IT訴訟事例を例にとり、トラブルの予防策と対処法を解説する本連載。今回はソフトウェアの「特許」について解説する。
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ソフトウェアの開発は、クリエイティブな作業だ。
与えられた入力値から求められる答えを出すには、どんな命令をどのように組み合わせるべきか、使いやすい画面デザインとはどういうものか、効率の良い検索を行えるようにするにはどのようなデータベース構造にすれば良いのか――筆者も若いころは、夢に出てくるほど、悩みながらモノづくりを行った。
苦労して作ったソフトウェアの「著作権」については、「業務で作成したソフトウェアの著作権は誰にあるのか?――退職社員プログラム持ち出し事件」「頭の中も著作権の対象?――もう一つの「ソフトウェア パクリ」裁判解説」などで取り上げてきた。
創意工夫をこらし、苦労して作ったものの権利を守る手段がもう1つある。
「特許」だ。創意工夫に溢れ、個性的なだけでなく、それまで誰も思いつかなかったような機能を持つソフトウェアやシステムだったら、それは「発明」であり、特許法による保護の対象となる可能性がある。
特許を取った企業は、ライバルを排除したり、特許使用料などを取って商売したりできる。筆者がかつて勤めていたITベンダーでも、毎年のように、社員から特許のネタを募集していた。
特許法でも、コンピュータのプログラムが発明の対象となり得ることが定められている。以下の条文だ。
この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
(中略)
4 この法律で「プログラムなど」とは、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得る(※)ことができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ)、その他電子計算機による処理の用に供する情報であつてプログラムに準ずるものをいう
特許の取得には申請が必用だ。注意しなければならないのは、同じモノでも、申請の書き方次第で審査自体を行ってくれない場合があるということだ。特にコンピュータのプログラムは、実体がないため、何をどう書けば審査をしてくれるのか、なかなか分かりにくい。
IT訴訟事例を例にとり、トラブルの予防策と対処法を解説する本連載。今回は、特許に関する知財高等裁判所の判決事例を紹介する。
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