Wi-Fi Allianceは、Wi-Fi CERTIFIED acを拡張した「802.11ac Wave 2」対応の認定プログラムを開始。160MHzの帯域幅、4ストリーム通信、MU-MIMO機能をサポートし、新たに5GHz帯の追加チャンネルも割り当てられた。
ワイヤレス製品の業界団体 Wi-Fi Allianceは2016年7月27日、Wi-Fi規格の認定プログラム「Wi-Fi CERTIFIED ac」を拡張した、第2世代の「802.11ac Wave 2」対応の認定プログラムを開始した。
2016年現在、PCやスマートデバイスを中心に、多くの無線LAN対応デバイスで5GHz帯を使う最新世代の無線LAN規格である「IEEE 802.11ac」をサポートする。802.11acは、理論値で最大6.93Gbps、最大160MHzの帯域幅、最大8ストリーム(8×8 MIMO:Multi-Input Multi-Output)での通信をサポートする。Wi-Fi Allianceが認定する「Wi-Fi CERTIFIED ac」も、大枠はIEEE(米国電気電子学会)が標準化した仕様に準じるが、細かな規格は少し異なる。ちなみに「Wi-Fi対応(Wi-Fi CERTIFIED)デバイス」とは、本プログラムで認定された製品を指す。
Wi-Fi CERTIFIED acとして2013年に策定され、最大1.3Gbps/帯域幅80MHz/最大3ストリームでの通信に対応した第1世代の「Wave 1」に対し、今回のWave 2では、使える帯域幅を160MHzまで拡張し、最大4ストリーム(4×4 MIMO)での通信に対応。初期のWi-Fi CERTIFIED ac認定製品と比べ、最大で3倍のスループットを達成するという。さらに、限られた帯域幅を多くの利用者が有効活用できるようにする「MU(Multi-User)-MIMO」機能をサポートし、5GHz帯の追加チャンネルも新たに割り当てられた。
MIMOとは、送信側/受信側ともに複数のアンテナを用いて、電波を多重化/束ねて通信速度を向上させる技術。送信側がそれぞれのアンテナから異なるデータの電波を送出し、受信側は同じく複数のアンテナで合成された電波を受信。その合成波から演算処理を行って元のデータを復元する。電波が到達する経路の違いや時間差、壁の反射などを利用するので「空間多重」とも呼ばれる。
MU-MIMOは、同時に1ユーザーしか使えなかったMIMOを、複数のユーザーが分配して同時に使えるようにする技術となる。最大4ストリームで通信できるアクセスポイントがあったとしても、スマホなどのクライアント側デバイスが2ストリームまでの対応ならば、残りの2ストリーム分の送受信能力が余ってしまう。そこで、その余っている分を別のデバイスにも割り当てて効率化するのがMU-MIMOの大まかな仕組みだ。アクセスポイントの性能を生かし、結果として同時に使うデバイスの通信待ち時間を短縮できることで、ネットワーク全体の平均スループットを高められる。802.11ac Wave 2では、最大4デバイスの同時通信をサポートする。
Wi-Fi Allianceは、相互運用性のテストヘッドを構成する最初の802.11ac Wave 2対応製品として、Broadcom「BCM94709R4366AC」、Marvell「Avastar A88W8964」、MediaTek「MT7615 AP」「MT6632 STA」、Qualcomm「IPQ8065 802.11ac 4ストリームデュアルバンド、デュアルコンカレントルーター」、Quantenna「QSR1000 4x4 802.11ac Wave 2チップセットファミリー」を認定。以後、上記のチップを採用した製品などが、Wave 2対応の「Wi-Fi CERTIFIED ac」認定製品として各社より販売される予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.