Windows 8.1にローコストデバイス向けの新エディション「Windows 8.1 with Bing」が登場した。デフォルトの検索エンジンがBingになるとのことだが、その他の違いは? その機能概要と実機での使用例を紹介する。
「Windows 8.1クロスロード」は、2013年10月から出荷されているWindows 8.1の注目機能について解説するコーナーです。
「Windows 8.1 with Bing」とは、Windows 8.1搭載システムの販売シェアを向上させるために用意された、Windows 8.1の新しいエディションの製品である。Windows 8.1 Updateの無印エディションをベースにして、Internet Explorer 11(以下IE)のデフォルト検索エンジンをBingに固定したものであり、それ以外には機能的な違いはない。マイクロソフトはOEMベンダー向けに無償でこのWindows OSを提供している(OS単体では配布していない)。これによってOEMベンダーは、今までの低価格PCよりもさらに安価なPCを販売できるようになる。
今までも、Windows Phoneや小型画面のタブレットなどに対しては無償でWindows OSを提供していたが、それをローエンドのPCにまで広げたものだ。
Windows 8.1 with Bingと通常版のWindows 8.1にはほとんど違いはなく、IE11の検索エンジンの初期設定が異なるだけである(「Bing デスクトップ」のような、Bingの拡張機能が導入されているわけでもない)。
一般にOEMベンダーは、ベースとなるWindows 8.1に対してMicrosoft Officeやベンダー独自のアプリケーションを追加したり、各部の設定を自社向けに変更するなどのカスタマイズを施して製品を出荷する。例えばシステムのプロパティページを開くと、自社のロゴとサポート窓口の連絡先情報などが表示されていることが多いが、これはWindows OSの無人セットアップ機能を使って、各社が独自にカスタマイズを行っているためである。このセットアップ時のカスタマイズ機能の1つとして、Internet Explorerにおける検索エンジンの変更機能があるが(SearchScope設定。次のリンク参照)、Windows 8.1 with Bingでは、この検索エンジンの設定変更だけは無視されるようになっている。
つまりユーザーが最初にシステムをセットアップ/サインインすると、IEのデフォルト検索エンジンが必ずBingサイトに設定されていることになる。
Windows 8.1以外でも、IE11のデフォルト設定では、もともと検索エンジンはBingに設定されていたので、ほとんどのユーザーにとってはこのような仕様変更は何の影響も及ぼさないはずだ。
検索エンジンをBing以外に設定しているユーザーも少なくないだろうが(例えばGoogleやYahoo!など)、その場合でも問題はない。セットアップが完了すれば、検索エンジンは他のWindows OSやIEの場合と同じく、後でユーザーが変更できるからだ。一度変更してしまえば、以後はずっとその検索エンジンが有効なままになる。
Windows 8.1 with Bingでは、デフォルト検索エンジン以外のカスタマイズ項目は全てそのまま有効だし、32bit版だけでなく64bit版のWindows 8.1も提供されるので、通常のWindows 8.1を導入するのと何ら変わりなく利用できるだろう。
会社などではグループポリシーを使ってIEをカスタマイズしていることもあるため、Windows 8.1 with Bingでは導入しづらいと考えるかもしれないが、そもそもWindows 8.1 with Bingは、ドメイン参加機能のないWindows 8.1の無印エディションベースなので、これで困ることはないと思われる。
Windows 8.1 with BingはOEMベンダーにのみ提供される製品なので、ユーザーはOSだけを単体で入手することはできない。基本的にはベンダーが用意しているWindows 8.1 with Bingのプレインストール製品を購入する必要がある。以下に、現在発売されている主なWindows 8.1 with Bing搭載製品の例を示しておく。
ベンダー | 製品名 | タイプ | CPU | メモリ | 画面サイズ | ストレージ | 価格 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
エプソンダイレクト | Endeavor NY40S-B | ノートPC | AMD E-2100 | 2Gbytes〜 | 11.6インチ | HDD 500Gbytes | 3万4560円〜 | |
Endeavor TB20S | タブレット | Celeron N2807 | 2Gbytes〜 | 10.1インチ | SSD 32Gbytes〜 | 37,800〜 | ||
東芝 | dynabook tab S38 | タブレット | Atom Z3735F | 2Gbytes | 10.1インチ | SSD 32Gbytes〜 | 62,100円〜 | Office Home and Business 2013搭載 |
dynabook tab S50 | タブレット | Atom Z3735F | 2Gbytes | 8.0インチ | SSD 32Gbytes〜 | 63,180円〜 | Office Home and Business 2013搭載 | |
ドスパラ | Critea DX4 with Bing | ノートPC | Celeron 2950M | 4Gbytes | 15.6インチ | HDD 320Gbytes | 41,018円〜 | |
Slim Knight AH with Bing | デスクトップ | Celeron G1820 | 4Gbytes | − | HDD 500Gbytes | 41,018円〜 | ||
マウスコンピューター | LB-B511EN-BG | ノートPC | Celeron 1005M | 4Gbytes | 15.6インチ | HDD 250Gbyte | 40,824円 | |
LM-iH302E-BG-QD | デスクトップ | Celeron G1840 | 4Gbytes | − | HDD 500Gbytes | 40,824円 | ||
この仕様を見ると分かるように、現在発売されているWindows 8.1 with Bing製品は、PC製品としてみると、かなりローエンドに位置付けられるものばかりである。ほとんどのベンダーでは、通常のWindows 8.1(with BingではないWindows 8.1)やWindows 7などを搭載した製品も同時にラインアップしているが、そちらと比較するといくらか安価になっており、最終的な製品はほとんど4万円を切る程度の価格になっている。ただし単にOSが異なるだけでなく、CPUやメモリ、ストレージ、拡張性などの仕様がさらに一段と下げられていたりするので、OSの分だけ価格が下がっているというわけでもないようだ。
上の表からも分かるように、画面サイズや解像度、メモリサイズなどには特に制限はないようだ。価格を抑えるために小型画面のものが多いが、15.6インチディスプレイを搭載したノートPCもあるし、デスクトップPC(ディスプレイは別売)もラインアップされている。ただし価格を4万円程度に抑えるためか、CPUやメモリ、ディスクなどを購入時に変更するするカスタマイズオプションは利用できないようである(購入後に自分でパーツを取り換えるのは可能なようだ)。
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