マイクロソフトが2015年下半期のセキュリティ脅威の動向をまとめた「Microsoft Security Intelligence Report(SIR)」より、マルウェア感染率の高い地域について公式ブログで解説。マルウェア感染率の世界平均は、2015年第3四半期の6.1台(CCM)から、第4四半期には16.9台(CCM)に増加しているという。
米マイクロソフトは2016年10月12日(米国時間)、2015年下半期のセキュリティ脅威の動向をまとめた「Microsoft Security Intelligence Report(SIR)第20版」における、マルウェア感染率の高い地域に関する解説を公式ブログで公開した。
SIRは半期に1度公開されるレポートで、グローバル規模での脆弱(ぜいじゃく)性/エクスプロイト(悪用)/マルウェアの最新事情や、各国/各地域における脅威の傾向などについて、全世界約6億台以上のコンピュータから収集されるデータを基に分析した結果が報告されている。
最新の第20版では「マルウェア感染率の高い地域」を特集し、特に南アジアと東南アジアにおける標的型攻撃に関する詳細な分析結果を報告。SIRでは、マルウェアの感染率を「Computers Cleaned per Mille(CCM)」という指標で表しており、「悪意のあるソフトウェアの削除ツール(MSRT)」が実行された一意のコンピュータ1000台のうち、実際に対策できたコンピュータの台数から算出される。
SIR第20版によると、2015年下期でのマルウェアの感染率が高かった国/地域はイラク、リビア、モンゴル、パキスタン、パレスチナだった。一方、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンは同感染率が世界平均の約半分と少なく、日本も10台(CCM)以下で世界平均を下回った。
マルウェア感染率の世界平均は、2015年第3四半期の6.1台(CCM)から、第4四半期には16.9台(CCM)に増加した。マイクロソフトによると、感染率が増加した主な要因は「Win32/Diplugem」だったという。Win32/Diplugemは、ユーザーがWeb閲覧時に意図した広告を見るようにブラウザを改変するアドウェアだ。なお、感染率の計算はマイクロソフトへのデータ提供を許可したユーザーのコンピュータが対象になるため、実被害はそれ以上にあると想定される。
マイクロソフトは、マルウェア感染率が極めて高い地域と、低い地域を体系的に分析して比較することで、地域のマルウェア感染率に影響するさまざまな技術的、経済的、社会的、政治的要因なども明らかになると述べている。
※初出時、同レポート公開日の記述に誤りがありました。おわびして訂正いたします。
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