米グーグルは、Google Cloud Next ‘17の第2日目の基調講演で、新たなディスカウントやセキュリティに関する新機能など、Google Cloud Platform、G Suiteに関する多数の発表を行った。
米グーグルは、Google Cloud Next ‘17の第2日目の基調講演で、新たなディスカウントやセキュリティに関する新機能など、Google Cloud Platform、G Suiteに関する多数の発表を行った。これらを通じ、「企業がクラウドに求めるサービスを包括的に提供するとともに、これらを柔軟、効率的に活用できるようにしている唯一のクラウドサービス」と間接的にアピールしている。
データベースでは、2017年2月に発表した「Cloud Spanner」を説明した。
Cloud Spannerは複数リージョンに展開できる分散データベースでありながら、トランザクションの一貫性を確保し、SQLでアクセスできる。グーグルはこのサービスのため、各リージョンに原子時計を設置したという。
初期設定は数クリックで、マルチリージョンへの展開もリージョン選択だけで済む。拡張も、ノード数の入力値を変更するだけでいい。スキーマ変更もその場でできる。シャーディングで必要となる作業からは解放される。
Google Cloudテクニカルインフラストラクチャ担当シニアバイスプレジデント、ウルス・ホルツレイ(Urs Hölzle)氏によると、同サービスでは「クエリパターンを自動的に学習し、パフォーマンスを自動的に最適化する」という。
Google Compute Engineでは、仮想インスタンスの「Committed Use Discounts」を発表した。これは、ユーザーが1年あるいは3年の利用量をコミットする代わりに、ディスカウントを受けられるサービス。最大57%の値下げ効果があるという、表面的にはAmazon Web Services(AWS)の「リザーブドインスタンス」に似ているが、固定的な仮想インスタンスタイプに縛られる必要がないという点をグーグルは強調する。顧客はコアやメモリの合計量にコミットする。この範囲であれば、カスタムマシンタイプを利用して、どのようなCPU/メモリ構成の仮想インスタンスを作ってもいい。考え方はヴイエムウェアのvCloud Airに似ているといえる。
前提として、GCPは以前より無駄の少ない料金体系を採用していることをホルスレイ氏はあらためて説明している。分単位での課金、仮想インスタンスのCPU/メモリを自由に構成できるカスタムマシンタイプ、継続利用に対して自動的にディスカウントが行われる「Automatic Sustained Use Discounts」などが既に提供されている。
セキュリティでは、情報漏えい防止のためのData Loss Prevention API、ユーザー組織側が管理できるデータ暗号鍵管理サービス「Key management System」(GA)、GCPアプリケーションへのアクセスでセキュリティキーを使った2要素認証を要求する「Security Key Enforcement」(ベータ)、Webアプリケーションセキュリティの「Identity-Aware Proxy(IAP)」を発表した。
IAPは名前の通り、ユーザーのアイデンティティを認識できるWebプロキシ。ユーザーの認証情報に応じて、特定のWebドメインへのアクセスを制御できる。例えばユーザーは個人のアカウントでのブラウザ認証では、業務用のSaaSにアクセスできないように設定できる。Data Loss PreventionはAPIとして提供され、これを使ってアプリケーションを開発すれば、例えばブラウザ上のチャットなどで顧客が不用意に開示してしまう個人情報を自動的に検知し、赤いドットに置き換えて表示する。画像についても、クレジットカード番号の部分をマスクして示すなどができる。
ホルツレイ氏は、今後より強力なコンテキストに基づくセキュリティを実現していくと話した。
マイクロソフト環境についてはGoogle Compute EngineにおけるSQL Server Enterpriseイメージの提供、Google App EngineおよびContainer Engineにおける.NET Coreサポート、Windowsマイグレーションパートナープログラムの強化が発表された。
アプリケーション開発・運用環境では、イベントベースのサーバレスコンピューティングを提供するGoogle Cloud Functionが、パブリックベータ段階に入ったと発表。
Google App Engineは、柔軟な環境に進化したことを発表した。7つの主要開発言語(Java 8 / Servlet 3.1 / Jetty 9、Python 2.7、Python 3.5、Node.js、Ruby、PHP、.NET core、Go)をサポートするとともに、コンテナで動作するどのようなランタイムも利用できる。
ビッグデータ関連では、まずデータウェアハウスサービスのBigQueryで、「BigQuery Data Transfer Service」を発表した。自動的に情報ソースからデータを定期的にインポートする。当初はAdWords、DoubleClick、YouTubeに対応する。
また、グーグルは「Cloud Dataprep」も発表した。これは分析に先立つデータの準備を自動化するサービス。機械学習に基づき、ユーザーにデータの適切なクリーニング手法やスキーマ変換などを提案できる。
G Suiteでは、Google Driveで、チームによるクラウドドライブ共有を実現する「Team Drives」を一般提供開始(GA)した。また、同期せずにクラウドストレージを活用できる「Drive File Stream」は早期採用プログラムを開始した。さらに、企業がデータの管理ポリシーを適用し、eディスカバリのために従業員のDriveの検索やデータのエキスポートもできる「Google Vault for Drive」を一般提供開始(GA)した。
一方、オンプレミスのファイルサービスとクラウドを結ぶ技術を提供してきたスタートアップ企業であるApp Bridgeの買収を発表した。
コミュニケーションサービスのGoogle Hangoutsでは、G Suiteの枠内で最大30人が同時に参加できるビデオ会議の「Hangouts Meet」を一般提供開始(GA)、またG Suiteの主要サービスと統合されたチャットサービス「Hangouts Chat」の早期採用プログラムを開始した。
この2つのサービスがGAに達すると、現在のコンシューマー向けHangoutもこれらに移行するという。
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