日本オラクルが2017年度戦略を発表。デジタルで創造的破壊を起こす「デジタルディスラプション」ではなく、デジタルで“助ける/支援する”を促す「デジタルエイド」を推進する戦略を示した。
日本オラクルは2016年6月30日、2017年度戦略説明会を開催した(同社の年度開始月は6月)。冒頭、同社取締役代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏は、2020年までの中期ビジョン「Oracle Japan VISION 2020」について触れた。これは2年前の2015年に掲げたもので、「2020年までにクラウドでナンバーワンになる」というものだ。杉原氏はこのビジョンに、「“社会に貢献する”も加える」と話し、同じくクラウド戦略のスローガンに掲げる「POCO(The Power Of Cloud by Oracle)」を踏まえたクラウド事業に注力する姿勢をあらためて示した。
2016年度のハイライトとして杉原氏は、SaaS(Software as a Service)/PaaS(Platform as a Service)/IaaS(Infrastructure as a Service)となるクラウド事業の売り上げが39.3%、新規ライセンス事業の売り上げが3.9%となり、さらに、SaaS/PaaSの新規顧客が350社増えたこと、システム製品の売り上げが2年ぶりのプラス成長となる3.1%となったことなどを挙げ、好調をアピールした。
また、日本オラクルの社員数も2015年5月末より94人(2016年5月末時点)増え、営業職を中心にクラウド人材を積極採用していると説明。杉原氏は「日本オラクルは外資系ですが、2015年に30年目を迎えました。これからの30年を考えるのが私の使命だと思っています」と話した。
近年、「デジタルディスラプション(デジタルによる創造的破壊、既存の産業がデジタルを駆使した新たなビジネスに取って代わられてしまうこと)」などの言葉で語られるように、ITの進歩や活用によって既存の産業の在り方が大きく変化している。同社はこのディスラプションを「エイド」に置き換え、「デジタルエイド」と掲げるとした。技術で何かを「助ける」「支援する」「促進する」といった意味付けだ。これは、冒頭に同氏が述べた「クラウドで社会貢献」にも通じる。
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