセスライセンス)のOpenライセンスを10%ディスカウントで提供する施策になる(2014年7月8日〜9月30日まで)。
また、サーバー購入支援キャンペーンは、移行予算が取れない、支払いが大変などの理由で移行を進めることが困難な企業に、マイクロソフトのファイナンス部門を通じて、調達は年内に完了し、来年度の予算での後払いを可能にする施策。来年度も予算確保が難しいという場合には、優遇金利で支払いにも対応するとのこと。
日本マイクロソフトでは今年1月に設置した「Windows Server 2003移行相談窓口」で、移行に悩んでいる企業やパートナーの問い合わせに引き続き対応。また、「Windows Server 2003移行ポータル」では、移行に関する情報を一元的に提供していく。
最後に佐藤氏は、今現在Windows Server 2003が稼働中の企業に取り組んでほしいこととして、「既存サーバーの棚卸し(台数、用途、設置場所)」「移行先の選択(クラウド、オンプレミス)」「予算とスケジュールの確保(移行に必要な費用と期間)」の検討をあらためて訴えた。
Windows Server 2003のサポート終了まであと1年。半年前に比べて移行が進んでいるとはいえ、まだまだ稼働中のWindows Server 2003は多い。マイクロソフトではサーバー全体の15%を占めているWindows Server 2003を、2015年7月15日のサポート終了までには2〜3%まで引き下げたいとのこと。これまでの積極的な情報提供による周知の徹底や、パートナーとの万全のサポート体制、今後の移行支援策によっては達成可能な数字かもしれない。
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