日本IBMは、「Watson IoT事業部」を新設した。「コグニティブコンピューティング」とIoTを連携、産業界ごとに新たなソリューションを創出する体制を整える。
日本IBMは2016年3月1日、「Watson IoT事業部」を新設した。同社のいう「コグニティブ(認知・認識の意味)コンピューティング」とIoTが密に連携する、新たな「つながる」ソリューションを顧客の業界ごとに創出することを目指すとしている。IBM Watsonは2016年2月に日本語版が発表されたばかり。Watson IoT事業部では、日本を含むアジアや、欧州、米国の8カ所にある「Watson IoT Client Experience Center」と連携して、コグニティブコンピューティングを使った新しいソリューションを開発する他、ツールも提供するという。
これまでもIBMは、「コグニティブIoT」のソリューションとサービスの開発に向けて、WatsonのAPIとサービスをIBMのクラウド上で提供してきた。特に、「つながるクルマ(コネクテッドカー)」「スマートマニュファクチャリング」「コネクテッドライフ」「ヘルスケア」「スポーツ/エンターテインメント」「小売業の店舗」の6つをIoTが効果を発揮する領域と定め、注力している。
Watsonは、@ITの記事「Watson Analyticsのテーマは、データ分析という作業をなくすこと」で紹介したように、自然言語処理や機械学習、推論などの技術を組み合わせた人工知能エンジン。学習させる内容によって多様な用途に適用でき、各分野で必要なデータ分析や探索が効率化できる可能性がある。
日本IBMでは今後、顧客やビジネスパートナーに加え、スタートアップ企業や学術団体などとのエコシステムを産業分野ごとに形成するとしている。
日本IBMでは既に、複数の企業・組織との協業を発表している。三菱電機とは、IoT技術を活用した次世代スマートファクトリーの実現に向けて、ファクトリーオートメーション(FA)とITシステムとの連携強化の取り組みを推進。ソフトバンクとは、家電やセキュリティ機器など、多くの住宅関連機器との連携を促進している。日本IBMでは、今後さらに位置情報や決済基盤といった、通信事業者が所有する技術や資産を活用したソリューション開発も進めるとしている。
また、ヘルスケア分野ではミネベアや千葉大学大学院医学研究院、千葉大学医学部附属病院と協業することは2015年11月に発表されており、ビジュアルコミュニケーション分野ではリコーとの協業も決定している。
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