第2回 OpenCV 3.0の新機能(+ 次バージョンのロードマップ)OpenCV入門【3.0対応】(2/2 ページ)

» 2015年11月10日 05時00分 公開
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2.4 photoモジュール

Non-photorealistic rendering

 油絵や鉛筆画などの表現を持つ画像を生成するphotoモジュールに機能が追加されています。ここでは以下の2つの機能(メソッド)について例を交えて紹介します。

  • cv::edgePreservingFilter エッジ情報を保持しつつ平滑化を行う
  • cv::pencilSketch 鉛筆画風にした画像を生成する

 これらのAPIの詳細は公式ドキュメント(英語)を参照してください。

●実行結果(Non-photorealistic rendering)

 図5が入力画像、図6がcv::edgePreservingFilterメソッドにより図7がcv::pencilSketchメソッドを用いて鉛筆画風に加工した結果です。これら処理を試したい方は公式のサンプルコードを参照してください。

図5 入力画像 図5 入力画像

図6 エッジ情報を保持した平滑化図7 鉛筆画風に加工した結果

Local Color Change

 photoモジュールで提供されるcv::colorChangeメソッドを用いることで引数maskで指定された領域に対してシームレスに色を変更できます。このAPIの詳細は公式ドキュメント(英語)を参照してください。

●実行結果

 図8が入力(src)画像、図9がマスク(mask)画像、図13がcv::colorChangeメソッドを用いてmaskで指定された領域に対して色を変更している例です。この機能を試したい方は公式のサンプルコードを参照してください。

図8 src画像図9 mask画像

図10 出力画像 図10 出力画像

Illumination Change

 photoモジュールで提供されるcv::illuminationChangeメソッドを用いることで引数maskによって指定された領域に対して見掛け上のローカルな照明を変更できます。このAPIの詳細は公式ドキュメント(英語)を参照してください。

●実行結果

 図11がsrc画像、図12がmask画像、図13がcv::illuminationChangeメソッドを用いて鏡面反射を軽減させている例です。この機能を試したい方は公式のサンプルコードを参照してください。

図11 src画像図12 mask画像

図13 出力画像 図13 出力画像

Seamless cloning

 photoモジュールで提供されるcv::seamlessCloneメソッドを用いることで複数の画像をシームレスに合成できます。このAPIの詳細は公式ドキュメントを参照してください。

●実行結果

 図14が合成元(src)画像、図15が合成先(dst)画像、図16がmask画像、図17がcv::seamlessCloneメソッドを用いて2つの画像を合成している例です。この機能を試したい方は公式のサンプルコードを参照してください。

図14 src画像図15 dst画像図16 mask画像

図17 合成結果 図17 合成結果


2.5 imgprocモジュール

ラベリング

 OpenCV 3.0からimgprocモジュールで、以下のラベリング専用APIが提供されるようになりました。そのため、これらのAPIを使うことで、簡単にラベリングを行えるようになっています。

  • cv::connectedComponents 簡易版ラベリングAPI
  • cv::connectedComponentsWithStats 詳細な情報(面積、重心、幅、高さなど)を取得できるラベリングAPI

 これらのAPIの詳細は公式APIドキュメントの説明(英語)を参照してください。

 また、筆者のWikiでもAPIについて解説していますのでご参考ください。

●サンプルコード(ラベリング)

 筆者のWikiで、connectedComponentsメソッドを使用したラベリングのサンプルコードを公開しています。

●実行結果

 前述のサンプルコードの実行結果は以下の通りです。

図18 入力画像図19 出力画像(ラベルごとに色分け)

●参考URL


2.6 imgcodecsモジュール

WebPフォーマット対応

 WebPは、グーグル社によって開発されている静止画フォーマットで、Google ChromeOperaといったWebブラウザー、PicasaImageMagickIrfanViewといった画像編集ツールもこのフォーマットをサポートしています。

 OpenCV 3.0よりimgcodecsモジュールでWebPフォーマットの入出力に対応しており、cv::imreadcv::imwriteメソッドでWebPの入出力を行うことができます。

●サンプルコード(WebP形式の入出力)

 WebP形式の入出力を行うサンプルコードを以下に示します。

#include <opencv2/core.hpp>
#include <opencv2/imgcodecs.hpp>

int main(int argc, char *argv[])
{
  // 幅320px、高さ240px、3チャンネルのインスタンスを生成する
  cv::Mat img(cv::Size(320, 240), CV_8UC3, cv::Scalar(0, 0, 255));

  // (1)画像データをWebP形式のファイルに書き出す
  cv::imwrite("image.webp", img);

  // (2)画像データをWebP形式のファイル(この例では「image.webp」)から読み込む
  cv::Mat img2 = cv::imread("image.webp", cv::IMREAD_UNCHANGED);

  return 0;
}

サンプルコード(WebP形式の入出力)


2.7 vizモジュール

2D/3Dデータの可視化

 OpenCV 3.0よりvizモジュールで、2D/3Dデータの可視化を行えるようになっています。vizモジュールの内部ではVTK(The Visualization ToolKit)を使用して2D/3Dデータの可視化を行っています。

●実行結果

 図20は、vizモジュールを用いて3Dデータをメッシュ表示した例です。

図20 3Dデータの可視化 図20 3Dデータの可視化

3. おわりに

 今回は、OpenCV 3.0に関する以下の内容について解説しました。

  • OpenCV 3.0のロードマップ
  • OpenCV 3.0の新機能紹介

 次回は、OpenCV 3.0の環境構築方法について解説します。

「OpenCV入門【3.0対応】」のインデックス

OpenCV入門【3.0対応】

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