Azureの新しい管理ポータルから利用する場合は、左メニュー上部の「+新規」をクリックするだけです(画面4)。Azure Marketplaceに登録されたイメージやサービスがリストアップされ、選択していくだけでサービスを開始できるようになっています。
従来の管理ポータルでは、仮想マシンやWebサイトなどのサービスごとに「ギャラリー」が用意されており、サービスをデプロイする場合は、このギャラリーからイメージを選択して作成していました。新しい管理ポータルでは、事前定義済みのソリューションをより簡単に使えるようになっています。
カテゴリーは、Azure Marketplaceのポータルとは異なり、以下の12に分かれています。
左メニューで「Marketplaceを検索」や「すべて表示」を使うと、Azure Marketplaceに登録されている全てのサービスを検索、閲覧でき、ここからサービスを簡単に作成できるようになっています。佐藤氏は、Azureの新しい管理ポータルとAzure Marketplaceとのユーザーインタフェースの統合について、次のように説明しています。
「インストールとデプロイが簡単になり、テストや評価がしやすくなりました。例えば、ビッグデータ分析を行いたいと思ったら、Howonworksなどのイメージを使ってサービスを立ち上げ、そのままデータをアップロードして、評価、テストするところまですぐにできます。従量課金のサブスクリプションを使えば、コストは利用する分だけで済みます。商用サービスでもフリートライアル期間を設けている場合もありますので、積極的に試すことができます」
データ連携やデータ分析など、実環境で試してみないとよく分からないというケースは少なくありません。使ってみようと思ったとき、普段利用している管理ポータルからすぐ試すことができるのは、大きなメリットといえます。
Azure Marketplaceは、ISVにとっても大きなチャンスになります。国内ISVは、欧米や中国、インドなど、Microsoft Azureが提供されている世界86カ国のユーザーを顧客として、自社のアプリケーションやサービスを販売できるようになります。青木氏によると、日本マイクロソフトでは、こうした取り組みを支援するためにパートナー支援サイト「マイクロソフト パートナーソリューション デジタル カタログ」で、Azure Marketplace上のサービスに顧客を誘導できるような仕組みを提供しているとのことです。
支援サイトでは、詳細をカタログPDFとしてダウンロードできたり、掲載製品の購入や販売に必要な資料を入手したりできます。この支援サイトは日本独自の取り組みのため、日本企業向けの製品を見つけやすいことが大きな特徴です。サイトから直接マイクロソフトへ問い合わせることもできるようになっています。
実際にAzure Marketplaceにサービスを登録する際には、「Marketplace FAQ」や「Microsoft Azure Marketplace 参加ポリシー」が参考になるでしょう。
例えば、参加のためには基本的に「サービスがMicrosoft Azure上で稼働すること」「技術的な資料を作成し、提供すること」「分類法に基づいて分類すること」といった基準を満たすことが必要です。審査も行われますが「公開されている基準をきちんと満たしていればまず問題なく認められる」(青木氏)とのことです。
注目したいのは、サービスを作成し、サービスの分類や料金モデルなどを選択してしまえば、決済も含めた事務的な作業の一切をAzure Marketplace運営サイド(マイクロソフト)にまかせられることです。サービスの分類には、以下の6つがあります。
また、料金モデルには、以下の5つがあります。
特に新規サービスなどの場合は、どのターゲットにどういう価格設定で展開していくかが重要になってきます。事務的な作業に追われてビジネス判断が遅れがちですが、Azure Marketplaceをうまく利用すれば、効果的にビジネスを展開していくことができるでしょう。
青木氏は、Azure Marketplaceは「マイクロソフトのパートナービジネスの具現化だ」と説明します。
「Azure Marketplaceは“Azureというエコシステムの究極の形”だと思っています。単に場所を提供するだけでなく、Azureのパートナーの取り組みをさまざまな側面から支援していきます。まずは、“場所”としてAzure Marketplaceを利用していただき、これを起点にして新たな取り組みを進めていただければと思っています」
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