グーグルがスタンフォード大学と共同でペタバイト級のデータに瞬時にアクセスしながら、電力消費量を削減する技術に関する論文を発表した。
米グーグルとスタンフォード大学の研究チームが、検索やソーシャルネットワーキングに使われる“ウェアハウススケールコンピュータ”(Warehouse-Scale Computer:WSC)の消費電力を大幅に削減できる技術についての論文を公表した。米ミネアポリスで開かれるコンピュータアーキテクチャの国際シンポジウム(ISCA)で2014年6月17日に発表する。
WSCはグーグルが目指す次世代データセンターのことで、データセンター全体を1つのコンピューターリソースそして扱えるようにするためのコンピュータアーキテクチャを指すもの。
論文によると、検索やソーシャルネットワーキング、SaaSなどに使われるWSCでは、ペタバイト級のデータに瞬時にアクセスすることが要求され、SLO(サービスレベル目標)にも遅延時間の厳格な基準を盛り込んでいる。その需要に応えるために、トラフィックの量を問わず、何万台ものマルチコアサーバーを稼働させる必要があり、結果として膨大な量の電力を消費している。
しかし、既存の電力管理技術では、サーバーのフル稼働時には高いエネルギー効率性を発揮できても、利用率が低くなるとエネルギー効率が低下して電力使用の無駄が増えることから、低〜中程度の利用率におけるエネルギー効率の向上が課題になっていた。
この問題に対応するため、サーバーの電源性能設定をきめ細かく調整し、ワークロード全体のレイテンシ基準をギリギリの範囲で満たせるようにした電力管理技術「iso-latency」を開発。この技術を実装したフィードバックベースのコントローラー「PEGASUS」を構築した。
PEGASUSをグーグルの検索クラスターに実地導入して行った大規模クラスターの実験では、遅延時間をSLOで保証する基準値以内に収めながら、消費電力を最大20%削減できたと研究チームは報告している。さらに、クラスター内で利用率の低いサーバーを特定するPEGASUSの分散型バージョンでは、ほぼ2倍の40%削減を達成できると推定している。
実際のウェアハウススケールのデプロイメントで、これほどの電力消費量削減を達成できた研究は初めてだと論文では解説している。
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