アドビシステムズが、米国で行った電子メールに関する意識調査の結果を公表。スマホの普及によって、メールに費やす時間は2015年比で約17%増加。「マーケターがいつでも電子メールを媒体にして消費者に接触できることを意味する」という。
アドビ システムズは、米国ユーザーに対して実施した電子メールに関する調査「Adobe Email Survey 2016」の結果をオウンドメディア「CMO.com」で、及び日本語抄訳版を「Adobe Marketing Cloud Japan Blog」で公開した。調査結果によると、ユーザーの端末利用環境がスマートデバイスに移行したことにより、米国では電子メールの利用が増えていることが分かった。スマートデバイスを使い、あらゆる状況で電子メールを即座に利用できる環境が定着したことを背景に、同社では「電子メールは、もうフォーマルな通信手段ではなくなりつつある」と位置付けている。
電子メールの利用時間は、2015年と比べて約17%増加した。併せて今回の調査では、電子メールをチェックする主なデバイスとして、スマートフォンがPCを上回った。電子メールに費やす時間が最も長いのは、「ミレニアル世代」と呼ばれる18〜34歳の層で、その90%が電子メールの利用にスマートフォンをメインデバイスとしている。また、ミレニアル世代の50%近くは、朝、ベッドで電子メールをチェックする習慣があるという。
調査を実施したAdobe Digital Insights(ADI)でシニアマーケットアナリストを務めるライアン・ディーツェン氏によると、「電子メールの利用時間の増加は、スマートフォンの普及率と連動している。特にミレニアル世代は、同僚や友人からの電子メール受信の通知がスマートフォンの画面に表示されると、確認せずにはいられない」としている。この点は国を問わず事情は変わらないようだ。
平日にメールをチェックするために費やす時間の変化にも注目したい。プライベートのメールに費やす時間は2015年比で6%増となる3.3時間、一方の仕事のメールは28%増となる4.1時間だった。1日の合計約7.4時間という値も、2015年比で17%増加している。やはり、電子メールをあらゆる状況でチェックできる状況が当たり前になったためと推測される。もっとも、電子メールだけに集中しているのではなく、テレビや映画を見ながらとの回答が69%、寝ながら/休息中が53%、トイレの中が45%と「ながら使い」の率も多い。「電話中」も44%存在した。
ディーツェン氏はこの傾向について、「ユーザーは、1日中電子メールを見るようになった。これは、マーケターがいつでも電子メールを媒体にして消費者に接触できることを意味する」としている。同調査によると、マーケティング目的の情報を受け取る手段として好まれているのは、2位のダイレクトメール(22%)に大差をつけて、電子メール(49%)だったという。
ただし、それが読まれるかどうかは別の話だ。マーケティング目的のメールに関する問題点として、メールの頻度や文章の質、誤ったプロファイルデータに基づくオファーへの嫌悪などが挙げられている。
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