ネットショップ(ECサイト)を運営および改善提案されている方に向けて「コンバージョン率改善」と「在庫の見せ方」によって「衝動買い」に導く方法を解説する連載。最終回は、「衝動買い」の定義を解説した上で、それを達成するために必要な要素である「在庫の見せ方」に重点を置いて、幾つかのテクニックを解説します。
ネットショップ(ECサイト)を運営および改善提案されている方に向けて「コンバージョン率改善」と「在庫の見せ方」によって「衝動買い」に導く方法を解説する本連載。連載第1回ではシステム構築においてサービス担当とシステム担当の相互理解がシステムの良しあしを決めることについて解説しました。
また第2回では「コンバージョン率改善」として業績好調なECサイトの売上の8割を占める「リピート売上」について改善方法を解説し、第3回でも「コンバージョン率改善」としてECサイトの離脱率改善に有効な「UI/UX」を「食事」に置き換え、「接するUI」「感じるUX」とイメージしてもらいながら解説しました。
最終回は、初めに「衝動買い」の定義を解説した上で、それを達成するために必要な要素である「在庫の見せ方」に重点を置いて、幾つかのテクニックを解説します。
最終回でお伝えする内容は、第2回や第3回で解説したような「コンバージョン率の改善対策を行った上で在庫の見せ方を工夫すればコンバージョン率が上がる」ような単純な話ではありません。また衝動買いというキーワードは少なからず「買わされた」「あんまり考えずに買ってしまった」などのネガティブなイメージを抱く方もいるかと思いますので、まずは本連載における「衝動買い」を定義します。
本連載における衝動買いとは、例えばあるユーザーが「ある程度購入意欲のある商品」をあなたのサイトで見た際に、他のECサイトやあなたのサイトの他の商品と比較せずに購入してもらうことを指します。
次に上記の定義のユーザーについて、幾つか前提事項を補足していきます。実店舗と比較してECサイトの最大のメリットは「価格」です。そのため、ECサイトを頻繁に活用しているユーザーは商品購入の際に価格を重視している可能性が高いといえます。すなわち、そのようなユーザーは複数サイトで価格の比較をする可能性が高く、本連載で定義した衝動買いに導くのは極めて困難です。しかし既にリピーターとなっているユーザーであればどうでしょうか。
例えば、そのリピーターは既にあなたのサイトのポイントを多く保有しており「XXX商品を買うならあなたのサイトで購入する」と決めているとします。その上であなたのサイトのXXX商品ページを初めて見た際に、購入の判断に迷う要素が1つもなければ購入する可能性は高いといえます。逆にリピーターといえど、迷う要素が多ければそのタイミングでは購入しないといった判断がなされるでしょう。
そこで、本連載で定義した衝動買いとは「既にリピーターとなっているユーザー」をターゲットとして、いかに迷わせずに購入に導くかを解説していきます。リピーターがいかに重要であるかは、連載第2回で解説している通りです。
この章では、ユーザーが購入を迷ってしまう要素を解説していきます。実際にユーザーの気持ちになって読んでください。
商品ページの前に「検索ページ」を通過していることを前提にしますが、検索ページで「あいまいな検索」をした場合ならまだしも「商品の品番」を指定しても「同じ品番の商品」が大量にヒットし表示された場合、どれを買ってよいのか判断に困ります。また1つの商品ページに関連する商品を幾つも並べられてしまうと、商品を間違って購入してしまうことを恐れて購入をためらってしまいます。
特に、小さい部品などは全ての商品に専用の写真が用意されていないことが多く、品番と価格表示のみで判断することとなりますので、ユーザーはより慎重にならざるを得ないでしょう。
つまり、ショッピングモールサイトでもない限り、そのような表示結果となるような商品データ構造やページへの表示手法は避けるべきだといえます。
ショッピングモールサイトでは同じ商品でも出店している店舗ごとに商品が分かれ、「金額」「ポイント付与率」「送料込みか否か」などの違いなどが発生するのはビジネスモデルの特性上、仕方ないといえますが、同商品であれば集約したカタログ表示を行うなど工夫しましょう。
実店舗と比較してECサイトの最大のメリットは「価格」であると前述しました。逆にデメリットになるのが「送料」です。従って、購入意思決定には価格とともに送料が大きな影響を及ぼします。
別ページの送料表を見なければ分からない、決済の画面まで遷移しなければ分からないなど、ユーザーに送料を調べる手間を求めるようなサイト構成だと、他サイトへの離脱のリスクを高めてしまいます。正確な送料は、配送先や配送業者、その他の条件が決定しなければ確定できないことは理解できますが、少なくともログインしているユーザーの場合、その商品の標準的な配送方法でユーザーの住所(設定された標準配送先)までの送料を「商品の金額」「購入ボタン」の近くに表示するなどの工夫をすべきです。
関連商品の広告が大きく、表示量が多いのもユーザーをちゅうちょさせてしまいます。こういったレコメンド商品などは購入までの導線のわずかでも外、つまり購入ボタンより下に小さめに表示するなど工夫すべきです。
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