上述の通り公共交通機関は「すごく便利」というわけでもありませんから、「自動車」を持っていると行動範囲がぐっと広がります。松江中心部から自動車で30分くらい走れば、温泉やきれいな海や国宝に指定されている神社などバラエティに富んだ場所に行けます。
自動車のある生活に慣れてしまうことの引き換えに払う代償、それが「運動不足」です。地方での生活は運動不足になりがちであると聞いてはいましたが、真実でした。
私は東京に住んでいたころ、週1回のヨガ、週2回の水泳、晴れた日は自転車で往復16キロ通勤という健康生活を営んでおりました(とはいえ都会暮らしのストレスを相殺するぎりぎりの生活ではありました)。島根では食べ物がおいしいことと、水泳プールの少なさ、あまりにも恵まれた通勤事情、週末には日帰り温泉や釣りやコンサートや各種イベントに自動車で出掛けるのが楽し過ぎるために、運動不足が深刻です。
お買い物好きな人が松江市に移住したら、少し困るかもしれません。お洋服好きなおシャレさんは特に。
私は服に無頓着なのであまり困りませんが、それよりもヨドバシカメラのような家電量販店がない方がつらいです。秋葉原や大阪日本橋のようなPC・電子パーツショップもありませんし、自作PCマニアやラジオ工作少年が楽しめる街もありません。Amazonなどの通販はもちろん便利ですが、手にとって商品を選びたいというニーズを満たせません。
この辺は割り切りが必要だと思います。もしもあなたが、お買い物大好きな20歳代エンジニアだとしても、30歳をすぎたら意外とそうではなくなるかもしれません。ご自身のここ数年間の消費行動を一度冷静に振り返り、地方都市でも問題なく暮らせそうかを考えてみてください。
ちなみに、アニメイトなら松江にもあります。
もう1つ困るのが「銀行」です。松江市にあるメガバンクは、みずほ銀行だけです。三菱東京UFJ銀行などは支店がないだけでなく、ATMもありませんので記帳ができません(コンビニATMからの出金は可能です)。地元の銀行口座からしか引き落としできない公共料金もありますので、口座開設の検討をオススメします。
少々ネガティブな情報が続いたので、ここからはパラダイスな島根生活をお届けします。唐突ですが、読者の皆さんは「出雲そば」をご存じでしょうか。「西日本はうどん」と思い込んでいる人も多いようですが、島根県はそば文化圏です。出雲そばは、東京や信州のそばよりも(どちらかというと)黒っぽい、そば殻ごとひいた田舎そばです。
出雲そばの典型的なメニューに「割子(わりご)そば」というものがあります。円形朱塗りの器が三段1人前で提供される冷たいそばです。
私は東京に住んでいたころからそばが大好物で、更科そばよりも田舎そばが好きでした。移住してみたら松江にはおいしいそば屋がたくさんあり、今では平日のほとんどのランチでそばを食べます。
松江のそば屋がどれだけハイレベルかは、ぜひググッて調べてください(私が書いた別の記事を発見するかもしれません)。
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