ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)が「The Interviews」という、ある記者が北朝鮮の“将軍様”の暗殺を試みるといったストーリーのB級コメディ映画を公開しようとしていました(日本では劇場未公開)。このことによって北朝鮮は当たり前ながら激怒し「無慈悲な報復」を予告していました。そして、これに関連したかのような大規模なサイバー攻撃が繰り広げられ、結果、映画の公開が一時中止されるということが起こりました。
ソニー・ピクチャーズ、北朝鮮パロディ映画の公開を中止(ITmedia ニュース)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1412/18/news052.html
この攻撃は「GOP(Guardians of Peace)」を名乗るグループにより行われました。攻撃の内容は多岐にわたり、社員の個人情報の流出、DDoSなど何でもありでした。そして9.11のようなテロを劇場で行うという内容の脅迫文がネット上に公開されます。
これを受け、観客の安全が第一ということで、ソニー・ピクチャーズは映画公開の中止を決めます。ところが、オバマ大統領が記者会見でこの事件に言及するなど、「サイバー攻撃により言論の自由が侵害される事例」として大きな話題に。ソニーピクチャーズは再び公開を決定します。
2014年12月19日には、FBIがこの攻撃の内容から「北朝鮮が攻撃に関与している」と正式に結論付けます。そして、反撃するかのようにDDoS攻撃が行われ、北朝鮮のインターネット接続が切断されます。北朝鮮のインターネット接続は中国の1拠点にのみ接続されているだけなので、簡単に接続不能にすることが可能だったようです。
ただし、北朝鮮が攻撃に関わっているという確実な証拠はなく、事件はまだまだ闇に包まれています。現在では従業員による内部犯行説も浮上しています。
この事件は米国では毎日トップニュースとして報道されていたようなのですが、日本企業が関わっているにもかかわらず日本国内ではあまり関心が持たれていないようで、英語のツイートに比べると日本語で事件に言及するツイートはかなり少なかったようです。それに対する不満のツイートもありました。また、映画はB級コメディで真に受けるほどの内容ではなく、実は「ステマ」ではないかというツイートも見られました。
さらにクリスマスにはDDoSで有名なグループ「Lizard Squad」がPlayStation Network(PSN)、Xbox Liveに対してDDoS攻撃を行い、サービスを遮断していました。ソニーグループにとっては大変な12月でした。
Xbox LiveとPlayStation Networkに障害発生、ハッカー集団が攻撃か(ITmedia ニュース)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1412/26/news055.html
この他にも12月のセキュリティクラスターはこのような話題で盛り上がっていました。2015年はどのようなことが起きるのでしょうね。
山本洋介山
猫と一緒に自宅の警備をする傍ら、「twitterセキュリティネタまとめ」というブログを日々更新しているtwitterウォッチャー。セキュリティやネットワークに関する原稿も書いてます。
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