プログラムでは、値を使ってさまざまな制御を行います。値とは、文字や数などのことを指します。例えば、アプリで表示されるメッセージは文字の値を使っています。文字の値のことを、プログラムでは「文字列」と呼びます。
もちろん、画面上に表示されていない裏側でもたくさんの値を使用しています。このように、プログラムではさまざまな値を使ってアプリの動作を制御しています。
先ほどのプログラムをあらためて見てみましょう。
println("こんにちは")
Swiftでは「"」で囲われた文字は文字列として扱われるようになっています。そのため、このプログラムに書かれている「こんにちは」は文字列として扱われています。そして「println」は受け取った文字列を出力する機能です。従って、このプログラムでは「こんにちは」という文字列を「println」が受け取ったことによって、結果画面に「こんにちは」と表示されたというわけです。
Swiftでは「変数」という機能を使って、箱のような入れ物に名前を付けて、値を入れたり出したりすることができます。まずは次のプログラムを書いてみましょう。
var くだもの = "りんご"
変数を新しく作成するには、まず「var」と記述し、その後に変数の名前を記述します。さらに続けて「=」と記述し、最後に変数に入れたい値を記述します。上記のプログラムでは、「くだもの」という名前の変数に「りんご」という文字列を入れています。次の図のようなイメージです。
このように、変数を新しく作成することを「宣言する」または「定義する」と言います。また、変数に値を入れることを「代入する」と言います。
さて変数は、なぜ「変数」と言うのでしょうか? それは変化する値だからです。変数という言葉は数学の授業で聞いたことがある方も多いと思いますが、その変数と同じように「値が変化する可能性がある」(Variable(ヴァリアブル))という特徴があります。
このような特徴があるため、変数に値を再度代入できます(再代入)。先ほどのプログラムの一行下に、次のプログラムを書いてみましょう。
くだもの = "バナナ"
プログラムは上から下に向かって一行ずつ順番に処理されていきます。そのため、今加えた一行の時点では、すでに変数「くだもの」が宣言されている状態になります。
すでに宣言されている変数に値を代入するときは、先頭に「var」を付ける必要はありません(「var」は新しく変数を宣言するときに使うものなので)。これで、変数「くだもの」に新しく「バナナ」という文字列が入りました。その前に入っていた「りんご」は取り除かれます。
変数に入っている値は、後で見ることができます。始めに使用した「println」を使って、変数に入っている値をのぞいてみましょう。先ほどのプログラムの一行下に、次のプログラムを書いてみましょう。
println(くだもの)
すると、結果画面に「バナナ」と表示されるはずです。これは変数「くだもの」に入っている文字列「バナナ」が取り出されたためです。
このように、変数に入っている値を取り出すことを「参照する」と言います。
これまで変数について取り上げてきましたが、Swiftでは「定数」という機能でも、値を取り扱うことができます。次のプログラムを書いてみましょう。
let やさい = "にんじん"
変数の宣言には「var」を使いましたが、定数では「let」を使って宣言します。定数は「定まった数」ですので、値を一度代入した後は再代入することができません。試しに、変数と同様に再代入してみましょう。
やさい = "ピーマン"
すると、書いた行が赤く表示されるはずです。これはプログラムに誤り(error、エラー)があることがPlaygroundから警告されている状態です。この状態ではプログラムは動作しませんので、エラーを確認したら消しておきましょう。
定数は、プログラムの中で絶対に変えたくない値や変更する必要がない値を取り扱いたいときに使います。反対に、変更する可能性がある場合は変数を使います。
変数/定数を宣言するときには注意点があります。それは、すでに宣言されている名前と同じ名前を付けることはできないということです。このような場合には、エラーとなってしまいます。
1つのプログラムの中では、変数/定数の名前が他の変数/定数と同じにならないように気を付けましょう。
var お菓子 = "クッキー" let お菓子 = "チョコレート"
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