ここからは少しだけステップアップし、コンピューターにさまざまな計算を行わせてみましょう。
コンピューターが計算することを「演算」と言います。コンピューターは、足し算や引き算のような単純な演算はもちろん、さまざまな演算を行えます。まずは足し算、引き算、掛け算、割り算といった簡単な演算から行ってみましょう。これら4つの演算をまとめて「四則演算」と言います。
足し算を行うには、値と値の間を「+」でつなぎます。こうすることで、左の値に右の値を加えた値を作ることができます。足し算は「加法」や「加算」とも呼びます。
let イチゴの値段 = 100 + 200 println("イチゴは\(イチゴの値段)円です")
引き算を行うには、値と値の間を「-」でつなぎます。こうすることで、左の値から右の値を引いた値を作ることができます。引き算は「減法」や「減算」とも呼びます。
let ブドウの値段 = 300 - 50 println("ブドウは\(ブドウの値段)円です")
このように、演算は値などをつなぎ合わせて行うのが基本です。そして、「+」や「-」のようなつなぎ合わせる記号のことを「演算子」と呼びます。なお、演算子の左側にある値のことを左辺、右側にある値のことを右辺と呼びます。
なお、一行で複数の演算を連続で行うこともできます。
let さくらんぼの値段 = 200 + 200 + 200 + 200 - 100 println("さくらんぼは\(さくらんぼの値段)です") // さくらんぼは700円です
掛け算を行うには、値と値の間を「*」でつなぎます。こうすることで、左辺に右辺を掛け合わせた値を作ることができます。掛け算は「乗法」や「乗算」とも呼びます。
let みかんの値段 = 100 * 5 println("みかんは\(みかんの値段)円です")
割り算を行うには、値と値の間を「/」でつなぎます。こうすることで、左辺を右辺で割った値を作ることができます。割り算は「除法」や「除算」とも呼びます。
let メロンの値段 = 2000 / 2 println("メロンは\(メロンの値段)円です")
演算は数学と同様、左から順番に、かつ掛け算・割り算を優先して実行します。複数の演算を一行で行うときは、式を「(」と「)」で囲うと、その中の式を先に実行させることができます。
let 桃の値段 = (100 + 50) * 3 println("桃は\(桃の値段)円です") // 桃は450円です
ここまでの演算では、整数、つまりInt型の値のみを扱っていました。Swiftでは、整数と浮動小数点数を組み合わせた演算ができます。次のプログラムを書いてみましょう。
let 税込み = 100 * 1.08 println("価格は\(税込み)円です")
このプログラムでは、Int型である「100」とDouble型である「1.08」を掛け合わせて、「108.0」という値を作っています。結果は「108.0」となっているので、この演算によって作られた値はDouble型です。Int型とDouble型の値を組み合わせて演算を行う場合は、結果が割り切れる値だったとしてもDouble型の値が作られている点に注意しましょう。
なお、左辺・右辺ともにInt型の場合、演算の結果が割り切れない値だったとしてもInt型の値が作られます(小数点以下は切り捨て)。小数点を含んだ値を作りたい場合は、左辺または右辺、または両辺をDouble型にしましょう。
let ざっくり割合 = 2 / 100 println("割合は\(ざっくり割合)です") // 割合は0です let 細かい割合 = 2 / 100.0 println("割合は\(細かい割合)です") // 割合は0.25です
これまでのプログラムでよく利用していた、定数や変数に値に代入するときに使う「=」も「代入演算子」と呼ばれる演算子です。これまで紹介した演算子とは異なり、左辺に右辺の値を代入する機能を持っています。
let 料金 = 1000 // 料金(左辺)に1000(右辺)を代入している
代入演算子は、「+」や「-」といった演算子と組み合わせて使うことができます。次のプログラムを書いてみましょう。
var 合計金額 = 1000 合計金額 += 500 println("合計金額は\(合計金額)円です")
「+」と「=」を組み合わせて「+=」となっています。このようにすることで、左辺の値に右辺の値を加えつつ、作られた値をそのまま左辺に代入することができます。つまり、上記2行目は書き換えると下記と同じ意味です。
合計金額 = 合計金額 + 500
「+=」以外にも、「-=」「*=」「/=」などといったような組み合わせも可能です。
ここで、数値以外の値に対して演算子を使ってみましょう。「+」演算子は数値だけではなく文字列を連結するためにも使うことができます。次のプログラムを書いてみましょう。
let 名前 = "Swift太郎" println("私は" + 名前 + "です")
「私は」という文字列と「Swift太郎」という文字列の値の定数、そして「です」という文字列が「+」によってつながることで、「私はSwift太郎です」という1つの文字列になりました。
このように、演算子は使う型によって意味が変わってきます。「+」は文字列の連結に利用することもできますが、「-」は使用できないので注意してください。
今回は初めてプログラミングに触れる方に向けて、プログラムの基礎についてSwiftを使って解説しました。変数(定数)の宣言や演算はプログラムの基本なので、ありとあらゆるところで出てきます。必ず覚えておきましょう。
自分の書いたプログラムがコンピューターに正しく認識され、結果として表示されたとき、喜びを感じませんでしたか? 何事においても、このような喜びの体験は学び続けるためのやる気になります。
今回学んだことを、いろいろな書き方で何回も試してみてください。次第に、どういったときに正しく動き、どういったときにエラーになるのか理解できるようになってくるはずです。
次回は、もう少し複雑なプロラミングに挑戦してみましょう。お楽しみに!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.