Windows 10のトラブルシューティング事例――以前のバージョンに戻したくても「設定」を開けない山市良のうぃんどうず日記(59)

Windows 10にアップグレードしても30日間は以前のバージョンに簡単な手順で戻すことができます。マイクロソフトとしては“簡単に戻せるんだから、安心してアップグレードして”ということなのでしょう。しかし、簡単に戻せないという状況に陥ってしまう不運なユーザーもいるようで……。

» 2016年02月29日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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「設定」を開くとクラッシュする=元のバージョンに戻せない?

 Windows 7やWindows 8.1からWindows 10にアップグレードした場合、あるいはWindows 10からWindows 10の新しいバージョン(ビルド)にアップグレードした場合、アップグレード後の30日間は、以前のバージョンまたはビルドに戻すことができます。

 以前のバージョンまたはビルドに戻すには、Windows 10の「設定」を開き、「更新とセキュリティ」の「回復」にある「以前のビルドに戻す」または「Windows 7に戻す」または「Windows 8.1に戻す」の「開始する」ボタンをクリックして指示に従います。「設定」はスタートメニューの「設定」の選択や、[Windows]+[I]キーのショートカットキーで開くことができます。

画面1 画面1 アップグレード後30日以内であれば、「設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」から、以前のバージョンまたはビルドに戻すことができる。「以前のビルドに戻す」の部分は、以前の環境によっては「Windows 7に戻す」または「Windows 8.1に戻す」と表示される

 もし、Windows 10やWindows 10の新しいビルドにアップグレード後、アプリケーションやデバイスで問題が発生するようであれば、以前のバージョンやビルドに戻すことで問題を解消できます。元に戻すには、アップグレードと同じくらいの時間(数時間)を要しますが、PC初心者にとっては最も確実で簡単なトラブルシューティング方法といえるでしょう。

 しかし、この方法が簡単ではないことがあります。それは、Windows 10またはWindows 10の新しいビルドにアップグレードした後に、「設定」を開けない場合です。「設定」を開こうとしても、一瞬スプラッシュ画面が表示されて、すぐに消えてしまうというトラブルです。

画面2 画面2 スタートメニューや[Windows]+[I]キーで「設定」を開いても、一瞬で消えてしまう

 「別のローカルユーザーを作成して試してみる」「トラブルシューティングツールを実行してみる」「システムファイルやコンポーネントストアを修復してみる」といった操作で回復できる場合もあるようですが、どれもPC初心者向けの方法とはいえないので、今回は説明しません。

 筆者もアップグレードではなく、新規インストールのPCですが、インストール直後は問題がなかったものの、数日後に「設定」やプリインストールのストアアプリが一切起動できなくなったことがありました。イベントログを見ると、「設定」アプリのクラッシュが記録されていました。トラブルシューティングを試みましたが、問題が解消することがなかったため、その際はOSの再インストールで解決しました。

「設定」を使わずにシステム回復環境を起動する

 「設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」→「PCの起動をカスタマイズ」の「今すぐ再起動する」ボタンをクリックしてPCを再起動すると、「Windows回復環境」(Windows RE)が起動します。Windows回復環境は、オフラインのWindowsに対して、さまざまなトラブルシューティング操作を実行できます。そのトラブルシューティング操作の中には、「以前のビルドに戻す」もあります。

 しかし、「設定」を開けないのですから、この方法でWindows回復環境を起動することはできません。Windowsに詳しい人ならば代替手段を知っているでしょうが、今回はPC初心者向けにその操作方法を説明しましょう。

 スタートメニューが開けるのであれば、スターとメニューの「電源」をクリックします。ここで、キーボードの[Shift]キーを押しながら「再起動」をクリックします。この操作は、「PCの起動をカスタマイズ」の「今すぐ再起動する」ボタンをクリックするのと同じ効果があります。

画面3 画面3 スタートメニューの「電源」をクリックし、[Shift]キーを押しながら「再起動」をクリックする

 もし、何らかのトラブルでスタートメニューが開かないという場合は、Windowsアイコン上でマウスを右クリックするか、[Windows]+[X]キーのショートカットキーでメニュー(クイックアクセスメニュー)を開き、「シャットダウンまたはサインアウト」をクリックします。ここで[Shift]キーを押しながら「再起動」をクリックします。

 もし、Windowsにサインインすることすらできないという場合は、サインイン画面にある電源アイコンをクリックし、[Shift]キーを押しながら「再起動」をクリックします。

画面4 画面4 [Shift]キーを押しながらの再起動は、クイックアクセスメニューやサインイン画面からでも使える

 再起動が始まり、しばらくすると青い背景の「オプションの選択」メニューが表示されるので、「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「以前のビルドに戻す」の順番にクリックして、以前のバージョンまたはビルドのWindowsに戻します。なお、作業を続行するには、Windowsのサインインに使用するアカウントの選択とパスワードの入力が必要になります。

画面5 画面5 Windows回復環境から「以前のビルドに戻す」を実行する。なお、Windows 7やWindows 8.1に戻す場合も、「以前のビルドに戻す」を選択する
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筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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