Pepperに教える事柄として若狭さんは、お笑い芸人の動きを再現させること、セリフを喋らせること、かっこいいポーズをとらせること、『桃太郎』などの昔話を喋らせることなどを子どもたちに提案。若狭さん自身は、お笑い芸人コンビ「8.6秒バズーカー」の人気ネタ『ラッスンゴレライ』をPepperにさせた。
さて、いよいよプログラミングだ。Pepperのプログラミングは、「Python(パイソン)」ベースのブロック言語環境で行うので、子どもでも簡単にプログラミングができるようになっている。基本的には、マウス/タッチパッドだけで命令のブロックをつなげることでPepperの動きを決める。
ブロックのつなげ方が分かれば、一通りのことができるが、マウスやタッチパッドの操作に慣れていないため、もどかしい思いをする子どももいた。慣れれば、マウス/タッチパッドだけでPepperと会話が楽しめるレベルまでプログラミングできるが、Pepperに喋らせる単語などを入力するためなどにキーボードで文字を打つケースもある。
実際の開発時間は2時間。子ども1人につき、Pepper1体とワークショップのスタッフ数人が付いて、手取り足取り教えてもらえる。子どもたちは、自分が考える動きや言葉などをPepperに教え込んでいく。実際にパソコンでコレグラフの開発環境に触れて、プログラムの命令通りにPepperを動かす。喋らせたり、画像を胸に表示させたり、音を鳴らさせたりしていた。
最後に、子どもたちがPepperに教えたことを見せ合う発表会が行われた。4つの昔話の中から、声でタイトルをリクエストすると、そのタイトルの話を読み上げてくれるPepper、頭をなでると元気になるPepper、『妖怪ウォッチ』の「ジバニャン」の技を再現するPepperなど、子どもなりの発想に従って生き生きと動いていた。10人の参加者がそれぞれ、うなだれたPepperに使命を与えて思い思いに動かしたのは、感動的ですらあった。
「子どもにプログラミングができるようになってほしい」という親の思いを、子どもがやすやすと実現したのは、Pepperとコレグラフの秀逸な開発環境、そしてスタッフのサポートが充実していたことに尽きるだろう。
若狭さんは、今回のプログラミング教室を次のように締めくくった。
「Pepperのプログラミングは、開発環境のブロックのパーツを選んで並べるだけの作業なので、プログラム言語については、何も習得できていないかもしれませんが、『ブロックを並べただけで実現できるのが、すごい』と子どもたちに実感してもらうのが何よりも大事です。
動作の順次処理や、動作と音声の並列処理、Pepperの各種センサーによる分岐処理など複雑なことを難なくコントロールしたことに変わりありません。複雑なことでも、今回のようにPepperや面白い言動を媒介にして慣れてしまえば、『プログラムを自分で組んでいこう』という意欲が自然と高まっているはず。
そして、子どもたちが、いつかきちんとしたプログラミング学習を受けるときに、感覚的に『やったことがある』と気付けば、学習のハードルは一気に下がるのではないでしょうか」
今回のワークショップに参加した結果、筆者の息子はPepperを気に入り、「家でもPepperを動かしてみたい」と思うようになった。しかし、Pepperの値段はなかなかのものだ。それはちょっと無理な相談である。次回Pepperを触れる日まで、Scratchなどの他の子ども向けプログラミング環境で開発テクニックを磨いてもらう他ない。機会を作って、またリポートしたい。
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