以下ではWindows 8.1 with Bing搭載PCの例として、エプソンダイレクトの小型ノートPC「NY40S」を取り上げ、その詳細を見てみよう。
NY40SにはOSとして「Windows 8.1 with Bing」を搭載した安価なモデルと、従来から販売している「Windows 7」を搭載したモデルの2つがあるが、前者の方が7560円(以下全て税込み価格)安くなっている。OS価格が無償になった分だけ、安くなっていると考えられる。
モデル名 | Windows 8.1 with Bing搭載モデル(NY40S-B) |
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OS | Windows 8.1 with Bing |
CPU | AMD E1-2100 APU、1GHz(2コア、L2キャッシュ1Mbytes) |
GPU | APUに同梱(AMD Radeon HD8210) |
メモリ | DDR3 SO-DIMM、2Gbytes/4Gbytes(4Gbytesモデルは+3240円) |
ストレージ | 2.5インチ500Gbytes HDD(SATA、5400rpm) |
画面 | 11.6インチ液晶(グレア、LEDバックライト、1366×768ドット) |
外部ディスプレイ | D-Sub/HDMI(1024×768〜1920×1200ドット) |
サウンド | APU内蔵HDオーディオ |
有線LAN | 1000Base-T/100Base-TX/10Base-T |
無線LAN | IEEE802.11b/g/n準拠無線LAN |
Bluetooth | Bluetooth 4.0+EDR準拠 |
ファームウェア | UEFI(CSM対応) |
ポインティングデバイス | タッチパッド、左右クリック |
インターフェース | USB 2.0×2、USB 3.0×1 |
内蔵カメラ | 最大解像度1280×720ドット、92万画素 |
メモリーカードスロット | SDメモリーカード(SDHC/SDXC対応) |
外形寸法 | 幅297×奥行き193×高さ36mm |
重量 | 約1.2kg(バッテリー含む) |
電源 | ACアダプター、入力:AC100V〜240V対応、出力:DC 19V 2.1A、容量:40W |
バッテリー | リチウムイオンバッテリー(11.1V/2200mAh) |
駆動時間 | 約3.9時間(JEITAバッテリー動作時間測定法Ver2.0で測定)、充電時間:約2.4時間 |
オプションアプリケーション | Microsoft Officeの追加も可 |
NY40Sの主要仕様 |
画面サイズが11.6インチの小型ノートPCであり、重量も1.2kgだが、いまどきのノートPCとしてはやや厚みがあるので、少し扱いづらいかもしれない。
キーボードのピッチは18.5mmほどであり、このクラスのPCとしては標準的だが、右端のいくつかは狭くなっているので、少し打ち間違いをしやすい。
左側にはHDMI端子だけでなく、D-Sub端子もまだ用意されている。ローエンドモデルのためか、USB 3.0は1ポートしか用意されていない。
右側にはLANコネクタ、SDカードスロット、USB 2.0×2ポート、マイク、フォンジャックが用意されている。
ストレージは2.5インチで500GbytesのHDDが使われているが、その奥にmSATAスロットも用意されているので(使えるかどうかは未確認)、mSATA化して軽量・静音化できるかもしれない。
今回使ったのはメモリを4Gbytes搭載したモデルだったので、2GbytsのSO-DIMMメモリが2つ装着されていた。
すでに述べたように、Windows 8.1 with Bingだからといって通常のWindows 8.1(の無印エディション)とほとんど何も違いはない。以下にシステムのプロパティ画面を示しておくが、エディション名が「Windows 8.1 with Bing」となっているところだけが異なる。
エディション名のすぐ下に「Windows の新しいエディションで機能を増やす」というリンクがあるが、これをクリックすると「Windows 8.1 への機能の追加」というダイアログが表示される。そこに表示されている「オンラインでプロダクト キーを購入します」というリンクをクリックすると、通常のWindows 8.1では「Windows 8.1 Pro Pack」の購入ページが表示される(参考情報:TIPS「Windows 8にDVD再生機能を追加する」)。しかしWindows 8.1 with Bingの場合、執筆時点では「お住まいの地域ではオンラインで購入することはできません。……」というメッセージが表示され、購入ページが表示されなかった。OSの基本価格が異なるため(無償のため)、Windows 8.1 Pro Packの価格も変わるはずだが、まだ準備ができていないのだろう。
NY40Sには、オプションでMicrosoft Office Personal 2013付きモデル(+1万9440円)やOffice Home and Business 2013付きモデル(+2万4840円)もあるが、上の画面はOffice無しモデルである。
Windows 8.1 with Bingに付属するIE11では、デフォルトの検索エンジンは次のようにBingとなっているが、これは通常のIE11の初期状態と同じである。「アドオンの管理」画面の左下隅にある「追加の検索プロバイダーを検索」というリンクをクリックすれば、自由に他の検索エンジン、例えばGoogleやYahoo!などを追加したり、Bingを削除して、デフォルト検索エンジンを変更したりできる。
以下にタスクマネージャーの「パフォーマンス」タブの画面を示しておく。NY40SのCPUはAMDのE1-2100という2コア2スレッドのCPUである。これは消費電力が9Wと非常に少ないモバイル向けのローコストCPUだが、性能はあまり高くない(というか、現状のAMDのモバイル向けCPUの中でも最も下に位置するモデル)。
「パフォーマンス」タブのメモリ情報は次のようになっている。以下の画面は4Gbytesモデルでの例だが、システムが認識しているメモリサイズが3.5Gbytesになっていることが分かる。先のシステムのプロパティ画面から分かるように、このシステムには64bit版のWindows 8.1 with Bingが搭載されているので、32bit版Windows OSシステムでよくあった、最大メモリサイズが(実質)3Gbytesまでという制限はなく(関連記事参照)、4Gbytes全体をWindows OSからアクセス可能である。
NY40SはローエンドのCPUを搭載しているのでパフォーマンスはあまり期待できない。Windowsエクスペリエンスインデックスの値は次の通りである。なおWindows 8.1ではこのインデックス値の計測はできるが表示用のGUI画面がないため、ここではTIPS「Windows 8.1でWindowsエクスペリエンス インデックス値を計測する)」で紹介しているWinSAT Viewerで表示させている。
実際に使ってみた感じでは、確かにさまざまな操作に対する応答が、いまどきのPCにしては少し遅く感じる。例えばIEの描画処理自体はそれほど遅いわけではないが、リンクをクリックしてから描画が始まるまでがほんの一瞬だが待たされる、という感じだ。描画がメインのゲームのような用途では厳しいだろうが、オフィス作業やWebのブラウズ、Windowsストアアプリ、Webブラウザベースのアプリケーションの利用程度なら問題はなさそうだ。ただしメモリだけは4Gbytesにしておきたい。
Windows 8.1 with Bingは、機能的には通常のWindows 8.1(無印エディション)と違いはないので、仕事やプライベートなどでも特に問題なく利用できるだろう。OS価格を抑えた(無償にした)ことにより、製品としては4万円を切る実売価格を実現しているが、実際にはそのためにCPUの性能が低かったり、メモリやディスク、拡張性などが少し犠牲になっていたりする。だがノートPCやタブレットだけでなく、デスクトップ型もあるので、その辺りが納得できるなら、十分価値のある選択肢になるだろう。
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