MySQLの「気になるウワサ」はどこまで本当?Database Watch(2016年1月版)(1/2 ページ)

Webの世界で人気の高いオープンソースRDB「MySQL」は、振り返ると買収や分岐など、運命に翻弄されてきましたが、中には正しくない話も出回っているようです。あの話は、本当ですか?

» 2016年01月18日 05時00分 公開
[加山恵美@IT]

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 オープンソースソフトウェア(OSS)に関わる人なら、「MySQLあるある」を一度は聞いたことがあると思います。Webの世界で人気の高いオープンソースRDB「MySQL」は、振り返ると買収や分岐など、運命に翻弄されてきました。そのためか、中には正しくはない話があるのも見受けられます。

 この“あるある”話は、MySQLのコンサルティングとして、日本だけではなくアジア諸国も奔走する日本オラクルの梶山隆輔氏が「OSSコンソーシアム」や「オープンソースカンファレンス」などの講演でも、よく“お題”にしています。梶山氏の講演は、MySQLに関する誤解に反論する形で進むことが多いので、MySQLの現状を理解する良いきっかけになります。今回は、MySQLを誤解したままにしないよう、梶山氏の講演から、幾つか“あるある”をピックアップしてMySQLの現状とその後を確認しましょう。

【MySQLあるある.1】オラクルに買収されてオワコン?

photo 日本オラクルの梶山隆輔氏(MySQLセールスコンサルティングシニアマネージャー)

 「オラクルに買収されてオワコン?」──。いきなり刺激的な表現ですが、MySQLが長らく対峙している課題です。将来性はどうか、発展を続けているかどうかで見ていきましょう。

 梶山氏は「MySQLとOracle Databaseは補完関係にあり、利用形態や利用層が異なる」と、競合にはならないから、終わりにはならないと否定しています。

 また梶山氏は、「買収後、開発エンジニアは2倍、テストエンジニアは3倍」と開発体制が買収前より強化されていること。そして、「オラクル製品がMySQL対応を推進中」であることも説明しています。実際、Oracle Database向けのツールがMySQLにも対応するなど、近年着実に形になってきています。少なくとも“終わって”はいません。

 例えば、オラクルの運用管理ツール「Oracle Enterprise Manager」からMySQLを管理できるようになり、「Oracle Clusterware」ではMySQLも使えるようになっています。「Oracle Clusterware」は、複数台のコンピュータを連結して1台のコンピュータとして機能させ、Oracle Databaseへのアクセスを共有できるようにする機能である「Real Application Clusters(RAC)」の必須コンポーネントで、クラスタ管理を行います。


 MySQLのクラスタ化といえば「MySQL Cluster」があります。MySQL Clusterは、「NDB(Network DataBase)」というストレージエンジンに位置付けられます。MySQLとは別のプロダクトです。

 Oracle ClusterwareでMySQLも使えるということは、MySQL Clusterを使わずとも、MySQLの標準的なストレージエンジン「InnoDB」を使いながらクラスタ化を実現できることになります。MySQLユーザーにとって、新しい選択肢が増えたわけです。

 Oracle ClusterwareでMySQLをクラスタ化するには、「MySQL Enterprise Edition」のライセンスまたはサブスクリプションが必要になります。想定されるケースは、MySQLで小規模システムを運用開始したものの、重要度が高まり可用性を高めたくなったときなどです。ミッションクリティカルではなく、ハードルが高いMySQL Clusterに移行するまでもない場合などに有効です。

 MySQLは、バージョンアップも着実に進められています。2015年10月には最新の正式版である「MySQL 5.7」がリリースされました。MySQLは買収後もコミュニティーの独立性を維持しつつ、オラクル製品との親和性向上や開発体制を強化しているといった買収のメリットを享受しています。


 (※初出時、梶山氏の名前記述に誤りがありました。梶山様、読者ならびに関係者の皆さまにおわびするとともに訂正いたします 1/18 15:00)

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