1行だけの「TODOリスト」――仕事をゲームのように楽しむ方法田中淳子の“言葉のチカラ”(35)(1/2 ページ)

「TODO」を細分化し、リストを細かく消し込む手法をとっているエンジニアは多いだろう。しかし、たった1つの「TODO」を目標にする、というやり方もあるのだ。

» 2016年10月11日 05時00分 公開
[田中淳子@IT]
「田中淳子の“言葉のチカラ”」

連載目次

 人材育成歴30年の田中淳子さんが、人生の先輩たちから頂いた言葉の数々。時に励まし、時に慰め、時に彼女を勇気付けてきた言葉をエンジニアの皆さんにもお裾分けする本連載。

 前回は、上司が会議で「いいね!」とメンバーの意見を引き出した例を紹介した。今回は、会話を通して人間関係を構築したエンジニアの話を紹介しよう。

「TODOリスト」でやる気を引き出す

 仕事を取り巻く環境はどんどん「守るべきルール」が増え、それに伴い「申請書」や「報告書」の種類も数も、10年前と比べてうんと増えている。どの職場でもそうだろう。立場が上になるにつれ、「書くべき書類」「踏むべき手続き」が多過ぎて大変な人も多い。

 あるITリーダーAさんがこんなことを言っていた。

 「社内のルールが複雑になった分だけ、手続きが増え、話を通すべき部署や人が増え、仕事がどんどん煩雑になりました。その面倒臭さを思うとモチベーションが下がり、片付かない仕事がどんどんスタックして、どんどんうんざりして、より一層モチベーションが下がる、という悪循環になっていました。そしてある日、『これを断ち切るのは自分だ』と気付いたのです」

 「やるべきことをリストにしよう」と思い立ったAさんは、ある朝出社したら、「今日話すべき人、書くべき書類、対応すべき事務処理を全部紙に書き出してみたという。そのリストを見ながら、1つ書類を書いては横線で消し込み、1つ誰かと話して合意が得られたらまたリストを横線で消していった。これを繰り返していたら、だんだんと「消し込んだ」作業が増えてきて、楽しくなってしまったとか。

 「大量のリストを消し込んでいくと、モチベーションが下がらなかったのはもちろんのこと、いつもより効率よく仕事を片付けられたのです。『これが全部消し込めたから帰ろう!』と、すっきりした気分で退社できました」と、笑顔で語ってくれた。

 こうやって「片付けたいこと」「取り組むこと」を決めて、仕事を進めていくのは、「小さな達成感」を積み重ねていくやり方だ。消し込む作業によって、「前進している」「ゴールに近づいている」という実感を得やすい。

やあったぁあ! 全部のタスクを消化したぞぉぉぉおおおおお!(画像はイメージです)
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