マイクロソフトは、プロフェッショナルなオープンソースマネジメントを促進する非営利団体であるThe Linux Foundationにプラチナメンバーとして加入した。
左より、ジム・ゼムリン氏(Linux Foundation エグゼクティブディレクター)、スコット・ガスリー氏(マイクロソフト エグゼクティブバイスプレジデント)、クリス・ワンストラス氏(GitHub CEO)
マイクロソフトは3代目CEO(最高経営責任者)のサティア・ナデラ氏体制になってから、オープンソースのプロジェクトやコミュニティーへの関与を加速させている。2016年は、オープンソースのクロスプラットフォームアプリケーションフレームワーク「.NET Core 1.0」のリリース、Canonicalとの提携によるWindows 10への「Ubuntu」統合と「Bash on Ubuntu on Windows」の実装、FreeBSDとの協力による、FreeBSDでのAzure仮想マシン対応、Xamarin買収後のソフトウェア開発キットのオープンソース化など、多くの重要な進展を達成してきた。
この他マイクロソフトは、同時に.NETのオープンソースリソース管理団体「.NET Foundation」のTechnical Steering Groupに米グーグルが加わったこと、また、韓サムスン電子とパートナーシップを結び、Tizen対応の開発環境「Visual Studio Tools for Tizen」をリリースしたことも発表した。.NET開発者はこのツールによって、サムスン製デバイス(テレビ、ウェアラブルデバイス、モバイルデバイス、IoTデバイスなど)向けのアプリケーション開発が容易になるという。
Linux Foundationのエグゼクティブディレクターを務めるジム・ゼムリン氏は、「マイクロソフトのLinux Foundation加入は、同社にとって重要な一歩であると同時に、同社の貢献の幅が広がることで恩恵を受けるオープンソースコミュニティー全体にとっても重要な一歩だ」と述べている。
「Visual Studio Tools for Tizen」をリリース
同時に、2016年末から2017年にかけて以下の製品も投入する予定とした。
クロスプラットフォーム開発を支援する製品群
「SQL Server on Linux」のパブリックプレビュー版:Windows Serverベースのデータプラットフォーム「SQL Server」を、LinuxとLinuxベースのDockerコンテナで利用できるようにする
「Visual Studio for Mac」のプレビュー版:モバイル、クラウド、macOSアプリを開発するための、macOSベースの統合開発環境を投入する
「Azure App Service on Linux」:PaaS(Platform as a Service)であるAzure App Serviceで、Node.jsやPHPスタックのネイティブLinuxサポートを提供する。また、コンテナサポートもプレビュー段階にある
Azure上で動作する、より高度なアプリケーションやサービスを構築するための製品群
「SQL Server 2016 Service Pack 1」:SQL Server 2016のリリース後(2016年6月)に開発された新機能や修正プログラムを含めた大型アップデートをリリースする
「Azure Data Lake」サービス:ペタバイト(PB)規模のデータを容易に保存、処理するためのデータレイクサービスをリリースする。例えば、超並列分析機能やエンタープライズグレードのセキュリティ機能を利用できるようにする
変化する開発者ニーズに対応した、包括的な開発プラットフォームの実現に向けた製品群
「Visual Studio Mobile Center」のプレビュー版:Visual Studio Mobile Centerは、開発者を支援するクラウドおよびライフサイクルサービスとして展開。Android、iOS、Windowsデバイス向けに、Objective-C、Swift、Java、Xamarin、React Nativeなどの多彩な言語に対応する
「Visual Studio 2017」のリリース候補(RC)版:統合開発環境の次期バージョンとなる「Visual Studio 2017」を投入する
「Visual Studio Team Foundation Server 2017」と「Azure Application Insights」::クラウドファースト、モバイルファーストのシナリオに対応した、コラボレーションおよびDevOpsプラットフォームを投入する
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