Windows 10 Creators Updateでは、Pro、Enterprise、Educationエディション(Home以外)にWindows Updateによる更新プログラムの受信の一時停止機能が搭載されるなど、Windows Updateに対する不満を解消する(かもしれない)改善が行われる予定です。その機能が、ビルド15002に初めて実装されました。
ビルド15002のWindows Updateの「詳細オプション」では、Windows Updateによる更新にドライバを含めるかどうか、更新ブランチ(Current BranchまたはCurrent Branch for Business)の指定(宣言)、機能更新プログラムの延期日数(最大180日)、品質更新プログラムの延期日数(最大30日)、更新の一時停止(Pause Updates、最大35日、Windows Defender以外の更新を受信しない)の項目が追加されています(画面7)。
Windows 10 Anniversary Updateの「Windows Update for Business」機能をご存じの方なら、設定項目と「最大35日」という一時停止期間から、Windows Update for Businessのポリシー設定と同じであること、デバイス側の「設定」アプリでユーザー自身で操作できるようになるものであると容易にイメージできるでしょう。ビルド15002に追加された項目は、Windows 10 Anniversary Updateの時点でも、以下のポリシー設定でコントロールすることができます(画面8)。
これはあくまでもビルド15002における仕様ですが、「設定」アプリまたはポリシーによる設定とレジストリの変化を見てみると、Windows 10 Creators Updateの「設定」アプリによるローカル設定は「HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\WindowsUpdate\UX\Settings」に格納され(Anniversary Updateよりも項目増)、ポリシー設定はWindows 10 Anniversary Updateと同じ「HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate」に格納されます。ポリシー設定が有効な場合、ローカル設定をユーザー自身で変更することはできなくなります。
また、更新を一時停止する設定は、Windows 10 Anniversary Updateではオン/オフ(REG_DWORD値PauseQualityUpdates)でしたが、Windows 10 Creators Updateでは「一時停止を開始した日付」(REG_SZ値PauseQualityUpdatesStartTime)に変更されています(画面9)。
更新管理に関しては、Windows 10 Creators Updateはユーザーファーストの変更のようで、システム管理者の負担を解消するような改善は今のところ期待薄のようです。なぜなら、更新プログラムの一時停止機能はWindows 10 November Updateで初めて実装され、Windows 10 Anniversary Updateで大きく変更されました。そして、Windows 10 Creators Updateでまた変更されるからです。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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