IBMと海運大手マースクが、世界貿易のサプライチェーン改革につながるブロックチェーンソリューションの開発で提携すると発表。同ソリューションの実現により、業界全体で年間数十億ドル規模のコスト節約につながる可能性があるという。
米IBMとデンマークの海運大手APモラー・マースク(以下、マースク)は2017年3月5日(現地時間)、ブロックチェーン技術による世界の国境を越えたサプライチェーン改革に向けた協業を発表した。
IBMとマースクはオープンソースのブロックチェーン基盤「Hyperledger Fabric」をベースにした運輸および物流業界向けブロックチェーンソリューションを共同で開発する。IBMはこのソリューションを自社のクラウドと高セキュリティビジネスネットワークにホストし、クラウド基盤「IBM Bluemix」から提供。2017年内の実運用開始を目指す。
両社は、「このソリューションは、サプライチェーンプロセス全体のデジタル化による透明性の向上と、取引パートナー間での安全性の高い情報共有を通じて、全世界での数千万個のコンテナ輸送に関する文書記録の管理と追跡を支援する」と説明している。このソリューションが大規模に導入されれば、今後、業界で年間数十億ドル(約数千億円)規模のコスト節約につながる可能性があるという。
両社の新しい世界貿易デジタル化ソリューションは、荷主、運送業者、海運会社、港湾運営業者、税関との協力を得て開発される。ブロックチェーン技術を用いて当事者間の透明性を確立し、貿易のコストと複雑さの大幅な低減を目指す。設計目標として、詐欺やエラーの削減、貨物輸送時間の短縮、在庫管理の改善が挙げられる。併せて、貿易デジタル化ソリューションの潜在的価値を証明する目的で、さまざまな貿易パートナー、政府機関、物流業者と共同でパイロットプロジェクトも既に進めている。
両社が開発するブロックチェーン型物流ソリューションの概要は以下の通り。
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