良いキャリアパスを築いていくためには、人間にしかできないことに集中する、つまり、AIなどに業務タスクの一部を割り振り、人間は人間にしかできないコア業務に集中し、生産性を上げていくアプローチが重要だ。
ジャストシステムが2016年8月23日に発表した「職業別の仕事と人工知能に関する実態調査」結果では、「AIに仕事の一部を頼みたいか」の問いに対して「Yes」の解答が最も多かった職種は「企画・マーケティング(35.7%)」、続いて「医師・看護師(33.3%)」だった。
マーケティング分野は、デジタルマーケティングやマーケティングオートメーションなどのキーワードに代表されるように、データを活用したマーケティングの自動化や効率化の取り組みが進んでいる。これからはさらにAIを活用して、企画・マーケティング業務の精度や効率性を高め、人間は「事業の判断」や「戦略策定」など、人間にしかできない業務にシフトしていくだろう。
AIと雇用の関わり方について、もう少し掘り下げてみたい。
総務省は、2016年7月29日に公表した「情報通信に関する現状報告(平成28年版情報通信白書)」の中で、AIの普及による人間の仕事のタスク量の変化と雇用への影響を整理している。
本白書では、AIの業務効率・生産性の向上効果により、機械化の可能性が高い職種のタスク量が減少していくと指摘している。その一方で、AIの導入や利用拡大に伴う「AIを導入・普及させるために必要な仕事」と「AIを活用した新しい仕事」の2種類は、タスク量の増加が進んでいくとしている。
タスク量の増加に対する雇用の対策は、「雇用の一部代替」「雇用の補完」「産業競争力への直結による雇用の維持・拡大」「女性・高齢者などの就労環境の改善」の5つだ。
「雇用の一部代替」は、人間がする仕事のうち、AI活用と比べて同じ生産性でコストが割高となる一部のタスクのみがAIに取って代わられる。
「雇用の補完」は、AIと一緒に働く人間やAIで軽減したタスク量であれば働ける人間によって補完される。
つまり業務の生産性を上げていくためには、中長期的に「AIの活用を前提としたワークスタイルの在り方」を考え、行動することが必要だということだ。
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