クラウド、IoT、ビッグデータ、あるいは機械学習やAIなど、これまで“ITバズワード”だった技術が、急速に実需として具体化しています。その“データ”はどこに蓄積されるのか。そう、データベースです。データベースの最新事情を追う連載「Database Watch」から、2015年の動向を振り返り、「次に“来る”DBトレンド」を先読みします。
2015年は、これまで“ITバズワード”と思われていた技術が急速に実需として具体化してきました。クラウド、IoT、ビッグデータ、あるいは機械学習やAIなどです。では、その膨大に増えている“データ”は、どこへ集まっているのでしょう。「データベース」です。
クラウドが“当たり前”になった時代を迎え、今まで以上に重要性を増しているデータベースソフトウエアとその技術。この最新事情を追う連載「Database Watch」から、2015年の動向を振り返りましょう。あらためて、データベースは時代の潮流に合わせて機能追加や性能強化がなされ、常に変化を続けている面白い分野だと思います。2015年によく読まれた記事は以下の通りでした。
@IT「Database Watch」記事PVトップ10 | Facebookいいね!数 | 掲載日 | |
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1 | “Watson”はどんなDBで動いている?/PostgreSQL 9.4が正式リリースに | 80 | 2015年1月21日 |
2 | グラフデータベースはどんな用途に向いている? | 81 | 2015年7月29日 |
3 | オラクルが確約した「クラウド6箇条」と「Database 12c R2」の気になるトコロ | 7 | 2015年11月19日 |
4 | 「PostgreSQL」はエンタープライズでどこまで使える? ”SIエンジニア連合”が技術検証 | 97 | 2015年6月26日 |
5 | クエリストアって何だ? SQL Server 2016のパフォーマンス向上に注目 | 141 | 2015年6月23日 |
6 | SAPのPaaS「SAP HANA Cloud Platform」は日本に浸透するか? | 133 | 2015年6月1日 |
7 | 最適化したはずなのに性能が出ないデータベースが生まれる意外な理由 | 76 | 2015年10月1日 |
8 | これからのORACLE MASTERはPaaSのスキルが必須に | 31 | 2015年5月1日 |
9 | SPARC M7に実装された「Software in Silicon」とは何か | 111 | 2015年12月3日 |
10 | Apache Sparkに注力するIBM、目指すは「データ分析のOS」 | 247 | 2015年7月27日 |
※2015年1月1日〜2015年12月24日のページビュー(PV)を集計 ※Facebookいいね!数は2015年12月24日時点の数値 |
年間トップは、2015年1月に掲載した「"Watson"はどんなDBで動いている?」でした。2015年、IBMの「Watson」がさまざまな方面から大きく注目されました。Watsonは大量のデータ分析と自然言語処理を得意としており、独自のモデル化から“何か”を探し出し、人間の問いに答えます。なお、IBMはWatsonを「人工知能」ではなく、「コグニティブ(認知型)コンピューティング」と呼んでいます。
Watsonは他にも、2015年9月に「話題のWatsonをBluemixで使うには」として取り上げました。Watsonは1年で4年分の進化を遂げると言われています。IBMのPaaS(Platform as a Service)である「Bluemix」で“すぐ使える”ようになるなど、Watsonをめぐる状況が大きく進化していると実感しました。2016年はどういう形で進化があるでしょう。こちらは今後もウォッチしていきます。
2位はグラフデータベースの概要を解説した「グラフデータベースはどんな用途に向いている?」でした。こちらは、2015年に出てきた新しいタイプのデータベースです。
「グラフデータベース」は、リレーショナルデータベースではなく、NoSQLとしても特殊です。データの関係性を重視したデータベースで、ソーシャルネットワークサービス(SNS)と相性が良いデータ構造をしています。ここで例にしたのは「Neo4j」でしたが、2016年に登場予定の「Oracle Database 12c R2」でもグラフデータベースとしての機能強化が盛り込まれます。2015年末現在は、まだ身近ではないかもしれません。しかし、SNSのようなリアルタイム性のあるデータの活用は今後いっそう重要性を増してきます。2016年はどのように普及が進むでしょうか。
併せて、データベースソフトウエアの主力ベンダーであるオラクルの動きもかなり大きいものでした。3位には2015年11月に掲載した「オラクルが確約した“クラウド6箇条”と“Database 12c R2”の気になるトコロ」が入りました。世界中から6万人以上が訪れるという米オラクルの年次イベント「Oracle OpenWorld」で示された戦略や方向性は、データベースウォッチャーである筆者はもちろん、データベースエンジニアなどの読者の皆さんとしてもスルーする訳にはいきません。データベース処理の高速化とセキュリティ性を両立する技術「SPARC M7に実装された“Software in Silicon”とは何か」とともに、2016年には注目しておくべき項目になりそうです。
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