Windows Server 2012以降のWindows Serverに「Adobe Flash Playerのセキュリティ更新が来ないのはなぜ?」「手動でもインストールできないのはどうして?」と疑問に思っている管理者の方はいないでしょうか。Adobe Flash Playerが入っていれば更新されるし、入っていなければ当然、更新されません。そして、脆弱性の影響を受けないのだから、入っていないに越したことはありません。
マイクロソフトの定例の「Patch Tuesday(毎月第二火曜日、日本はその翌日の水曜日)」、2017年2月は何やら重大な問題があったそうで、3月の更新に含める形で延期されました。その影響は、Office 365 ProPlusの更新にも及んでいることから、特定の更新プログラムの問題ではないような気がしていますが、真相はやぶの中です。
私たちの最優先事項は、お客様のシステムを維持し、保護する際に最良の体験をお客様に提供することです。今月、更新プログラム公開の直前に問題を発見しました。その問題は一部のお客様に影響を与える可能性があり、本日予定していた更新までに解決に至りませんでした。……2017/2/15更新:3月の月例セキュリティ更新プログラム公開(2017年3月14日(米国日付))の一部として更新プログラムを配信する予定です。
The Deferred Channel release scheduled for February 14, 2017 has been delayed. We apologize for any inconvenience this may cause.(※こちらは2017年2月23日までに正常化したようです)
筆者としては、2月のPatch Tuesdayに予定されていた「Adobe Flash Player」の更新が提供されないことで、他のプラットフォームは更新されているのに「Internet Explorer」と(Windows 10の)「Microsoft Edge」のプラグインの脆弱(ぜいじゃく)性が3月中旬まで放置されるのではどうしたものかと、気になっていました。
しかし、ちょっと遅れましたが、2017年2月22日に「緊急のセキュリティ更新プログラム」として無事配布されました。このセキュリティ更新プログラムで、Internet ExplorerとMicrosoft EdgeのAdobe Flash Playerのバージョンは「24.0.0.221」に更新されます(画面1)。
ご存じの方も多いと思いますが、Windows 8以降、Internet Explorer(およびWindows 10のMicrosoft Edge)のAdobe Flash Playerは“Windowsに同梱される”形で提供され、Windows Updateを通じて更新されるようになりました。Windows Server 2012以降も同様です。
しかし、サーバ管理者の中には、Windows Server向けのAdobe Flash Playerのセキュリティ更新が、Windows Updateで検出される場合と、されない場合があることに疑問を持っている人もいると思います。
セキュリティ更新が検出されないのは、単に“Adobe Flash Playerのコンポーネントが存在しない”からであって、正常な動作です。全く問題はありません。無理に手動でセキュリティ更新をインストールしようとしても、「この更新プログラムはお使いのコンピューターには適用できません」というメッセージが表示されるだけです(画面2)。
「Windowsに同梱される」と話が違うじゃないかと思うかもしれませんが、Windows Server 2012以降の既定のインストールには、Adobe Flash Playerのコンポーネントは含まれません。
Windows Server 2012/2012 R2では「GUI使用サーバー」のインストールオプションでインストールされた環境で、オプションの機能である「ユーザーインターフェイスとインフラストラクチャ」の「デスクトップエクスペリエンス」がインストールされている場合に、Adobe Flash Playerのコンポーネントがインストールされます(画面3)。
Windows Server 2016では「Windows Server 2016(デスクトップエクスペリエンス)」のインストールオプションでインストールされた環境で、「リモートデスクトップサービス」の「リモートデスクトップセッションホスト」の役割サービスがインストールされている場合に、Adobe Flash Playerのコンポーネントがインストールされます(画面4)。
ちなみに、Windows Server 2016からは「デスクトップエクスペリエンス」の機能の追加や削除ができなくなりました。また、Windows Server 2012やWindows Server 2012 R2では可能だった、GUI環境と「Server Coreインストール」のインストール後の切り替えもできなくなりました。
なお、当然のことですが、Internet ExplorerがインストールされないServer Coreインストールと、Windows Server 2016の「Nano Server」には、Adobe Flash Playerのコンポーネントは含まれないので、Adobe Flash Playerのセキュリティ更新は不要です。
Windows ServerにInternet Explorer用のAdobe Flash Playerがインストールされているかどうかは、コントロールパネルの「すべてのコントロールパネル項目」を開き、「Flash Player(32ビット)」が存在するかどうかで、簡単に判断できます(画面5)。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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